歯周病は気付かぬうちに進行してしまう
歯周病は、お口(主に歯垢(プラーク)の中)にひそむ歯周病原菌が、歯肉・歯を支える歯槽骨・歯根膜などの歯周組織の炎症を引き起こす病気です。
歯垢の中の細菌は、唾液に含まれるカルシウムにより石灰化して歯石となります。
歯周病菌は歯槽骨を溶かし、歯が動揺し始めます。
最終的には、歯が抜けてしてしまうこともあります。
「歯周病で歯が抜けるほど動揺するのであれば、痛みもあって自然と歯周病であることに気が付きそうなものなのでは?」と思いますが、実は初期段階では自覚症状がほとんどありません。
痛みが出ないことが多いために気が付かないまま歯周病が進み、歯茎から出血した(歯が動揺し始めた)などの症状が気になり初めて診察を受けるケースもよくあります。
歯垢が歯石になると、歯ブラシでは取り除くことができず歯石除去が必要になります。
歯石は表面がざらざらしているので、さらに細菌や歯垢が付着しやすく、歯周病進行を予防するためには早い段階で発見・治療することが望ましいです。
歯周病はどのように診断するの?
歯周病は初期段階だと自覚症状が乏しいため、歯医者さんで検査を受けて初めて自覚することも少なくありません。
歯医者さんで行う検査内容としては、主に以下のようなものが挙げられます。
・X線検査
歯を支えている歯槽骨の状態を調べることが可能です。
歯周病によって歯槽骨がどれくらい溶けたのか、詳しく診ることができます。
X線検査では放射線による被曝を気にされる方もいるかと思いますが、歯のエックス線撮影の際の被爆量については日常生活で自然界から浴びる1年分の自然放射線の数十から数百分の1程度とされています。(厚生労働省)
・口腔内写真撮影
お口の中をさまざまな角度から撮影します。
歯の位置や色、噛み合わせの状態などを記録として残し、目視できる部分から変化を確認して歯周病を診断する検査材料となります。
お口の中の状態を正確に把握するためにも、大切な検査です。
・歯周組織検査
歯垢の付着状況、歯茎からの出血、歯茎と歯の間にできる歯周ポケットの深さ、さらには歯の動き具合(動揺度)を調べます。
プローブという先の細い器具を使って歯周ポケットの深さを測定し、出血の有無についても調べます。
また、ピンセットで歯をはさみ、どれくらい動揺する(歯が前後左右に動く)のかチェックします。
・細菌検査
歯周ポケットの中にひそむ歯周病の原因菌の種類を調べる検査です。
歯周ポケットの中に付着している歯垢を採取して解析し、詳しい結果を患者さんに伝えます。
病原性の強い細菌の種類がどれくらい占めているのか調べることで、歯周病の状態を客観的に評価できます。
検査方法としてPCR検査や顕微鏡検査があります。
もしかしたら歯周病かも?思い当たる症状をチェック
初期段階では自覚症状が少ない歯周病ですが、それでもいくつかの予兆があります。
このチェックリストに思い当たる症状があれば、もしかしたら歯周病にかかっているかもしれません。
セルフチェックを機に歯医者さんに行ってみてはいかがでしょうか。
・朝起きたときに口の中がネバついている
・歯茎から出血する
・口臭がある、または他人から指摘される
・口をゆすぐと血が混じっていることがある
・食べ物が歯間に挟まりやすい
・歯の表面がザラザラしている
・歯がグラグラする
・歯茎が赤く腫れている
・歯茎を押すと血や膿が出る
・歯が長くなったように見える
まとめ
歯周病はサイレントディジーズと言われるくらい痛みなどの自覚症状が出にくく、出血などが現れたころには歯周病が気づかずに進行している場合があります。
丁寧な歯磨きやデンタルグッズを使ったセルフケアで歯周病を予防することも大切ですが、歯医者さんで定期検診を受けて歯周病の治療を早く受けることも必要になります。
検診の際はクリーニングも受けられるので、お口の中を清潔に保つためにも定期検診もご検討いただければ、と思います。