予備群も含めると2,000万人!糖尿病ってどんな病気?

糖尿病には1型と2型の2種類がありますが、ここでは生活習慣などが要因とされ、糖尿病患者の95%以上が該当する2型についてお話します。

血糖値は食事によって一時的に高くなりますが、すい臓から分泌されるインスリンによってコントロールされています。
しかし、このインスリンの分泌量が減ったり、機能が悪くなったりすると、血糖値が高いままになってしまいます。この状態を糖尿病と呼んでいます。

糖尿病は神経や目、腎臓などにさまざまな合併症を引き起こすとされています。
これを三大合併症といいます。

また、糖尿病は動脈硬化などの要因にも挙げられるため、心臓病や脳卒中のリスク上昇も指摘されています。

平成28年の厚生労働省の調査によると、糖尿病有病者と糖尿病予備群を合わせた数はおよそ2,000万人とされており、年齢が高いほど糖尿病有病者の割合が高くなるというデータが出ています。

歯が抜けてしまうこともある歯周病

歯周病は、口内の歯周病を引き起こす菌によって歯茎が炎症を起こし、知らぬ間に歯を支える骨(歯槽骨)がどんどん溶けて、最後は歯が脱落する恐ろしい病気です。

歯周病の原因となる細菌は歯垢(プラーク)と呼ばれる粘着性のある物質を作り、歯の表面にべったりと付着。
歯磨きなどが丁寧にできていないと歯垢が取り除けず、硬くなって歯石に変化します。

歯垢以外に歯周病を進行させる要因としては、歯ぎしりや食生活の乱れ、喫煙やストレスなども挙げられています。

2017年の時点で、歯肉炎および歯周疾患の総患者数398万3,000人であるとされます。
歯周病の有病率は年齢が上がると高くなる傾向にあり、25~34歳で32.4%なのに対し、65~74歳では57.5%となっています。

糖尿病の患者さんは歯周病になりやすいという報告も

歯周病は糖尿病との関連性についても研究されてきています。

例えば、世界でもっとも高頻度に2型糖尿病を発症するという民族「ピマインディアン」を対象にした研究によると、2型糖尿病患者は非糖尿病の人に比べて歯周病発症率が2.6倍高かったという結果が報告されています。

糖尿病にかかると、インスリンがうまく機能せず高血糖になります。
すると、体は糖を排出しようとして大量に尿を出すようになります。

これによって脱水傾向が強まり、口の中の唾液の分泌量が減って浄化作用も減少。
歯周病の原因となる細菌が繁殖しやすい環境となってしまいます。

また、糖尿病は細菌に対する抵抗力や組織の修復力の低下を招きます。
歯茎が炎症を起こすと歯周組織の破壊がより速く進行し、重症化しやすいと考えられています。

糖尿病はさまざまな合併症を引き起こしますが、このようなことから、歯周病は糖尿病の「第6の合併症」と認識されるようになってきています。

歯周病が糖尿病を悪化させることも?

これと反対に、歯周病によって糖尿病が進行しやすくなるという考え方もあります。

歯周病による毒素が全身の血管に入り込み、免疫細胞は炎症性サイトカインであるTNF-αと呼ばれるものの生産を促進します。このTNF-αは、インスリンの働きを阻害することがわかっています。

つまり、歯周炎によって血糖値が上がり、糖尿病のコントロールを困難にしているということになります。

糖尿病も歯周病も生活習慣病!生活の見直しでどちらも改善しましょう

こうした相関関係があることから、歯周治療を受けることで糖尿病も改善するのではないかと考えられています。
例えば、歯周治療により糖尿病のコントロールを表す糖化ヘモグロビン(HbA1c)に改善が見られることがわかってきています。

糖尿病にも歯周病にも、生活習慣病であるという共通した一面があります。糖分のとりすぎやストレス過多のほか、 喫煙などのように両者に共通する因子として挙げられるものもあり、生活習慣の見直しが糖尿病や歯周病の改善や予防に貢献する可能性があります。

糖尿病と歯周病には、こうしたさまざまな関係性が報告されています。糖尿病の患者さんはもちろんのこと、糖尿病でない方も歯医者さんで定期検診を受けてください。

糖尿病と歯周病の関係性について詳しく説明を受けられるのではないかと思います。
口の中を清潔にすることで糖尿病を上手くコントロールできる可能性が高いです。