日本人の死因1位・がんと歯周病の関係性

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近年、さまざまな研究で歯周病が全身疾患の誘因となる可能性が指摘されるようになりました。その中には、がんの発症にも関与するかもしれないという報告も含まれています。がんは誰もが予防したいと考えている疾患。歯周病の治療が、そうした全身疾患の予防につながるかもしれません。

1. 高齢化とともに高まるがんのリスク

日本でもがんの検診を受ける意識が高まっていますが、2018年の時点で日本人の死因1位となっており、2018年にがんで亡くなった人は373,584人という統計が出ています。がんの死亡率は、男女ともに60代から増加する傾向にあり、高齢になるほどそのリスクが高くなっています。日本はほかの先進国と比較しても高齢化のスピードが速く、中高年代の人口割合が増加していることでがんの死亡者数が増加しているともいえます。
また、性別でもがんのリスクに関する傾向が異なります。生涯がんで亡くなる確率は女性が15%なのに対し、男性が24%と高くなります。がんで死亡する部位を見ても、男性の1位は肺、女性の1位は大腸という違った結果が出ています。

2. がんの発生に歯周病が関与する可能性

がんが発生する要因としては、食生活や飲酒のほかに喫煙や運動不足などの生活習慣が関係しているとされています。海外では歯周病とがん発生のリスクを関連付ける研究があります。また、正確なメカニズムは不明なものの、重度の歯周炎をもつ人は、軽度または歯周炎がない人に比べてがんを発症する相対リスクが上昇したという報告もあります。乳がんや大腸がんの発生なども歯周病と関連している可能性を指摘されています。

歯周病は、歯の周辺に炎症が起きる症状を指します。その炎症を抑えるために白血球が集まり炎症性サイトカインという物質を放出します。炎症性サイトカインはがん自体が巨大化するために、がん細胞からも沢山出ています。つまり、歯周病による炎症性サイトカインの放出はがんが大きくなることを助長します。炎症を起こしている歯茎の近くには非常に小さな神経や血管が多く、血流が豊富です。炎症を起こしている歯茎から、がん細胞の発育を助ける物質が微量でも全身に送られれば、がん細胞が大きくなる可能性はあるといわれています。

3. 健康的な生活のためにも歯周病ケアは大切

歯周病はお口の中の健康だけでなく、日本人の死因のトップであるがんとの関連性も報告されています。まだ正確なメカニズムについてはわからない部分が多いものの、糖尿病などの全身疾患との深いかかわりも指摘されています。寿命が長くなる一方でがんのリスクは上昇するという中、健康的な生活を少しでも長く続けることは現代人の課題でもあります。歯周病予防の徹底は、お口の健康寿命を延ばすだけでなく、がんを含む重大な全身疾患のリスクを抑える働きがあるかもしれません。

歯科医師:古川 雄亮 先生
歯科医師:古川 雄亮 先生

国立大学歯学部卒業後、大学院において歯のエナメル質の形成に関わる遺伝子研究を行い、アジア諸国で口腔衛生に関連する国際歯科活動にも従事。

歯学博士修了後、南米の外来・訪問歯科診療に参加 2019年10月10日Nature系のジャーナルに研究論文「HIV感染患児における免疫細胞の数と口腔状態との関連性について」を公開。

[参照URL] https://www.nature.com/articles/s41598-019-51077-0

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