口唇(こうしん)がんとは
お口の中やその周辺組織に発症するがんは「口腔がん」という分類に大別されます。
その中でも、唇やその付近に発生するがんのことを「口唇がん」と呼びます。
口唇がんは、口腔がんの中では最も発症する可能性が低く、唇の外側にできた場合は視覚的にも発見しやすく、早期発見・早期治療が可能な口腔がんの一つです。
しかし、唇の内側にある粘膜に発生するケースもあり、その場合は口内炎やヤケドと見分けがつきにくく放置してしまったりと発見が遅れることがあります。
口唇がんの症状
進行初期の口唇がんには自覚症状はほとんどなく、ある程度進行してから自覚症状が出てきます。
口唇がんの具体的な症状・所見としては、以下のものが挙げられます。
唇が荒れる・かぶれる
しこりがある
潰瘍ができる
びらんができる
カリフラワー状の腫瘤が発生する
症状が出た時には既にがんが進行している可能性があり、特に痛みやしこり、潰瘍の所見がある場合は早期の受診をおすすめします。
唇の荒れやかぶれは使用している化粧品によるアレルギーや日焼けなどさまざまな原因がありますが、長期にわたって続く場合や一部だけが酷く荒れている場合は診察を受けてみましょう。
口唇ヘルペスとの違いとは?
口唇ヘルペスとは
口唇ヘルペスは、唇や唇の周囲に痛みを伴う赤く小さな水ぶくれが発生する病気です。
「単純ヘルペスウイルス」と呼ばれるウイルスが原因であり、人と人の間で感染します。
口唇ヘルペスは治療によって症状を抑えることはできますが、完治する方法は今の時点ではありません。
一度口唇ヘルペスに感染すると、その後も再発する可能性は十分にあります。
心身の疲労が蓄積して抵抗力が落ちると感染しやすくなるため、体調管理が一番の予防法であるといえます。
唇付近の同じ場所にできものができては治るを繰り返す場合は、一度診察を受けてみましょう。
口唇ヘルペスとの症状の違い
口唇ヘルペスに感染すると、まず唇に軽いかゆみや違和感が生じ、その後に赤い腫れや小さな水ぶくれが発生します。
水ぶくれは高確率でかさぶたとなり(稀にただれる)、およそ1週間から2週間で治癒します。
しかし、高確率で何度も再発するのも口唇ヘルペスの特徴であり、治った後の経過にも注意が必要です。
口唇がんと口唇ヘルペスの症状はよく似ていますが、口唇がんの場合はしこりを伴うという点に違いがあります。
また、かゆみから水ぶくれに発展する口唇ヘルペスと異なり、口唇がんは唇の荒れ、びらん、カリフラワー状の腫瘤(しゅりゅう)が発生します。
口唇がんの治療は何科?
口唇がんを治療する場合は、基本的に手術により取り除く必要があります。
口唇癌の治療は耳鼻咽喉科、口腔外科、癌科などになりますが、口唇がんの発見にあたっては、先述した口唇ヘルペスとの混同を回避することも重要です。
口唇ヘルペスをみる診療科は、口腔外科や皮膚科です。
口唇がんと口唇ヘルペスの症状の違いを把握し、受診する診療科を検討することをおすすめします。
診療科が分からない場合、まずは皮膚科を受診しましょう!
まとめ
口唇がんは初期症状が自覚しにくいというだけでなく、口唇ヘルペスとの区別がつきにくいのが特徴です。
口唇がんは自然に治るものではなく、完治には切除が必要です。口唇ヘルペスであれば症状は治まりますが、ウイルスが体内に潜伏するため症状を繰り返す可能性があります。
唇は顔の中でも目立つパーツです。
いつも見ている部位ですが、唇の周りに変わったことがあれば、早めに対応するようにしてみてくださいね。