動脈硬化のリスクファクター、歯周病との関係性は?


動脈硬化を引き起こすリスクファクターとしては「高血圧」「高脂血症」「喫煙」「肥満」「糖尿病」「ストレス」などが挙げられます。

これらの危険因子を複数持つ人ほど動脈硬化が進行するとも言われています。
さらに近年の研究によると、これらのリスクファクターとは別の因子として、歯周病も動脈硬化進行のリスクファクターになることがわかってきました。

現時点では、歯周病と血管障害との明確な関連性には不明瞭な点もありますが、動脈硬化を引き起こしている血管から「歯周病菌が検出された」という報告があります。
歯周病菌が血管内で何らかの悪行を働いている可能性は大いに考えられるでしょう。


歯周病が動脈硬化を進行させる?


歯周病が進行すると歯周ポケットから沢山の歯周病菌が血液内に入り込みます。
すると、歯周病菌が発する毒素や炎症物質(サイトカイン)が血管内部で炎症を起こす原因となります。

炎症により傷ついた血管の壁は厚みを増し、コレステロールを中心としたベタベタの脂肪分(プラーク)がたまります。
それが、血管そのものを硬く狭く変化させ、血栓をつくる原因となってしまうのです。

ところが、困ったことに動脈硬化そのものには症状がありません。本人が気づかない間にじわじわと、しかし確実に血管が狭まっていき、徐々に心臓への血液の供給が少なくなります。

心臓へ送る酸素や栄養も足りなくなり、やがて狭心症へ。血栓が剥がれて血管が詰まると心筋梗塞にも発展します。
また、血栓が血管の壁からはがれて血流に乗り、脳の血管に達すると脳梗塞の原因にもなってしまうのです。

このように、放置しておくと知らず知らずのうちに生命の危機を招く恐れがあることから、欧米では動脈硬化を「サイレントキラー(沈黙の殺人者)」とも呼ばれ恐れられています。


まとめ


厚生労働省のデータによると、日本における死因の第二位は心疾患、第四位に脳血管疾患が登場します。
どちらも動脈硬化などにより血流に問題が生じ起こり得る疾患だということ。動脈硬化の予防・改善は、心疾患や脳血管疾患などの命に関わる疾患を防ぐことでもあるのです。

一般的に動脈硬化の発生を回避するためには、食生活の改善や適度な運動のほか禁煙などが有効とされていますが、さらに一歩進んだ「お口の健康」にも目を向けてみませんか?

歯周病は動脈硬化や糖尿病、認知症など全身の臓器に様々な影響をもたらすことが近年の研究データで次々と明らかになってきています。

早期発見と早期治療があなたの未来の健康に繋がります。
まずはかかりつけの歯医者さんで歯周病のチェックを受けてみてはいかがでしょうか。