金属アレルギーとは
金属アレルギーとはその名の通り、金属への接触が原因で発生するアレルギー症状です。
日本人のうち10人に1人が発症すると言われており、金属アレルギーである人は少なくありません。
基本的には金属に接触することで炎症や症状が出るものですが、人によっては食べ物に含まれる微量の金属イオンに反応してアレルギー症状が出ることがあります。
金属アレルギーは大人になってから急に発症するケースもあり、ピアスやネックレスなどをつけるようになってから発症することも多いようです。
ニッケル・コバルト・クロム・水銀・パラジウムなど 水や汗に溶け出しやすい金属は金属アレルギーになりやすく、 純金やプラチナ、チタンなどのイオン溶出がなく安定している金属は金属アレルギーになりにくいです。
注意したいのが、金やプラチナがほかの金属と混ぜられている場合やメッキに使われている場合です。
ほかの金属と混ぜられている場合、金やプラチナは溶け出さなくても混ぜられている金属が溶け出してしまい、金属アレルギーを引き起こす可能性があります。
金の場合はいわゆる純金と呼ばれる24金(K24)~18金くらいまでが金属アレルギーになりにくいといわれているようです。
また、イエローゴールドやホワイトゴールドなどカラーゴールドの場合は、18金でも残りの数%にニッケルやパラジウムが使われていることが多く、通常の18金よりも金属アレルギーになりやすいので注意したいですね。
金やプラチナでほかの金属をコーティング(メッキ)している場合も、メッキがはがれてしまった部分から中の金属が溶け出して金属アレルギーを引き起こすことがあります。
金属アレルギーはどんな症状が出るの?
金属アレルギーの症状の度合いは人それぞれですが、金属が触れた部分が赤くなったり、じんましんのようなプツプツしたものが生じたりします。
また、かゆみが強く出てきやすい傾向にあるほか、腫れ、水ぶくれといった症状も現れます。
食べ物に含まれる金属に反応してしまう場合もあり、同じように発疹や赤みが生じるほか、呼吸困難や発作が起こることもあります。
金属アレルギーの原因は歯科治療?
歯科では、いわゆる銀歯や金属を使用した入れ歯など治療で様々な金属が使用されています。
矯正治療でもワイヤーやブラケットで金属を使うことがあります。
そして、その歯科治療で使われている金属は金属アレルギーを引き起こす可能性があるのです。
銀歯の多くは「金銀パラジウム合金」といい、金属アレルギーになりやすいパラジウムが多く使われています。
また、1990年頃までは「アマルガム」という水銀を多く含む金属が虫歯治療に使われていました。
水銀は人体にとって有毒であり、水銀を含むアマルガムが溶け出すことも危険であるとし、日本では平成28年にアマルガムを用いた歯科治療に公的医療保険が適用されなくなりました。
しかし、既に治療に使用されたアマルガムはお口の中に残っており、 少しずつ溶け出して金属アレルギーや様々な健康被害の原因になっているようです。
また、公的医療保険適用の入れ歯ではニッケルやコバルト・クロムが使われることが多く、金属アレルギーの原因となる可能性は十分にあり得るのです。
お口の中の金属が原因で金属アレルギーが出る場合、手足の荒れや発疹、肌荒れなどお口から遠い場所に症状が出ることも多いようです。
お口の中は金属が溶け出しやすい環境
金属の中には汗や水に触れていることで少しずつ溶け出していくものがあります。
上記でご紹介した、金属アレルギーになりやすい金属のニッケル・コバルト・クロム・水銀・パラジウムなどもそのうちのひとつです。
お口の中は常に唾液があり、お口の中の金属は唾液に触れている状態ですよね。
属が唾液(水分)と触れてイオンとして口の中に流れ出たり、食いしばりや歯ぎしりで少しずつ金属が削れることも。
そのため、削れたり溶け出した金属成分が血液循環によってアレルギーの原因物質が全身に回ってしまいます。
過去には、原因不明の全身の発赤や発疹が実は銀歯が入っていたことによる金属アレルギーだった、というケースもあります。
金属アレルギーの治療法は
金属アレルギーのような症状が出ている場合は、まずはその症状が本当に金属アレルギーが原因であるのか、また、何の金属に対して反応しているのかを確認する必要があります。
金属アレルギーの検査の方法としては、パッチテストという検査を行います。
金属の試薬がついたパッチシールを身体に貼り、2日後と3~4日後にそれぞれ判定を行うことが一般的です。
それが難しければ、その代わりとして血液検査を行っていきます。
原因である金属を特定できたら、アレルギー源となっている金属を取り除いたり、できるかぎり使用しないようにしていきます。
アクセサリーや眼鏡、鞄や服についているいわゆる金属を避けることも必要ですが、実はコーヒーやチョコレート、ほうれん草などは金属が多く含まれていたり、 また、タバコも金属を含むといわれているので、食生活や生活習慣を見直すことも必要です。
銀歯や入れ歯の金属にアレルギー反応が出た場合は、金属以外の被せ物や詰め物に再治療をしていきます。
歯科治療に用いられる金属に対して金属アレルギーがあると診断された場合は、公的医療保険を適用して受けられる治療の範囲が増えることもあるので歯科医院で相談してみましょう。
具体的には、奥歯にCAD/CAM冠と呼ばれるハイブリッドセラミックの治療が公的医療保険適用されます。
そのほか、保険適用外ですがセラミックやジルコニアなど、金属を使わない治療を選択して治療を受けることもできますよ。
症状が重いようであれば、アレルギー症状を抑える薬を服用する場合もあります。
まとめ
金属アレルギーは、ピアスやネックレスなど直接肌に触れる金属が原因となって起こることがほとんどです。
しかし、歯科治療で使われた金属も、金属アレルギーの原因になっていることがあるのです。
歯科で使用される金属(ニッケルやコバルト、クロムなど)には金属アレルギーが起きやすいものが多いです。
症状がお口の中だけでなく全身に及ぶこともあるだけに、アレルギー源がお口の中だと気付けないケースも多いようです。
金属アレルギーの症状が長く続いているようであれば、お口の中の金属を確認してみましょう。
また、金属アレルギーの疑いがある方は新しく歯科治療を受ける際に、金属を使用しない治療を選択してみてくださいね。