肥満と診断される基準とは
「肥満」というといわゆる太っている人を想像しますが、見た目が太って見えなくても肥満と診断されるケースがあります。
肥満は、BMI(肥満指数)が25以上である状態のこと。
ぱっと見太って見えなくても、BMIが高ければ肥満と診断されるのです。
BMIは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」という計算で出すことができますよ。
一度、今の自分自身のBMIを計算してみましょう。
ただし、これはあくまで診断基準のひとつです。
この計算方法では、筋肉で体重が多い場合もBMIは高くなってしまいます。
毎日のようにジムに通っている、筋肉が自慢である、日々かなり激しくスポーツを行っている、など筋肉が増える要素がある場合は、BMIが25を超えていても問題ないと言えるでしょう。
筋肉が人並みの場合は、BMIは18.5以上25未満が平均的な数値です。
近年はシンデレラ体重や美容体重などさまざまなBMIの基準がありますが、無理に低いBMIを目指すのはかえって不健康なこともあります。
まずは健康上問題がないとされる18.5以上25未満を目指してみましょう。
肥満と肥満症は違う
「肥満」と「肥満症」は似た言葉ですが、実際に使われる意味は大きく異なります。
肥満症は、肥満が元で健康に害が起きており、痩せる必要がある状態のこと。
一方の肥満は体重が重い状態ですが、病気を示しているわけではありません。
「肥満症」は、以下のような合併症がある・今後発症すると予測される場合に診断されます。
糖尿病
肥満になると血糖値を下げる「インスリン」の働きが鈍くなります。
インスリンの働きが鈍くなると、それを補うために一時的にインスリンの分泌量が増えますが、そのうち膵臓が疲弊し、インスリンの分泌量が通常に比べて減少してしまいます。
インスリンの分泌量が減少すると血糖値が下がらなくなり、糖尿病になるのです。
肥満は糖尿病の一番のリスクファクターとも言われていますね。肥満の合併症である糖尿病になると、さらに糖尿病性の網膜症や神経障害、腎症などの合併症を引き起こしたり、歯周病になりやすくなってしまいます。
高血圧
肥満になると高血圧になる理由は複数あります。
まず、肥満になると血圧を上げるホルモンが分泌されやすくなるためです。
また、血糖値を下げるためのインスリンがたくさん分泌されている時は交感神経が優位になり、緊張状態から高血圧になるのです。
そのほかにも、糖尿病で腎臓の機能が低下すると血中のナトリウム濃度が高まります。
血中のナトリウム濃度を下げるために血液量が増え、結果的に血圧が高まります。
肥満だけが高血圧の原因ではありませんが、合併症などさまざまな要因で高血圧になる可能性が高まります。
脳梗塞
脂肪細胞からは血栓を起こすPAI-1という物質が多く分泌され、脳梗塞を起こしやすくなります。
筋肉が多くてBMIが25を超えている場合はこの限りではありませんが、内臓脂肪が多い肥満では脳梗塞のリスクが高まるのです。
そのほか、高血圧や脂質異常など肥満の合併症によって脳梗塞のリスクが高まります。
メタボリックシンドローム
メタボリックシンドローム(通称メタボ)と肥満、肥満症は同じ意味だと思っていませんか?
メタボは肥満症のうちのひとつであり、肥満や肥満症とはまた意味が異なるのです。
メタボは別名「内臓脂肪症候群」とも呼ばれるもので、内臓脂肪を原因としたさまざまな症状のこと。
肥満+「高血圧」「脂質異常」「高血糖」のうち、いずれか2つの症状があるとメタボと診断されます。
肥満症はいずれか1つ以上の合併症がある、あるいは今後合併症になると予測される場合のため、メタボのほうが深刻な状態といえるかもしれませんね。
男女別メタボの診断基準
メタボの診断基準は、肥満の診断基準とは大きく異なります。
BMI計算で25以上だった方は、以下に当てはまるかどうか確認してみてくださいね。
・腹囲(おへそを通る周囲)
男性:85cm以上
女性:90cm以上
腹囲の数値に加え、以下の項目のうち2つが当てはまればメタボとなります。
・中性脂肪
≥ 150mg/dl かつ/または HDL<40mg/dl
・血圧
収縮期血圧 ≥ 130mmHg かつ/または 拡張期血圧 ≥ 85mmHg
・血糖
空腹時血糖 ≥ 110mg/dl
筋肉が多い場合は、体重から算出するBMIと腹囲は基準値を超えるかもしれませんが、中性脂肪や血圧、血糖は基準値を超えないはずです。
もしも超えている場合は、もしかしたらそれは筋肉ではなく脂肪なのかもしれません。
中性脂肪や血糖は、健康診断の時以外にも病院で検査することができますので、気になった時は医療機関へ問い合わせてみてくださいね。
肥満になると上昇するリスク
まだ肥満による合併症が出ていなくても健康へのリスクは避けられません。
肥満になると、膝や腰など関節への負担が大きくなります。
特に高齢になるにつれて、関節痛や腰痛などを引き起こしたり転びやすいといった普段の生活におけるリスクが高まります。
また、肥満の人ほど歯周病にかかるリスクも高くなるとされています。
誰もが気になる肥満!歯周病と相関関係にある可能性も?では肥満と歯周病の相関関係について詳しく紹介しているので、こちらもぜひ参考にしてみてくださいね。
肥満を解消するために
肥満になっても良いことはありません。
では、肥満を解消するためには何をしたらいいのでしょうか?
既に肥満の人は肥満を解消するために、まだ肥満ではないけど不安な人は肥満にならないために、次の3つを心掛けてみてください。
①運動
在宅勤務や自粛生活ではどうしても運動の機会が減ってしまっています。
肥満の解消には、少し早めのウォーキングや自転車、水泳などの有酸素運動が推奨されています。
いきなり有酸素運動を始めるのは難しいので、まずは毎日の軽いウォーキングやストレッチ、家の中でできるエクササイズなどを始めてみてはいかがでしょうか。
家の中の掃除や日々の家事も意外と運動になるので、積極的に行ってみては。
②食事改善
運動をしていても、それを超える量を食べていては肥満は解消できません。
1度の食事のカロリー量や、間食の回数などを見直してみましょう。
もしも1日1食~2食しか食べていない場合は、1日3食食べる習慣を付けてみてくださいね。
食事回数を減らすと食事の度に急激に血糖値が上昇してしまい、脂肪がつきやすくなると言われています。
朝昼夜と食事をする事で1日の基礎代謝も増加しますので、規則正しい食事(高蛋白質・低糖質)を心がけましょう。
③体重管理
なんとなく太った・痩せたではなく明確にするため、毎日同じ時間・同じ状態で体重を測るようにしてみましょう。
食前や食後で体重は変動しますし、就寝前か寝起きでも体重は大きく異なるのでなるべく同じ状態で測定するようにしてくださいね。
体重の増減を正確に測ることでモチベーションの維持ができたり、体重が増えた時は生活を見直して改善するきっかけになりますよ。
体重を減らしたい!という方は、ダイエットの人気記事を参考にしてみてくださいね!
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目指せBMI指数「22」!
ダイエットには具体的に目指す数字があるとモチベーションになりますよね。
今現在、BMIが25を超えているのであれば目標をBMI指数22にしてみてはいかがでしょうか。
18.5以上25未満が健康とされるBMIの範囲ですが、最も疾病が少ないのが「22」だという報告があるんです。
筋肉が多くてBMIが25以上になっている場合は、無理に22にする事が健康的とは言い切れませんので注意してくださいね。
自分がBMI22になるための体重を計算して、目標体重を決めてみましょう!
(例)176cmの男性でBMI22になる体重…68.1kg
68.1(kg)÷1.76(m)×1.76(m)=22
まとめ
BMIの平均数値になるように体重管理をすることをおすすめしてきましたが、平均数値になるように体重を無理に落とすことは健康的ではありません。
目標値を決めたら、健康的に叶えられる計画を立てましょう。
過度な食事制限や短期間で大幅に体重を減らすことは、身体にとって大きな負担になります。
自分自身で管理するのが不安な場合は、ジムトレーナーなどプロに頼ったり、肥満外来(専門家の指導の元ダイエットを行える医療機関)にかかるのもおすすめです。
1ヵ月に減らす体重は元の体重の5%までにしたほうがいいという説もあります。
いきなり無理なダイエットをするのではなく、肥満以外の健康を損なわないダイエットをしてくださいね。