歯と口の健康週間
歯と口の健康週間は、厚生労働省、文部科学省、日本歯科医師会、日本学校歯科医会が「歯と口の健康に関する正しい知識を国民に対して普及啓発」(日本歯科医師会)する週間で、
その歴史は古く、1928年(昭和3年)にスタートした「虫歯予防デー」に端を発します。この虫歯予防デーは、「6(む)4(し)」の語呂合わせで6月4日に実施されました。
その後は名称などが変わりながら、2013年(平成25年)より現在の名称で啓発活動が続いています。
主な活動内容として、各所へのポスター掲示やシンポジウム開催、テレビCMの放映といった広報や、全国での啓発イベントなどを行われています。
令和4年度の標語は「いただきます 人生100年 歯と共に」
※画像引用:日本歯科医師会
90年以上の歴史を誇る歯と口の健康週間では、一部の年を除いて標語が設定されてきました。
初めて標語が作られた1930年度(昭和5年度)は「六歳臼歯を大切に」。
当時は子供の歯の健康を意識した内容だったようですが、元号が平成に変わるくらいから、社会の高齢化が急速に進行し子供の虫歯が少なくなっていた時代背景もあり、高齢者の歯の健康維持を目標とした標語が見られるようになりました。
そうした、高齢者の歯の健康への健康意識の増進をきっかけに、2021年度(令和3年度)の標語は「一生を 共に歩む 自分の歯」となりました。
そして、2022年度の標語は「いただきます 人生100年 歯と共に」です。
この標語には、80歳になっても20本以上の歯を残そうという「8020運動」にも展開する意図が込められています。歯と口の健康が生きる力を支えるという観点から、虫歯や歯周病を予防する取り組みを推進しています。
お口の健康は全身の健康
健康な歯を維持することで、老後も食事やおしゃべりを楽しめるということは想像しやすいのではないかと思います。
しかし、お口の健康は口腔機能だけに影響するわけではありません。
虫歯や歯周病は、細菌の感染によって起こります。
虫歯の場合、原因菌が歯の血管を通って全身をめぐり、腎炎や心内膜炎といった症状につながるおそれがあります。
また、歯周病菌も動脈硬化や認知症などの原因となるほか、歯茎の炎症によって発生したサイトカインという物質が糖尿病肺炎などを誘発すると考えられています。
加えて、歯周病患者が糖尿病の場合、インスリン作用が減退し血糖値のコントロールが難しいと考えられます。
虫歯や歯周病にかからないように口腔ケアを続けることは、全身疾患の病態をコントロールすることはもちろんのこと、重大な全身疾患の発症を未然に防ぐことにもつながるといえるでしょう。
「歯と口の健康週間」を意識してみませんか?
普段から健康を意識しているという方でも、お口の中のケアは見落としてしまいがちです。
歯と口の健康週間を機にご自身の口腔ケアを見直してみたり、定期健診を受けてみたりしてはいかがでしょうか。
虫歯や歯周病は早い段階で発見することで、治療も簡単に済ませることができます。
長期的にみると、歯科にかかる医療費も安く済むという報告もあります。
6月4日の虫歯予防の日から1週間、ちょっとお口の中を気にかけてみてくださいね!