歯磨き粉の種類とは?

歯磨き粉にはさまざまなものがありますが、実は「化粧品」「医薬部外品」「医薬品」の3つに大きく分けることができます。それぞれの特徴について説明します。

化粧品
「化粧品」と表すと少し違和感があるかもしれませんが、ここに分類される歯磨き粉は身体を清潔にするという意味でシャンプーや石けんなどと同じ扱いになります。歯ブラシでよりきれいに歯を洗浄できるよう、研磨剤や発泡剤など「基本成分」と呼ばれるものを配合しています。

医薬部外品
基本成分に薬用成分を加え、虫歯や歯周病予防の効果を謳ったものになります。ただ、病気やケガを治療する目的ではなく、予防することに重点が置かれています。一般的に、家庭で多く使われている歯磨き粉はこの医薬部外品だといえます。また、デンタルリンスやマウスウォッシュも医薬部外品の製品があります。

医薬品
配合成分により、歯肉炎や歯槽膿漏といった「症状を治す効果がある」と認められたものが分類されます。しかし、その数は非常に少なく、日常的に医薬品の歯磨き粉を使うケースはほとんど見られません。

フッ素(フッ化物)は虫歯予防効果のある成分

歯磨き粉で用いられるフッ素は、ほかの元素と結びついたフッ化物と呼ばれるものです。フッ素は歯質を強化や溶けだしたエナメル質の再石灰化を促すほか、細菌の増殖を抑えて酸を作りにくくするなどの働きがあります。
歯磨き粉に含まれるフッ素の濃度は上限が決められており、2017年には1,000ppmから1,500ppmに変更されました。
それ以来、国内ではこの数値に対応したフッ素を配合した歯磨き粉が市販されており、その多くは濃度が1,450ppmとなっています。

なぜ、1,500ppmが上限にもかかわらず、1,450ppmの商品が多いのでしょうか?
それは、決められている1500ppmから1ppmでも濃度が超えてしまうと販売できなくなるため、少し低い数値にして製造されています。
6歳以上であれば、1500ppmでも安全なフッ素の濃度ですが、うがいがまだできない4歳以下の子どもの場合、誤って飲み込んでしまうことやフッ素の過剰摂取による急性フッ素中毒を考慮して、500ppm以下の歯磨き粉が推奨されています。大人用の歯磨き粉の味が平気だとしても、子ども用の歯磨き粉を使用するのが望ましいです。

どのような物質でも、過剰摂取は体に害をもたらす恐れがあります。フッ素も同様で、長期にわたって過剰摂取していると、歯が斑状に白く濁るなどするフッ素症にかかることもあります。
また、フッ素は水に溶けやすいため、フッ素が配合された歯磨き粉で歯を磨いた直後に水を飲んだり、うがいをしてしまうと、効果を下げてしまいます。
歯磨き後のうがいも10mlの水で1回のみにすると効果的といわれています。

歯磨き粉に含まれている基本成分

歯磨きの成分は、虫歯予防や歯周病を予防するための「薬用成分」が注目されますが、それ以外にも泡立つための発泡剤やスーっとする清涼成分など「基本成分」が含まれています。基本成分のみの歯磨き粉は「化粧品」に分類されます。

研磨剤(清掃剤)
歯の着色や表面の汚れを落とす成分

発泡剤
泡立つことによって、お口の中全体に歯磨き粉を広げる

保湿剤(湿潤剤)
歯磨き粉に適度な湿り気を与える
湿り気を出すことで、お口の中の粘膜を傷付けないように守る

結合剤
歯磨き粉の成分同士の分離を防ぐ

香味剤
爽快感や香りをつけ、歯磨き粉を使いやすくする

保存剤
酸化や腐敗を防ぐことができる

などがあります。これらは歯ブラシで汚れを落とす補助の役割を果たしています。

歯磨き粉に含まれている薬用成分

医薬部外品や医薬品の歯磨き粉には、必ず薬用成分が表示されています。国内で市販されている歯磨き粉の90%が医薬部外品とされていますが、効能ごとにどのような薬用成分が含まれているのか見ていきましょう。

効能・効果
薬用成分
虫歯ケア
・フッ化ナトリウム
・モノフルオロリン酸ナトリウム
・塩化ベンザルコニウム
歯周病ケア
・塩化ナトリウム
・酢酸トコフェロール
・塩酸クロルヘキシジン
口臭ケア
・塩化リゾチーム
知覚過敏ケア
・硝酸カリウム
ホワイトニング効果
(ヤニやステインを取り除く)
・ポリエチレングリコール
・ポリビニルピロリドン
・ポリリン酸ナトリウム
参考資料:厚生労働省「薬用歯みがき類製造販売承認基準について

虫歯予防で注目されている「ハイドロキシアパタイト」

歯や歯茎に歯垢(プラーク)が付着すると、虫歯や歯周病が進行してしまいます。ハイドロキシアパタイト(ヒドロキシアパタイト)は、歯垢のもととなる細菌(ミュータンス菌)を吸着する性質をもっているため、歯磨きの時に菌を除去しやすく、お口の中の環境を整えることができるといわれています。
ハイドロキシアパタイトの特徴は、非常に小さい粒子であることです。ナノレベルで歯に働きかけるので、小さな傷も埋めて滑らかな歯にしていきます。さらに、粘着質の歯垢や汚れが歯に付きにくくします。
また、歯の再石灰化を促す作用もありますが、これは従来配合されているフッ素の効果を上回るともいわれています。
このように、フッ素に似た機能性で、かつ高いレベルで働きかけるハイドロキシアパタイトは、より良い虫歯予防の歯磨き粉として期待されています。

歯磨き粉の「ホワイトニング効果」で歯は白くなるの?

ホワイトニングとは「過酸化水素」が含まれる薬剤を使い歯を漂白する方法のことです。市販の歯磨き粉の中にはホワイトニング効果をうたう市販品もありますが、歯を漂白する成分である「過酸化水素」は歯磨き粉に配合できないことになっています。
ホワイトニング効果があるとされる歯磨き粉を使っても、歯が漂白されて白くなるわけではありません。あくまでも、着色や汚れを浮かせて取り除くものとなります。

また、多くの歯磨き粉に配合されている研磨剤は、着色を除去する効果があります。しかし、研磨剤の効果が強いものだと、研磨剤の成分が歯肉ポケットに残り、歯肉炎や歯周病といった病気につながる可能性もあります。歯磨きのときは力強く磨かないように注意し、歯磨き後はしっかり口をゆすいで成分が残らないようにすることが大切です。

>>市販のホワイトニング製品って効果はあるの?黄ばみはとれる?
>>歯を白くしたい!黄ばんだ歯を白くする方法?

歯磨き粉の正しい使い方

歯ブラシを濡らした状態で歯磨き粉をつけていませんか?
歯ブラシを濡らした方が泡立ちが良くなりますが、本来は歯ブラシが乾いている状態で歯磨き粉をつけるのが望ましい使用方法です。泡立ちが良すぎると、実際はまだ磨けていないのに口の中がすっきりしてしまい、歯磨きが不十分なまま口をゆすいでしまいます。歯磨き粉を使用して歯磨きをする場合は口の中が泡立つまでではなく、時間を計る、適宜泡を吐き出すなどしながら隅々まで磨きましょう。
また、使う量は6歳以上は1cmくらい(ブラシ部分の半分程度の量)が適切です

電動歯ブラシを使用している方には、研磨剤(歯の表面を磨く成分)や発泡剤(泡立つ成分)を配合していない歯磨き粉がおすすめです。発泡することで爽快感により歯を磨く時間が短くなる傾向があるおそれがあるほか、研磨剤の成分が歯の表面を傷つけることも考えられます。
ホワイトニング効果を謳っている歯磨き粉は、粒の荒い研磨剤が配合されている傾向がありますので、電動歯ブラシを使用している方は注意してください。

歯磨き粉に配合されているフッ素の効果を高めたい場合は、2回磨くダブルブラッシング法」という方法があります。
1回目は歯磨き粉を使わず丁寧に磨きます。2回目はフッ素を配合した歯磨き粉を歯ブラシにつけ、歯列全体にのばすようにつけて軽く磨き、お口の中の唾液や歯磨き粉を軽く吐き出し、最後に1回だけ10ml程度の水を含んで口をゆすぎます。
これによってフッ素が口の中にとどまり、唾液に混ざって再石灰化や歯質強化、細菌の酸を作り出す機能の抑制など、虫歯予防の効果を高めます。

このように歯磨き粉にはそれぞれ特徴がありますが、目的に合わせて選ぶことが大切です。ご自身に合った歯磨き粉を知りたい方は、歯科医院で相談するのもよいでしょう。