口腔機能の低下によっておきる「誤嚥性肺炎」

私たちは食べ物や飲み物を飲み込むとき、咽頭から食道を通り、胃に到達します。

しかし、神経疾患や高齢による機能低下などの原因で飲み込む機能が低下すると、食べ物や飲み物が食道ではなく気管に入ってしまいます。これを「誤嚥」といいます。

では、誤嚥によってなぜ肺炎が引き起こされるのでしょうか。これは、飲み込む際に口の中の細菌なども気管を通り、細菌が気管から肺に入り込んで炎症を起こすためです。健康な人であれば、気管に食べ物などが入るとむせて排出できますが、異物を外に出せないために肺に入ってしまいます。

肺炎を引き起こすと考えられる細菌の中でも、特に誘因とされるのが嫌気性菌と呼ばれるもので、その多くが歯周病菌であると言われています。

口腔機能が低下すると誤嚥性肺炎にかかりやすい

誤嚥性肺炎にかかりやすいのは、高齢者のほか、寝たきりの人、認知症患者、脳梗塞の後遺症やパーキンソン病といった神経疾患を抱えている人です。

咀嚼や嚥下といった機能が低下していることが多いうえ、お口の中が磨きづらいため衛生状態を保てず、肺炎の原因となる細菌が繁殖しているためではないかと指摘されています。

誤嚥性肺炎の特徴

咳や発熱、痰が出るといった症状が一般的です。

しかし、高齢の方で誤嚥性肺炎にかかった場合は風邪様症状が出ない場合もあり、ぼーっとしている、元気がない、食事に時間がかかる、なかなか飲み込めない、発熱が長く続くといった症状が出ます。

一方で、症状が軽く肺炎であるとすぐに気づかないため、わかったときには肺炎が進行しているケースもあります。

予防のためにできる工夫!歯磨きにも注意が必要?

誤嚥性肺炎を予防するには、まず誤嚥のリスクを減らすための工夫が必要です。とろみのついた食事を選んだり、噛む力が弱い人でも食べやすいようやわらかい料理を作ったりするとよいでしょう。

自宅でできるお口のストレッチなどで口腔機能を高めることも大切です。また、食べるときに背筋を伸ばすことを意識するのも、誤嚥を防ぐ効果があります。

このほか、丁寧な歯磨きや義歯の手入れ、舌磨きなどを行うことで肺炎のリスクを下げられる可能性があります。口内に細菌が繁殖しないよう、衛生状態の維持を意識するとよいかもしれません。

食事をする前に口の中の細菌を減らすことも有効です。歯ブラシの刺激により口や喉の筋肉が動きやすくなるので、誤嚥しにくくなるでしょう。

誤嚥性肺炎と歯周病の関係

誤嚥性肺炎と歯周病の関係性については、要介護高齢者に口腔ケアを行なったところ、肺炎の発症率が約半分にまで減少したという報告もあります。

歯周病自体が誤嚥性肺炎の直接の原因とまでは明確に言えないものの、口内を清潔に保ち口の中の細菌を減らしておくことが、誤嚥性肺炎の予防に有効である可能性があります。

誤嚥性肺炎は風邪のような軽い症状であることが多いです。誤嚥性肺炎の予防のために、あいうべ体操や嚥下体操以外に、口腔ケアも取り入れてみてはいかがでしょうか。

ご自身ではケアが難しいという方もいると思いますので、そのような場合は、歯医者さんでケアを受けるほか、介護士さんに相談するなどして訪問歯科を利用してみるのもよいでしょう。