口腔底癌とは
お口の中や唇など口周りにできる癌を「口腔がん」といいます。
口腔がんは50歳を超えると罹患率が高くなり、高齢になるにつれてさらに上昇傾向に。
日本では、口腔がんにかかる人が年々増加しているといわれています。
口腔がんは、がんができた部位によって分類され、舌にできるがんを舌がん、歯茎にできるがんを歯肉がんと呼び、他にも口蓋がん・頬粘膜がん・口唇がんなどがさまざまな種類があるんです。
口腔底癌も口腔がんの一種。
舌の下あたりの口腔底という部分にできるがんで、特に下の前歯の歯茎に近い部位に多く発症します。
口腔底癌の症状
では口腔底癌とは具体的にどのようなものか、その症状についてご紹介します。
口腔底癌のできる場所
そもそも「口腔底」という言葉を耳にする機会は少ないのではないでしょうか。
口腔底とは、お口の中の下の部分のことで、お口を開けて舌を上げると見える部分です。下の前歯と舌の間の領域です。
口腔底には舌神経や舌下動脈などの重要な組織が位置していて、唾液が出てくる孔(あな)が存在する場所です。
唾液が下の前歯の裏側から出ていることは、下の前歯が虫歯になりにくい理由であり、下の前歯に歯石が付着しやすい理由でもあります。
小さな潰瘍
初期段階では、口内炎のような小さな潰瘍が口腔底にみられます。
ほとんどの場合、痛みはなく、なかなか治らずかなりの時間が経過してからがんだと診断されることも多くあります。
粘膜の変色
粘膜表面が変色して白い斑点がみられるという初期症状も。
また、患部が充血して赤い斑点が出ることもあります。
しこり
舌先や手で触るとわかる硬いしこりがある場合にも注意が必要です。
ただし、口腔底は骨隆起という骨が盛り上がる現象がよくみられる部位でもありますので、しこりに気が付いてもあまり心配しすぎず、まずは診察を受けてくださいね。
口の中が渇く(唾液分泌の妨害)
口腔底癌の発症によって、唾液の分泌量が減ることもあります。
口腔内の唾液が減ると衛生環境が悪化してしまうため、虫歯ができるリスクが上昇します。口腔底癌により唾液の分泌が下がる場合も同様です。
口腔底癌は初期段階では痛みは少なく、痛みを感じる場合にはがんが進行していることも。
痛みを感じたから確認するのではなく、歯磨きの後などにお口の中をチェックする習慣を付けておくと早期発見ができるかもしれませんね。
口腔底癌の治療は何科?
上記のような症状があり、口腔底癌かもしれないと感じた場合には、まずは近くの口腔外科や耳鼻咽喉科を受診してください。
場合によって大学病院のがん診療科やがんセンターなどへの紹介状を書いてもらいましょう。
口腔外科とは、お口の中・顎・顔などの疾患を扱う診療科です。
歯に関する治療や口腔がんの検査なども行っています。
大きな病院の口腔外科では、口腔がんの手術を行っているところも。
専門の科を受診することで、誤診や正確な診断が遅れてしまうことを防ぐことができますよ。
また、耳鼻咽喉科は耳や鼻以外に実はお口の中の治療も行う診療科。
街のクリニックなどでは口腔外科同様、口腔がんの検査を行っていて、必要に応じてより大きな病院の耳鼻咽喉科・頭頸科・口腔外科などを紹介してくれます。
口腔底癌の治療法とは?
患者さんの年齢や健康状態、進行状況などによって治療方法が選択されます。
一般的に、口腔がんは手術でがんを取り除く治療が中心です。
口腔底癌では、がん発症部の部分切除を行うことがある他、進行具合によって口腔底全体を切除することもあります。
舌・下顎の歯茎・下顎骨にまでがんが進行していればそれらの部位も一般的に切除します。
ただし、日常生活において重要な食べる・飲む・話すといった機能を温存することを考えて、顎の骨や舌などの切除範囲が決められることが一般的です。
切除によって機能が大きく低下した場合には、再建手術などで食べる・飲む・話すための機能回復を図ります。
初期段階であれば、手術だけ、または放射線治療だけで治癒する例も。
進行したがんであれば手術だけでなく、放射線治療や抗がん剤の投与なども行うケースが多いです。
まとめ
舌の下あたりに今までにない違和感があれば、念のために口腔底癌を疑いましょう。
口腔底の腫れやしこりは気づきにくい部位だからこそ、鏡を使って自身の目で異変がないかをチェックすることが大切です。
症状が当てはまる場合には、早期に口腔外科や耳鼻咽喉科を受診してみてくださいね。