「口蓋(こうがい)」とはどこ?

「口蓋」とはあまり日常生活では聞くことがない言葉ですよね。
よく歯科医院へかかる方でも、あまり聞かないかもしれません。

口蓋とは、お口の中の上顎の天井部分(上の歯の内側の部分)のことです。

ちなみに、口蓋の中でも前方の骨があり、舌で触ると硬い部分を硬口蓋、後方の骨の無い柔らかい部分を軟口蓋といいます。

口蓋は、発音や食べ物を飲み込む動作である嚥下において欠かせない役割を果たしています。

口蓋がんとは?

口蓋がんとは、お口の中にできるがんの中で、口蓋にできたがんのことです。

お口の中にできるがんをまとめて「口腔がん」と呼び、口蓋がんのほかに舌がん、頬粘膜がん、歯肉がんなどがあり、口蓋がんはその中の1種類です。

口蓋がんは、口腔がんの中でも2~3%程であり低い確率とされていますが、日本では高齢化とともに増加傾向にあります。

口蓋がんの症状

症状としては、口蓋の粘膜面が赤や白に変色するほか、腫れる深い潰瘍ができる場合もあります。

口蓋がんは初期症状では痛みはあまりありませんが、目でわかる症状が出るため、ほかの口腔がんに比べて比較的発見しやすいことが特徴です。

定期的にお口の中に変化がないか、セルフチェックすることで早期発見・早期治療につなげることができますよ。

ヤケドをした、傷付けた覚えがないのに口内炎のような症状が2週間以上続いている、表面が凸凹している、といった口蓋部分の異常を感じたら、口蓋がんの疑いがあるため早めに診察を受けるようにしましょう。

また、扁平上皮がん以外にもう一つ唾液腺由来の腺がんという種類があり、これは内部からがんが発生して歯肉の腫れなどを起こすものです。

内部からがんが進行する場合は表面に症状があまり出ないため気が付きにくく、発見が遅れることがあります。

口蓋がんに似ている口蓋隆起とは?

口蓋がんでは口蓋の腫れや膨らみが症状としてありますが、似た症状を持つ「口蓋隆起」というものがあります。

口蓋がんと見た目は似ていますが、こちらはがんではありません。

口蓋隆起とは

口蓋隆起とは、何らかの理由で口蓋の骨が過剰に発達したためにこぶのようになった状態を指します。

潰瘍などではなく骨そのものが出っ張っているだけで、何か病気によって現れた症状というわけではありません。

歯ぎしりや食いしばりなど顎の骨に強い力が加わることで、骨が過剰発達し骨隆起ができると考えられています。

基本的にそのままでも問題ありませんが、入れ歯の方の場合は入れ歯の安定に問題が出ることがあるので、取り除くことがあります。骨隆起を取り除く手術ですが、口蓋の粘膜を切り開き、余分な骨を削り取ることで除去することができますよ。

骨隆起は下顎の裏側(舌側)にできることが多く、そちらは下顎隆起と呼ばれています。

口蓋がんとの違い

口蓋隆起は骨のこぶのため硬く、大きさの変化はあまり見られません。
骨に加わる力によって少しずつ大きくなることもありますが、急激に大きくなることはありません。

また、骨隆起ができている部分の粘膜の色の変化や、びらん、潰瘍ができることもありません。

骨のような硬さはない、急速に大きくなっている、色がおかしいなどの場合は口蓋がんが疑われます。

骨隆起?口蓋がん?と迷ったらためらわずに医院で診断してもらいましょう。

口蓋がんは何科で治療ができる?

口蓋がんは、頭頸部がん専門医による手術を中心とした治療を行うのが一般的です。

口蓋がんを手術で治療する場合は全身麻酔が必要であり、設備の整った大きな病院へかかる必要があることも。

口蓋がんかもしれないと感じた場合は、まずは早めに耳鼻咽喉科、口腔外科、歯科などを受診しましょう。
必要に応じて、頭頸部がん専門医が勤務する病院を紹介してもらえます。

まとめ

お口の中の上顎にあるぽこっとした膨らみは口内炎やヤケドのこともありますが、痛みがあまりなく2週間以上治らない場合には、口蓋がんかもしれません。

また、似た症状が見られる口蓋隆起というものがありますが、口蓋隆起は骨の過剰発達であり触れるとゴツゴツと硬いことが特徴です。

こうしたお口の中の変化には、舌で触れたり、鏡で確認したりすることで気づくことができます。

何か病気かもしれないと不安に感じたら、自己判断してしまわずに、まずは耳鼻咽喉科、口腔外科、歯科などを受診してみてくださいね。