1. データで見る歯周病

厚生労働省の患者調査によると、歯肉炎及び歯周疾患に罹っている方は約398万人という調査結果が出ています。口腔ケア・予防の意識が高まっているといわれており、歯科検診を受けている方の割合も増加傾向にありますが、歯周病の罹患率が改善していないのが実情です。(表参照)

年代2011年2014年2017年
歯肉及び歯周疾患2,657,0003,315,0003,983,000

女性男性合計女性の割合男性の割合
2017年2,363,0001,621,0003,983,00060%40%
2014年1,942,0001,373,0003,315,00059%
41%
2011年1,572,0001,084,0002,657,000
60%40%

なぜ歯周病は増え続けているのか

「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」中間評価報告書(概要)によると、成人期の歯肉炎・歯周炎を有する者の割合は改善が見られない、高齢期の8020達成者(80歳で20本の歯を残す)が増加している一方、う蝕及び歯周病の有病率は増加傾向にある、という報告がなされています。(参考:報告書

成人期の歯周病率が改善していない、高齢の方も歯が残っている方が増えてきていることで歯周病率が増加している、歯科検診の受診率が上がり歯周病が発覚した方が増えた、ということがいえるのではないでしょうか。

そして、次項で紹介する糖尿病も歯周病率が改善しない原因のひとつかもしれないのです。

2. データで見る糖尿病

次に糖尿病の患者数を見てみましょう。
厚生労働省の患者調査によると、歯周疾患と同じく年々増加していることが分かります。
また、平成30年(2018年)の国民健康・栄養調査では、「糖尿病が強く疑われる者」の割合は男性18.7%、女性9.7%という調査が出ており、糖尿病予備軍も含めると患者数は1,000万人と推計されているそうです。

年代2008年2011年2014年2017年
糖尿病
2,371,000
2,700,000
3,166,000
3,289,000


女性男性合計女性の割合男性の割合
2017年1,442,000
1,848,0003,289,000
44%
56%
2014年1,401,000
1,768,0003,166,00044%
56%
2011年1,215,0001,487,0002,700,000
45%
55%
2008年
1,061,000
1,312,000
2,371,000
45%
55%

糖尿病が歯周病に影響を与えている?

一見、なんの関係性もなさそうな糖尿病と歯周病ですが、特定非営利活動法人 日本歯周病学会でも、糖尿病と歯周病の関係性や診療におけるガイドラインが公表されており、相互に悪影響を及ぼしていることが認められ、研究・報告も増えてきています。

糖尿病と歯周病の関係性に関して詳しくは下記の記事をご確認ください。

糖尿病と歯周病 生活習慣にも起因する両者の関係性

糖尿病になると歯周病が進行する?負のスパイラルを徹底解明

インプラントは糖尿病でもできる。血糖値のコントロールがカギ


3. 歯周病治療のために専門の歯科医師がいる歯科医院で検診を

成人の約70%が罹患(平成31年 歯科口腔保健に関する最近の動向)していると言われている歯周病ですが、糖尿病に罹患している方が増えていることからも、生活習慣の乱れが原因で体調を崩し、口腔にも悪影響を及ぼしているのではないでしょうか。

生活習慣を見直すことはもちろんのこと、歯周病を治療するために定期的な歯科検診を行うことも重要です。歯科医院を選ぶ際、特定非営利活動法人 日本歯周病学会の専門医公益社団法人 日本糖尿病学会登録歯科医師などを探して受診を検討してみてはいかがでしょうか。