歯石自体は悪い存在ではない?


歯石自体は歯に付着したプラーク(歯垢)が唾液(の中のカルシウムイオンの作用)により、石灰化した沈着物です。
歯石自体には病原性はないといわれているので悪い存在ではありません。

しかし、歯石の表面はざらざらと粗造で、目に見えないほど小さな穴がたくさん開いています。
歯石を足がかりに再度歯垢(プラーク)が付着しやすくなったり、細菌が溜まりやすいため歯周病のリスクファクターとなります。

1度歯周病に罹患してしまうと、歯周病だけでなく、歯周病の合併症に悩まされることになるかもしれないのです。

歯周病の合併症には何があるのか?
糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞、メタボリックシンドロームや骨粗鬆症などさまざまな全身の病気への関連性があるとされています。
また、認知症にも関連しているんだとか。

女性だと、妊娠したときに切迫早産や低体重児の出生の可能性もあります。
さまざまな全身の病気へ繋がってしまう「歯周病」を予防するために、歯石の除去やお口の中のケアが必要です。

歯石取りに通う頻度はどれくらい?


歯石は非常に硬いため、歯磨きで取ることはできません。
歯石が付着してしまった場合は、歯科医院で歯科医師または歯科衛生士による歯石を取り除く「スケーリング」と呼ばれる歯科処置で綺麗にします。

歯垢は毎日の歯磨きをすることで自分自身で取り除けますが、全ての歯垢を取り除くことは困難とされています。

28本ある歯の全ての歯面(112面)の内、80%の歯面の歯垢を取り除けていたら歯磨きができているとされていますが、約20%程度の歯垢はセルフケアを頑張ってもお口の中に残ってしまうのです。
お口の中に残っている歯垢は、唾液に含まれるカルシウムによって24~48時間で歯石へと変化してしまいます。

歯石は、歯の白い部分につく「縁上歯石」、歯と歯茎の境目である歯周ポケットや歯の根に付着する「縁下歯石」の2つに分けられます。



縁上歯石は歯と歯茎の境目付近の上部分に付着しており、歯科医院で取り除く治療も痛みは少なく、取り除きやすいとされています。
縁下歯石は、歯茎の炎症によって出血した血液や細胞が混じり、黒いことが特徴です。強固に歯に付着しているため、取り除く治療も大変です。

縁上歯石も縁下歯石も、付いたまま放っておくと歯垢や細菌が集まり、歯茎に炎症を引き起こし、最終的には歯を支えている骨を溶け、歯周病がどんどん進行してしまいます。
歯周病が進行する前に歯周病の原因となり得る歯石を除去するために、クリーニングに通う頻度は最初は数週間ごとが多いでしょう。

付いてしまっていた歯石を取り除き、炎症を起こしていた歯茎の状態の改善のための経過観察も併せて、定期的に通いましょう。

毎日行う歯磨きで歯垢の取り残しがなくなってくると歯石の付着も減りますので、数ヶ月から半年に1度になるなど、患者の清掃状態に応じた時期に変更されます。

毎日の歯磨きでの歯垢の取り残しを減らすために、歯石除去の時に歯磨きの方法を指導する歯科医院も多くあります。

通院の頻度は歯科医師と歯科衛生士がお口の中をチェックし、必要とされる頻度を決定しますので、指示通りにしっかりと通ってお口を良い状態に保ちましょう。

歯垢の取り残しを減らすためには


歯垢の取り残しを減らすためには、丁寧な歯磨きが重要です。

歯磨きのポイント
・1日3回食後に磨く習慣をつける
・間食後も磨く
・歯ブラシは1ヵ月で新しいものに交換する
・毛先が開いてきたら新しい歯ブラシに交換する
・2歯10往復を目安に小さく細かく動かす
・1回の歯磨きの時間は5~10分程度
(電動歯ブラシの場合は2~3分程度)
・歯磨き粉は歯ブラシの半分から⅔の量にする
・歯ブラシを鉛筆持ちで持つ
・磨く順番を決めて磨き忘れをなくす
・歯ブラシが磨きたい部分に当たっているか鏡で確認する
・歯の白い部分だけでなく、歯と歯茎の境目にも毛先を向けて優しく動かして磨く

歯ブラシでの歯磨きだけでもたくさんありますね。
急に全てを行うのは難しいかもしれませんが、少しずつ習慣づけていくと歯垢の取り残しを減らすことができるでしょう。

歯ブラシのブラシ部分が大きくて歯に当てて磨くことが難しい場合は、ブラシ部分が小さな歯ブラシや、部分的に磨くためのタフトブラシを使ってみましょう。

また、歯ブラシでの歯磨きのほかに、歯ブラシの毛先の届かない歯と歯の間、歯と歯茎の間の歯垢を取ることも大切です。フロスや歯間ブラシ、歯間洗浄機(ウォーターピック)など補助用具を使って歯垢を取り除きましょう。

自分自身に合った歯ブラシや補助用具がわからない…という方は担当の歯科医師、歯科衛生士に相談すると、患者さんのお口の状態に合った歯ブラシや補助用具の紹介や、磨き残しやすい部分の磨き方を教えてくれるかもしれません。 買ったものの使い方がわからない、なんてグッズがある時も相談してみると使い方を教えてくれるかもしれませんよ。

歯垢が歯石になる前に除去しよう!


上記で記載したように、歯垢や歯石の付着状況によって通院頻度には個人差がでます。
また、食生活やお口の中の環境によっても、歯垢と歯石の溜まりやすさに差が出てきます。
ていねいな歯磨きによって歯垢が取り除けている場合は、頻繁に通院する必要はなくなります。

歯垢や歯石の付着具合のほかに、口臭や被せ物の具合、虫歯のできやすさなどさまざまな要因によって定期検診の間隔は決定されますので、指示された期間の通院が難しい場合は、担当の歯科医師や歯科衛生士に相談しましょう。