マウスピース矯正とは


歯並びを改善する矯正治療といえば、ワイヤー矯正を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。ワイヤー矯正は矯正器具が目立つため、抵抗感があって治療に踏み切れないという方も多いのではないでしょうか。

マウスピース矯正とは、目立ちにくい装置として注目されており、矯正器具の見た目が気になっていた方でも周りの目を気にすることなく歯並びを改善できる矯正治療。透明なマウスピース型の装置を作り、決められた時間、期間マウスピース型の装置を装着・交換を繰り返しながら歯並びを改善していくのです。

マウスピース矯正治療の流れ

歯科医院によって異なりますが、一般的に行われるマウスピース治療の流れをご紹介します。

1.カウンセリング…治療プランや費用などの相談を行います。
治療プランだけではなく、マウスピース矯正治療の特徴などの説明も受けます。

2.精密検査…歯型や口腔内写真、レントゲンなど、口腔内の情報を集めます。
虫歯や歯周病がある状態では矯正治療は始められないため、必要に応じて虫歯の治療や歯のクリーニングを先に行います。
マウスピース矯正中に虫歯治療(歯を削ったり、詰め物・被せ物を作ったり)を行うと、治療前に立てた計画を変更しなければならなくなってしまう可能性があります。

3.矯正シミュレーション…矯正治療完了後にどのような歯並びになるか、3Dシミュレーションを行います。
矯正後の歯並びや噛みあわせについてしっかりと説明した後、マウスピース作成用のスキャニング(お口の中をスキャナーを使用して歯型のデータをとること)を行います(精密検査でスキャンをした場合は床着されることがあります)。

スキャンしたデータをマウスピースを作成するメーカーに送信し発注するため、届くまでに1ヵ月~1ヵ月半程度かかります。

4.マウスピース矯正治療開始…マウスピースの付け外しの方法の説明を受けて、付け外しの練習をします。
基本的には食事や歯磨きの時間以外、1日20時間以上を目安にマウスピースを装着します。
個人差はありますが、1~2週間を目安にご自身でマウスピースの交換を行います。

初期段階では月に1回、その後は2~3ヵ月に1回のペースで通院し、装置の使用状況やお口の中の状態をクリニックで確認します。
歯の動きを補助する(マウスピースの歯に加わる力を調整する)ために適宜アタッチメントの装着を行うこともあります。
アタッチメントとはプラスチックの突起を歯の表面に取り付けるものですが、歯に近い色なので目立ちにくいです。

5.治療終了…個人差(治療前の歯並びやマウスピースの装着時間)がありますが、1~3年ほどが治療期間の目安です。

6.保定期間…改善された歯並びを安定・保持するためにリテーナーと呼ばれる保定装置を装着します。
矯正治療が終わってからおよそ半年~1年は歯が動きやすい状態です。

治療内容によりますが、1~3年ほどリテーナーを装着し後戻りを防ぎます。

治療期間や治療内容、順番などには個人差があります。
カウンセリングの段階でしっかりと担当医と話をすることが大切です。

こんな人にオススメ!

マウスピース矯正の特徴は、目立ちにくいこと、装着したときの違和感がワイヤー矯正よりも少ないことなどが考えられます。
マウスピース矯正をオススメしたいのは、以下のタイプの方です。

・仕事の都合などで、矯正装置が目立つと困る方

ワイヤー矯正は目立って抵抗があるという方にはぜひオススメしたいです。
矯正治療中も審美性が気になる方、職業上、歯の表面に目立つ装置を装着することが難しい方などにも。

・装着時間を自己管理できる方

マウスピース矯正は、矯正装置を取り外しできるのも特徴。
しかし、1日20時間以上装着する必要があるため、自己管理がしっかりできる方でないと結果が出にくくなってしまいます。
自己管理ができない方はワイヤー矯正を受けるほうが無難です。

・軽度から中等度の叢生(そうせい・乱ぐい歯)である方

歯が凸凹に生えてしまっている場合は、歯が生える位置から歯並びが大幅にずれていることが多いです。
抜歯をするなどで歯を大きく動かす必要があるため、マウスピース矯正には適応しないケースも。
歯科医師に相談しましょう。

・金属アレルギーの方

ワイヤー矯正の器具には、金属アレルギーの原因になりやすい物質が使用されているものもあります。
しかし、マウスピースはプラスチック製なので、ワイヤー矯正を受けられない方や金属が身体に影響するのが不安な方にはマウスピース矯正がオススメといえるでしょう。

・丁寧な歯磨きに自信がない方

ワイヤー矯正の場合、歯の表面に矯正装置が固定されているため歯磨きが細かくて難しいというデメリットがあります。
その点マウスピースは取り外しが可能なので、食事や歯磨きがしやすいです。

・管楽器を演奏する方

仕事や趣味で管楽器を演奏する方には、取り外し可能なマウスピース矯正のほうが向いています。
歯の表面に固定するワイヤー矯正の場合、慣れるまでは演奏に影響を及ぼすでしょう。

こういった方は、ぜひマウスピース矯正を検討してみてはいかがでしょうか。
歯並びが気になるけれど諸事情で踏み切れなかったという方も、矯正治療をできるかもしれませんよ。
まずは歯科医院で相談してみてくださいね。

メリット

マウスピース矯正は、目立ちにくい透明なマウスピースを使うのが大きなメリットと言えるでしょう。
また、厚みの薄いマウスピースを使っているので違和感も少ないです。

取り外し可能なことも人気の秘密。
結婚式や旅行など、記念写真を撮る時に自分で外せます。
食事の時にも取り外せるので、ワイヤー矯正のように硬い食べ物を噛んでブラケット装置が外れるようなリスクもありません。

また、歯磨きの時にはマウスピースを取り外し、1~2週間の頻度でマウスピースを交換するため、マウスピースを清潔に保ちやすいのもポイント。
マウスピースを取り外し歯磨きできるので、お口の中も清潔な状態を保ちやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが低いのです。
矯正装置が当たって口内炎ができるといったことも起きにくく、矯正治療中の口腔内のトラブルに悩まされにくいです。

デメリットや注意点

もちろんメリットばかりではありません。
デメリットもしっかりと調べたうえで治療を開始しましょう。

まず、取り外しが可能なことは大きなメリットですが、その分自己管理が必要になるというデメリットにもなります。
装着時間が短いと、治療計画通りの効果が得られず、矯正治療にかかる期間が延びてしまうのです。

食事や歯磨きの際は必ず外し、口腔内を清潔にしてから再度装着しなければなりません。
間食の習慣がある方は、生活リズムを変えることも考慮しなければならないでしょう。
1日20時間以上装着する必要があるため、時間を管理するのも大切ですよ。

マウスピースを装着したまま飲んでも良いのは水または炭酸水です。
お茶やコーヒーは着色、ジュースやスポーツドリンクなどは虫歯、熱い飲み物はマウスピースが変形する原因になってしまいます。
どうしても取り外しができない場合は、甘いものや熱いものを避けるようにしましょう。

また、マウスピース矯正では治せないケースもあります。
重度の叢生(乱ぐい歯)、抜歯の本数が多い、重度の受け口や出っ歯などです。
自分の歯並びが治療可能かどうか、まずはよく相談しましょう。

マウスピース矯正の種類

マウスピースを出しているメーカーは複数あります。
さまざまなメーカーがあるので、特徴を調べて自分に合いそうなものを取り扱っている歯科医院を探してみてくださいね。

現在多くの歯科医院で取り扱っているのは
・クリアコレクト
・インビザライン
・アソライナー
・キレイライン
・スマイルトゥルー
などが挙げられます。
上記以外にも種類があり、それぞれメーカーごとに特徴が違います。
基本的には歯科医院で調整や経過観察を行う必要がある矯正治療ですが、オンライン上や専用のアプリで診療のサポートを受けながら自宅でマウスピース矯正を行うサービスも始まっています。

マウスピース矯正と一言で言っても、特徴やサービスの内容はさまざま。
ご自身でしっかり比較・検討を行い、理解・納得したうえで治療を始めてくださいね。

マウスピース矯正で歯並びを美しく!

今までワイヤー矯正のデメリットから矯正治療に踏み出せなかった方は、マウスピース矯正を視野に入れてみるのもオススメです。

歯並びが良いと見た目が美しいだけでなく、磨きやすくなることから虫歯や歯周病の予防にもつながります。
お口の健康のためにも、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。