除菌・抗菌・殺菌の違いとは?

除菌

除菌とは

「除菌」は簡単にいうと「少しでも何らかの菌を取り除く」ことです。

取り除ける菌の種類や数に決まりはなく、何らかの菌を少しでも減らすことさえできれば、除菌をうたうことができるのです。
そのため、除菌をうたう商品は非常に幅広くあります。

いわゆるアルコールスプレーやアルコールウエットティッシュなどから、物理的に吹くことで菌を取り除く拭掃用クロスなども同じ「除菌」をうたえます。

とにかく菌を除去さえできれば除菌といえるんですね。
そのため、拭き取ることで物理的に菌を取り除く場合や水で洗い流すことで菌が取り除ける場合でも除菌効果があるといえますよ。

抗菌

抗菌とは

「抗菌」とは「菌の増殖を抑えること」であり、菌が増えにくい環境を構築していくことを指します。
除菌や殺菌とは異なり、菌を取り除く、殺すなどの意味はありません。

エスカレーターの手すりや電車のつり革など、たくさんの人が触る可能性が高いものは抗菌仕様の物が増えていますね。

人の手から付いた菌を除菌・殺菌することはできませんが、繁殖させないようにしておくことができるのです。

殺菌

殺菌とは

「殺菌」とは、読んで字のごとく「菌を殺すこと」を指します。

「殺菌」という表現は医薬品と医薬部外品にしか使うことができないため、薬や薬用せっけんに対して用いられるケースが多く、具体的な効果が期待できるかもしれませんね。
ですが、除菌と同じく、対象となる菌の種類や数に明確な定義はなく、一つの種類の菌を減らすだけでも殺菌にあたります。

大抵の商品では、裏面に具体的に殺菌できる菌の種類や実験に用いた菌の種類が確認できますよ。

歯ブラシの除菌は必要?

歯ブラシの除菌は必要?

お口の中に入れる歯ブラシにも、さまざまな種類の菌がたくさんついています。
口の中に入れるものはきれいにしておきたいですよね。

でも、歯ブラシを特別に除菌・殺菌する必要はあるのでしょうか?

歯ブラシは、正しく保管・交換ができていれば特別な除菌・殺菌は必要がないとも考えられています。
まずは正しい保管方法を確認してみましょう。

歯ブラシの洗浄・乾燥はしっかり

歯ブラシの洗浄・乾燥はしっかり

正しい歯ブラシの管理方法は、きちんとした洗浄と使わない間にしっかりと乾燥させることです。

歯ブラシを使った後に、さっと水で流すだけにしてしまっていませんか?
それでは歯ブラシについた汚れを取り切ることはできません。

流水で流しながら、指先でブラシ部分を軽く動かします
ブラシが開いてしまうなどの変形をしないよう、優しく何度か動かして根元まできれいにしましょう。

洗った後はしっかりと乾燥させることです。
ティッシュやペーパータオルで水分を拭き取り、水気の少ないところで乾燥させるとベストです。
乾燥して水分がなくなることで、菌の繁殖を減らすことができるんです。

水気のあるお風呂場に放置したり、歯ブラシキャップをすぐにしてしまう、コップにブラシ部分を下にして立てておくなどはNG。
ブラシ部分をしっかり乾燥させてくださいね。

個々の保管場所を分ける

個々の保管場所を分ける

家族や同居人の歯ブラシを一緒に保管すると、歯ブラシ同士の間で細菌を移し合うリスクが高まります。
例えば、同じコップに歯ブラシを2本入れると毛先同士が接触して菌が移る可能性があります。

細菌を移しあってしまわないよう、歯ブラシはそれぞれ別々に保管しましょう。
間違ってほかの人の歯ブラシを使ってしまわないためにも、それぞれで置き場所を変えてみてくださいね。

1ヵ月で歯ブラシを交換する

1ヵ月で歯ブラシを交換する

普段の洗浄・乾燥でもすべての菌をなくせるわけではありません。
そこで大切なのが、正しい期間で歯ブラシを交換することです。

雑菌が繁殖していたとしても、きちんと管理をして1カ月ごとに歯ブラシを新しくしていれば、菌の量は許容範囲で済むと考えられています。

また、1ヵ月という期間には歯ブラシの清掃効果を保つという理由もあります。
1ヵ月以上使っていると、ブラシの先が摩耗して丸くなり、清掃効果が衰えてしまうんだとか。

きれいな歯ブラシを使うためにも、お口の中をきれいにしておくためにも、歯ブラシは1ヵ月で交換しましょう。

それでも、歯ブラシを交換するまでに1ヵ月もあるならもう少し短期間できれいにしたい、と思う方もいらっしゃいますよね。

そこで、簡単にできる歯ブラシの除菌方法をご紹介します!

歯ブラシの除菌方法4つ

歯ブラシを除菌したい場合は、歯ブラシを傷めることなく除菌できる次の4つの方法がおすすめですよ。

重曹水に浸ける

重曹水に浸ける

まず歯ブラシを流水で洗って水気を切ります。
コップに水100mlと小さじ1杯の食用重曹を混ぜてよくかき混ぜ、そこに水気を切った歯ブラシを一晩浸けておきましょう。

朝になったら歯ブラシを水でよくすすぎ、使用時まで乾燥させておきましょう。

うがい薬、哺乳瓶や入れ歯の消毒液に浸ける

うがい薬・哺乳瓶や入れ歯の消毒液に浸ける

重曹と同様に、うがい薬や哺乳瓶、入れ歯の消毒液に浸けることでも除菌が行えます。

ただし、元は歯ブラシ用を除菌するための製品はないので、必ずしも除菌効果があるとは限らない、あくまでも自己責任の方法です。

コップに入れた水に対して数滴垂らし、短時間浸ける程度にとどめておいたほうがよいでしょう。
また、歯ブラシに残らないようしっかり洗い流してくださいね。

天日干しする

天日干しする

太陽の光は紫外線を含んでいるため、強い殺菌効果を持っています
そのため、歯ブラシを天日干しにすることによって、付着している微生物を殺菌することができます。

ただし、歯ブラシの種類や使われている素材によっては天日干しで熱が加わると歯ブラシが変形してしまうことも。
歯ブラシの説明をよく読んで試してみてくださいね。

歯ブラシ用の除菌機を使う

歯ブラシ用の除菌機を使う

近年では、歯ブラシ用の除菌機が市販されています。

紫外線を用いた除菌機は天日干しと同じような効果が見込め、除菌力も高いんだとか。

除菌機には携帯用のものから、1台で複数の歯ブラシに対応できるものまでさまざまな種類がありますよ。

要注意!やってはいけない歯ブラシの除菌方法

歯ブラシを除菌しようとして、歯ブラシを傷めてしまったり、人体に対して良くない影響を与えてしまうこともあります。

以下のような方法はむしろ逆効果になりかねないため、おすすめできない方法です。

熱湯をかける

熱湯をかける

熱湯や煮沸は一般的な殺菌方法ですが、歯ブラシに関してはブラシ部分の素材が熱に弱いものがほとんどであり、歯ブラシがダメになってしまうんです。
目に見えないレベルで変形し、歯磨きの効果が衰えてしまうことがあります。

熱湯消毒に対応している歯ブラシであれば別ですが、そうでなければ熱湯を用いるのはやめましょう。

アルコール消毒を行う

アルコール消毒を行う

アルコールも手などの消毒には非常に有効ですが、歯ブラシに対する殺菌効果は期待できないとされます。

アルコールは時間が経つと殺菌効果が落ちることに加え、アルコールの影響を受けない細菌やウイルスも多く存在します。

台所用の漂白剤に浸ける

台所用の漂白剤に浸ける

台所用の漂白剤にも除菌・殺菌効果がありますが、その成分である次亜塩素酸ナトリウムは、適切な濃度に薄めて使用しないと人体に危険が及ぶ可能性があります。
その一方で、薄めすぎると今度は満足な殺菌効果が見込めません。

うっかり歯ブラシに漂白剤が残っているとお口の中が荒れてしまう可能性もあるため、歯ブラシの除菌に使用するのはおすすめできません。

ケースに入れて保管する

ケースに入れて保管する

歯ブラシのブラシ部分の保護や汚れの付着を防ぐアイテムとしてブラシケースがありますが、歯ブラシの菌を減らすという観点ではあまりおすすめできません。

ケースがついていることでブラシ部分が乾燥しづらく、菌が繁殖してしまいやすいのです。

持ち歩き用の歯ブラシなど使用後すぐにケースをする場合は、持って帰ってから一度水洗いをしてからよく乾燥させ、またケースをするなどこまめに手入れをする必要があります。

適切な除菌・抗菌・殺菌が衛生管理のポイント

歯ブラシに多くの細菌が存在しているのは確かですが、菌の存在に対して過敏になりすぎて歯ブラシ自体の清掃効果を劣らせてしまうのは逆効果です。
正しい除菌方法で歯ブラシを除菌するようにしてくださいね。

「除菌・抗菌・殺菌」の違いや、適切な歯ブラシの除菌・保管の方法を頭に入れたうえで、効果的な除菌の継続と高い清掃効果を、両立させられるようにしていきましょう。

おまけ:入れ歯の除菌

入れ歯は、入れ歯洗浄剤で除菌を行うことが推奨されていますね。

ただブラシで汚れを落とすだけでは不十分なため、入れ歯用の除菌剤も併用すると、より効果的に除菌ができるとされているためです。

入れ歯はお口の中に入れて使用する前提の物であり、それに合わせて入れ歯洗浄剤は少しお口の中に入っても大きな影響はないと考えられます。
歯ブラシへの使用が禁止されていない場合は、一緒に浸けておくことで歯ブラシの除菌もできるかもしれません。
この方法も、可能であると明記されていない場合は自己責任の方法ですのでよく確認してから行いましょう。