悪性黒色腫は皮膚がんのひとつ
悪性黒色腫は皮膚がんのひとつです。
手のひら、足の裏、顔、胸、腹、背中といった各種の皮膚に加え、口・鼻の中、肛門部の粘膜など皮膚と同じ組織でできている部分にできます。
患者の男女比はほぼ同じですが、50歳代に入ってから大きく患者数が増加します。
最も発症数が多いのは、60歳代~70歳代。
年齢が高いほど、罹患数が多い疾患といえます。
お口の中の粘膜は皮膚と基本は同じ
お口の中と身体の皮膚。見た目は大きく違いますが、両方とも「重層扁平上皮」と呼ばれる構造でできておりとても似ています。
そのため、皮膚がんの一種である悪性黒色腫は口の中にもできるんです。
口腔にできる悪性黒色腫はほくろに似てる!?
口腔の悪性黒色腫の特徴は?
画像引用:口腔外科相談室
悪性黒色腫は、特に50歳以上の中高年層における発生率が高い疾患です。
お口の中では、特に上顎の歯茎と硬口蓋(口の中の天井部分)に多くできるとされています。
下顎の歯茎や、頬の内側にできる場合もあります。
見た目はその名の通りに黒色、あるいは少し茶色と黒の中間(褐色)のような色がお口の粘膜に色づきます。
ただし、着色が視覚的に把握できないタイプのものもあるので、色が薄いからといって安心はできません。
口腔の悪性黒色腫は予後が悪い
口の中に悪性黒色腫ができた場合、血行性、もしくはリンパ行性での転移が起こりやすいです。
また、癌の周囲に小さな転移(衛生転移)を起こすことが特徴です。
リンパ流に沿って転移が起こった場合は、そのまま頸部にあるリンパ節が腫れ、そこから肺や肝臓、さらには骨に転移していき、影響が全身に及ぶ危険性があります。
血液に乗って転移が起こっていった場合も、その危険性は全身に及びます。
口の中に悪性黒色腫ができてしまうと、その予後は非常に悪いのです。
治療法としては、外科手術による摘出や、リンパ節の郭清が基本となります。
加えて、センチネルリンパ節(ガンが最初に転移するリンパ節)の生検を行って転移が見られる場合はリンパ節を広範囲に取り除くことも行います。
転移箇所や病期によっては放射線治療や化学療法、免疫療法も導入されます。
転移させないこと、そのために早期発見と早期の治療開始が予後を大きく左右するのです。
口の中に「ほくろ」はできる?
悪性黒色腫は「ほくろ」に似ていると言われています。
「ほくろ」といえば皮膚によくできるイメージですが、皮膚と近い構造の口の中にも当然ほくろはできます。
口の中にできるほくろと、悪性黒色腫との違いは、かなり見分けにくくなっています。
仮に悪性黒色腫だった場合は早期の摘出が必要になるため、お口の中の黒い変色をほくろと判断するのは慎重になるほうが良いでしょう。
ほくろが少しずつでも大きくなっていく場合や、膨らんだほくろの場合は、悪性黒色腫である可能性が高くなります。
また、急に大きなほくろができた場合も警戒しておきたいですね。
お口の中を毎日まじまじと見る人は少なく、「あれ、何か変かも?」と思った時点ではすでにかなりの時間が経過してしまっていることも。
そこからさらに「どうせほくろだろう」と放置してしまうと、手遅れになってしまうかもしれません。
これらの兆候があった場合は、早めに専門医を受診し、検査を受けることがおすすめです。
まとめ
悪性黒色腫は50歳以上が多い疾患ですが、年齢を問わず誰にでも発生する可能性があります。
悪性黒色腫を予防するためにも、他の疾患を予防するためにも、時々お口の中を隅々までチェックしてみましょう!
悪性黒色腫はリンパへの転移が早く、予後が悪いケースが非常に多いんです。
もし、口の中にほくろができて大きくなる、膨れる、違和感がある場合は早めに医療機関を受診して、検査や治療を受けられるようにしていきましょう。