子供が歯医者を嫌いになる理由

歯医者を嫌がり、行きたくないと言うお子さんは多く、歯医者に連れていくのが大変と回答する保護者の方は半数以上いるというアンケートもあります。
しかしお子さんは、生まれた時から歯医者が嫌い、というわけではないのです。

小学生くらいのお子さんが歯医者を嫌いになる大きな理由の1つは「歯医者は怖い場所であるという意識を持っている」ことです。

これは、保護者の方が「歯磨きをしないと虫歯になって歯医者さんへ行かなくてはいけなくなる」や「歯医者さんで歯を抜く」など痛みや恐怖を連想させることを話していたり、保護者の方自身が歯医者に行くときに嫌がる素振りをしたりしていると、子供は無意識のうちに「歯医者は怖いもの」と認識してしまいます。

また、治療を受けたことがあるお子さんの場合は、歯を削られて痛い思いをした、怖い思いをしたというトラウマによって歯医者を怖がる傾向にあります。

歯医者嫌いはどうしたらいい?

恐怖心を解消する

しかし、怖い思いや痛い思いをしたことはなかなか意識から消し去ることはできません。
その場合は、どうして治療が必要だったのか、どうして今回通院が必要なのかなど必要性について話をすることで、理解を得るという方法があります。

この場合、治療の必要性を話す際に「これ以上放っておいたらもっと痛くなる」「歯を抜くことになる」など脅すことはやめましょう。
脅してしまうと、より一層の恐怖感を感じさせてしまう可能性があります。

また、反対に「治療は痛くない」「嫌なことはしない」など嘘はつかないようにしましょう。
歯医者とお子さんとの信頼関係が築けなくなるほか、お子さんが保護者の方を信用することができなくなってしまいます。

事実を、お子さんにわかる言葉で噛み砕いて優しく伝えましょう。

小児歯科に頼る

小児歯科というと治療を受けることが非常に難しいお子さんが通院するイメージがありますが、歯医者に行きたがらないお子さんの通院ももちろん受け付けています。

保護者の方にとっては、保護者の方が通院している歯医者と信頼関係を築けているため安心感があるかもしれませんが、お子さんにとっては行ったことのない歯医者であり、信頼関係を1から築く必要があります。

小児歯科では、お子さんを専門に行っているため、お子さんからの信頼を得る方法もお子さんが安心して治療を受けることができる方法も豊富に知っています。
そのため、保護者の方とお子さんが必ずしも同じ歯医者に通院する必要はありません。

また、小児歯科を専門に行っている歯医者では、受ける治療を絵で視覚的にわかりやすくお子さんに伝えてくれたり、お子さんの受ける治療を保護者の方にしっかり説明をしてくれるなどさまざまな工夫がされているため、お子さんにとっても保護者にとっても安心して治療を受けられるかもしれません。

ご褒美を用意する

歯医者に通院した、治療を行えた場合にプチご褒美を用意するというのも効果的です。
例えば、シールをあげる、ちょっとしたおもちゃをあげるなど、子供にとって嬉しいちょっとしたことを用意してみましょう。

小児歯科ではガチャガチャやくじ引きなどによるご褒美が用意されていることが多い傾向にあります。

歯医者さんからもらった、というのもポイントです。
歯医者に行けばいいことがある、という意識になれるため、できれば歯医者のスタッフから渡してもらいましょう。

歯医者嫌いにならないために

それでも歯医者を嫌いにならないでくれれば一番楽なのに…と思いますよね。
そのためには、歯医者への通院が必要になる前から行っておきたい対策とポイントがあります。

歯医者を脅しに使わない

歯磨きをなかなかしない、させてくれないお子さんの場合、「歯を磨かないと歯医者さんに行かなくちゃいけなくなるよ」といった歯医者さんを怖いところ、行かなくてはいけないところというネガティブなイメージにした脅しをしたくなりますよね。

ですが、ここで歯医者にネガティブなイメージを付けてしまうと、いざ通院が必要になった時にお子さんの中に「歯医者は嫌なところ」というネガティブなイメージがついており、通院を嫌がる可能性があります。

虫歯になってしまう、歯が悪くなってしまうという事実を伝えるようにし、歯医者にネガティブなイメージを付けないようにしましょう。

また、予防接種やほかの科への通院の履歴によっては「医者」という言葉を嫌がるお子さんもいますので、歯医者を「歯の先生」や「歯を元気にしてくれるところ」など言い回しを変えてみるのも効果的です。

嘘をつかない

歯医者に行く前に「絶対に痛くない」「嫌なことはしない」など嘘をつかないようにしましょう。
また怖いと感じるかどうかはお子さん次第なので「怖くない」なども言わないほうがよいでしょう。

1度目に行くときはそれで素直に通院してくれるかもしれませんが、1度目の通院で痛みや恐怖を感じた場合裏切られたと感じるため、2度目からは拒否するようになります。

歯医者とお子さん、保護者の方とお子さんの両方の信頼関係を築けるよう、嘘は避けましょう。
「虫歯を治しに行く」「歯をきれいにしてもらう」など嘘をつかずに、お子さんが受け入れやすい理由を説明するようにしておきましょう。

治療以外で何度か通院する

小さい子を歯医者に連れていくのは大変なため、どうしても虫歯ができてしまったり、お口の中に違和感があるとわかってから通院したくなりますよね。

しかし、治療が必要になってから通院すると、歯科医師との信頼関係がないうちに治療を開始することになり、お子さんの恐怖感へとつながります。

歯のクリーニングや検診、フッ素の塗布など治療を必要としないうちに通院し、歯科医師とお子さんの信頼関係を築いておくとよいでしょう。

通院時間はお子さんのペースに合わせて

保護者の方も毎日忙しく、つい手の空いた時間に通院したくなってしまいますが、特に小さいうちはお子さんの生活習慣に合わせて歯医者へ通院してみましょう。

普段昼寝をしている時間やお腹が空いてくる時間などお子さんが不機嫌になる傾向の時間は避けましょう。
朝ごはんをしっかり食べた後の午前中に通院することがおすすめされています。

保護者の方の治療に一緒に行く

保護者の方に虫歯や歯周病の治療が必要な場合や、クリーニングに通院するときにお子さんも一緒に行ってみましょう。この時もお子さんの生活習慣に合わせて予約をとりましょう。

保護者の方が歯医者を怖いと感じていないことを見ることで、お子さんの歯医者への恐怖心が軽減されるかもしれません。
一緒に席に座ってみる、先生と少し話をしてみるなどの時間がとれるとより歯医者へ慣れることができるかもしれませんね。

お子さんと一緒に行く場合は、お子さんを見ていてくれるほかの保護者の同伴か、歯科医院のスタッフが面倒をみてくれる方針の歯科医院に行きましょう。

面倒を見てくれる人がいないのに連れていってしまうと、お子さんのストレスになるほか、歯科医院側も困ってしまいます。事前に確認しましょう。

また、出血が多い抜歯や重度の歯周病の治療はお子さんが見ると恐怖を感じてしまうので注意してくださいね。

小児歯科を選びましょう

お子さんが嫌がらない歯医者を選ぶためには、「小児歯科」がポイントです。

特に「小児歯科専門医」を選ぶと、歯医者のスタッフはみんな子供の対応に慣れていますし、さまざまなお子さんを見てきているのでお子さんが嫌がった場合の対応や治療を始めるための手順など複数のパターンを持っています。

一般歯科と小児歯科の両方を掲げている歯科の場合は、おとなしくしていられる子供の歯科治療のみ対応、の可能性がありますので事前に確認してください。

同じ虫歯の治療でも、大人と子供では治療を始められるようになるまでの経過が全く異なります。
「小児歯科のプロ」に頼むことで、お子さんも保護者の方もストレスなく歯医者に通院できるかもしれません。

また、大人の歯医者ではすぐに治療に取り掛かりますが、小児歯科では最初は歯医者で使う材料や器具を見せたり、触らせてみるなど子供の好奇心を活かして治療への恐怖心を軽減したり、子供の好きなキャラクターグッズを揃えて意識を逸らしながら治療したりと子供の治療に対する対策を行っています。

子供の治療のために遠い小児歯科専門医にかかるのは大変…と思うかもしれませんが、歯科恐怖症になってしまうと長い間歯科治療を受けることができず、お口の中がボロボロになってしまうかも。

お子さんの将来のためにも、まず最初に通う歯科医院をしっかり選んでみてくださいね。