心筋梗塞とは

  • 心筋梗塞の原因・症状

心臓に血液と酸素を送るための血管にコレステロールなどから構成されるプラークが動脈に沈着することで血管が狭くなります、また、動脈硬化を起こし、心臓に血液が送れなくなることで酸素不足に陥りやすく、血管が塞がって壊死を起こしてしまう状態になります。

心筋梗塞により、突然胸部にえぐられるような強烈な痛みが前触れもなく訪れ、死に至る危険もある怖い病気です。
心筋梗塞に罹る割合は男性が多く、日本人の死亡原因でも上位に挙げられる疾患です。(参考:心筋梗塞とは -ドクターズファイル

下記表を見ていくと、2005年から2008年にかけては心疾患患者数は減少(表1)していますが、2008年以降は再び増加していることが分かります。

少し掘り下げて見てみましょう。厚生労働省が行っている人口動態調査(表2)の心疾患(高血圧症を除く)年間死亡者数のなかで、急性心筋梗塞が原因の死亡者数は年々減少傾向にありますが、平均して全体で約4万1600人、男性が約2万3000人、女性が1万8600人となっています。

心疾患全体の中でも心筋梗塞で亡くなる方が高い割合を占めていることがお分かりいただけるかと思います。
この心筋梗塞が、お口の中の疾患である歯周病といったいどのような関係があるのでしょうか。

<表1>
心疾患年間患者数
総数
男性
女性
2017年
173万2000人
96万3000人
77万5000人
2014年
172万9000人
94万7000人
78万6000人
2011年
161万2000人
88万2000人
73万4000人
2008年
154万2000人
84万7000人
70万1000人
2005年
165万8000人
86万6000人
79万5000人

引用:厚生労働省 3年に1度の患者調査

<表2>
年代
心疾患
(高血圧症を除く)
急性心筋梗塞
総数割合
(%)
総数
総数
男性
女性
2017年
20万4837人
3万4950人
1万9975人
1万4975人
17%
2014年
19万6925人
3万8991人
2万1801人
1万7190人
20%
2011年
19万4926人
4万3265人
2万3966人
1万9299人
22%
2008年
18万1928人
4万3580人
2万3722人
1万9858人
24%
2005年
17万3125人
4万7193人
2万5762人
2万1431人
27%

引用:厚生労働省 - 人口動態調査

歯周病が与える心筋梗塞のリスク

歯周病は、歯と歯肉の間にある歯周ポケットから歯周病菌が侵入し、歯肉炎を引き起こす病気です。

また、歯肉の血管から侵入した細菌や、細菌が排出する物質が全身へとめぐり、糖尿病や高血圧などの様々な全身疾患を引き起こすことが分かってきています。様々な全身疾患のひとつとして心筋梗塞とも関りが深いのではと言われているのです。

心筋梗塞の主な原因となる動脈硬化は、食生活の乱れ、慢性的な運動不足、精神的ストレスなどの、生活習慣が大きな要因として挙げられてきました。
しかしながら最近では、別の要因として歯周病による細菌(歯周病因菌)が動脈硬化を引き起こす要因となるのではと言われています。

歯周病により血管内に侵入した歯周病原因菌が排出する物質が、動脈硬化を誘導する危険性があり、血管内にプラークが出来ることで血液の通り道が細くなったり、プラークが剥がれて血の塊が出来ることで血管が詰まったりなど、心筋梗塞を引き起こす危険性があると言われています。(参考:歯周病が全身に及ぼす影響 - 日本臨床歯周病学会

歯周病が心血管疾患に関連していることを示しています。ただし、歯周病と心筋梗塞との関連については議論の余地があります。

歯周病と心筋梗塞のリスクとの関連:観察研究のプール分析」では、観察研究により、歯周病が将来の心筋梗塞のリスク増加と関連していることが示唆されています。ただし、歯周病と心筋梗塞の因果関係を調べるには、さらに多くの研究が必要とされています。

歯周病治療が心筋梗塞や動脈硬化の発症・進行を防ぐことに効果的であるというエビデンスはまだ確立されてはいませんが、歯周病に罹患している方は、歯周病に罹患していない方と比べ、心疾患に罹患している割合が高いという報告もあるので今後の研究やさらなるエビデンスの積み重ねに期待したいところです。(参考:特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会

まとめ

歯周病は、歯と歯肉の隙間に溜まった歯周病原細菌感染が原因で起こる病気です。毎日の歯磨きはもちろんのこと、定期的に歯科クリニックで検診を受け、歯周病や虫歯の予防、重症化する前に治療することが大切となります。

全身の病気を予防するためにもまずは「お口の病気」から予防してみましょう。