子供の口内炎の種類や特徴

子供に起こる口内炎の種類や特徴(原因)を紹介します。

まずは、子供の口内炎が起こる原因についてです。

・物理的刺激(擦り傷・外傷・熱傷・薬剤など)
・睡眠不足
・栄養バランスの乱れ(ビタミンB・C不足)
・疲労やストレス
・ウイルス、細菌、真菌(カビ)の感染
・全身疾患(ベーチェット病など)

口腔粘膜は非常に敏感で、口の中には500種類以上の細菌が存在していると言われています。

誤って唇や頬、舌を噛んでも口内炎はできますし、歯ブラシによる小さな擦り傷でも口内炎になることがあります(物理的な刺激による口内炎は大人の方でも非常に多いです)。

子供の場合、睡眠不足や栄養不足、疲労やストレスによる免疫力の低下に特に注意が必要です。また、 子供はウイルス感染による口内炎に罹りやすいことも親御さんに知ってて欲しいポイントになります。

次に、口内炎の種類や特徴を中心に紹介します。

・再発性アフタ

再発性アフタは子供で最も多くみられる口内炎で、何度も繰り返して起こることが特徴的です。

再発性アフタの原因は様々で、疲労やストレス、栄養・睡眠不足、全身の病気(Ex.ベーチェット病)が関連して起こることが報告されています。ベーチェット病になるとほぼ100%再発性アフタがみられます。

繰り返しできる難治性の口内炎の有無がベーチェット病の重要なサインです。

・カタル性口内炎

歯ブラシや矯正装置、熱湯や薬剤、虫歯などによる口腔粘膜への物理的な刺激で起こる口内炎です。カタル性口内炎の起こる頻度も高いです。
※大人の場合、入れ歯による物理的刺激で口内炎ができることもあります。

・ウイルス性口内炎

ウイルス性口内炎

子供の口内炎においてはウイルスが原因で起こるものにも注意が必要です。ヘルペスウイルスによる口唇ヘルペス(ヘルペス性口内炎)、コクサッキーウイルスによる手足口病やヘルパンギーナ(急性ウイルス性咽頭炎)が代表的です。

手足口病は手足や口の中に水ぶくれの発疹ができ、ヘルパンギーナは喉の上側(口蓋)に多数の口内炎(上イラスト)ができます。

ウイルス性口内炎の特徴は、沢山の口内炎ができることに加えて、子供に発熱や脱水症状がみられたり、強い痛みを訴えたりすることがあります。口内炎以外に上記症状があれば、すぐに病院に診てもらいましょう。

手足口病、ヘルパンギーナは夏に流行することから、子供の夏風邪として認知されています(口内炎はできませんが、アデノウイルスの感染によって眼や喉に痛みやかゆみが出現するプール熱(咽頭結膜炎)にも注意が必要です)。

手足口病やヘルパンギーナは4歳以下の子どもに起こりやすい病気です(1歳が最も多いとされています)。
感染経路は唾液やくしゃみなどの飛沫・接触感染、糞口感染です。非常に感染力が高く、集団感染することが多いので、テレビや新聞でニュースになることがあります。

子供の口内炎の治療法

口内炎は子供の生活の質(QPL)に大きな影響を与えます。口内炎の痛みで食べたり話したりすることを億劫に感じ、学校を休んでしまうお子さんも少なからずいます。

気になる子供の口内炎の治療法として下記があります。

・薬物療法(抗ウイルス薬・痛み止め)

ウイルス性の口内炎の場合、ウイルスが原因で口内炎ができているので、抗ウイルス薬を処方します。

ヘルペスウイルスはアシクロビルなどの抗ウイルス薬がありますが、コクサッキーウイルスを撃退する薬は残念ながらありません。ウイルス性の疾患を治すのは子どもの免疫力です。十分な睡眠と栄養補給が必要です。

どうしても痛みが強い場合、子供用にイブプロフェンなどの痛み止めを病院から処方してもらえるかもしれません。

・レーザー療法

歯科医院でレーザーを患部に当てて、殺菌・消炎・鎮痛・治癒促進を図ります。レーザーによる口内炎の治療は一般的なものであり、局所麻酔をせずに行われます。

・歯の形態修正

上顎の前から数えて3番目の歯(犬歯)の付近に口内炎ができやすいです。犬歯の先が尖っているため、上唇の裏に当たって口内炎ができることがあります。繰り返すようなら、歯の形態を整えるような処置が必要かもしれません。

・虫歯の治療や被せ物の再製

虫歯が原因で歯が尖っているのなら、口腔粘膜を傷つけて口内炎になることも考えられます。虫歯を治療することが大切でしょう。

また、被せ物や詰め物を外れたまま放置すると先が尖っていることもあるので、舌や頬粘膜に当たって口内炎のできる原因になります。

子供の口内炎に対して親御さんができる対処と予防法

子供に口内炎ができてしまった時にお家でできる口内炎の対処法と予防法について解説します。

・栄養補給(ビタミンB・C)

水溶性ビタミンB・C群を含む食品(野菜・果物・鶏肉・卵など)を積極的に摂取しましょう。偏った食事は口内炎を引き起こす原因になります。

バランスのとれた食事は口内炎の治りを促進し、かつ口内炎予防にも打ってつけです。
また、糖質の多い食べ物(お菓子、ケーキ、パン、パスタなど)は避けましょう。糖質を分解する時に口内炎の治りを早めるのに必要なビタミンBが消費されてしまうからです。

・刺激性の強い食品は避ける

口内炎の治りを促進するために、口内炎への刺激を控えるよう配慮することは大切です。辛い食べ物(スパイスカレー、タイ料理、韓国料理など)、熱い食べ物(揚げ物やスープ)、柑橘系の飲み物(オレンジジュース)などは避けましょう。 熱い食べ物は少し冷ましてから食べることをオススメします。

また、塩分の多い食べ物(ソースたっぷりのたこ焼きなど)も避けましょう。食塩自体が口内炎を刺激します。試しに口内炎の所に人差し指で擦り込んでみて下さい。食塩を擦り込んだ途端に強い痛みが走ることを実感できます。

・十分な睡眠時間

お子さんが遅くまでスマートフォンでゲームしていませんか?睡眠の質を下げてしまうので、就寝1時間前はスマホの使用を控えさせましょう。少なくとも7~8時間の睡眠をとるようにしましょう。

・ストレスケア

頻繁に子供に口内炎ができる場合、学校や家庭環境でお子さんが継続的なストレスを抱えている可能性もあります。お子さんの話をじっくりと聞きましょう。

・口内炎治療薬

ウイルス性の口内炎は抗ウイルス薬を使用しますが、アフタのような口内炎は市販の塗り薬(Ex. アフタゾロンなど)でも対処できます。

また、口内炎には患部に貼って治療する口内炎治療薬(Ex.アフタッチなど)が有効です。食事や会話などの刺激による口内炎の痛みを緩和できます。

口内炎は安静にして放置していても一般的に1~2週間で治ります。治りが遅い場合は近くの歯科医院や内科で診てもらうことをオススメします。

・子供の口腔ケア

口の細菌が少ないと口内炎の治りも良くなります。お口の中の口腔ケアも大切です。歯ブラシ以外に、刺激の少ない洗口液なども使用することもオススメします。

・ソフトワックスの使用(歯科矯正中)

ブラケットやワイヤーを小さなハリガネで固定するワイヤー矯正は子供でも行われます。ブラケットや小さなハリガネの物理的な刺激により口内炎ができることがあります。

物理的な刺激を遮断するためにソフトワックスがしばしば使われます。
ソフトワックスは一般的に歯科医院でもらえる、もしくは購入することができますが、通販でも購入可能です。

ソフトワックスの使い方ですが、口内炎と接触するブラケットの部分にワックスをつけるだけです。ソフトワックスをつける箇所はティッシュなどでよく乾燥させなければ付着しないので注意しましょう。

子供の歯だけでなく、お口全体をチェックしましょう

子供の口内炎は再発性アフタが最も多く、免疫力の低下が主な原因です。口内炎の治りを促すために口の中を清潔にすることも大切になってきます。

小さいお子さんであれば、ご家族が仕上げ磨きをしてあげていると思いますので、歯だけではなく、頬や舌、喉などお口の中に何か異常が無いかも確認することをオススメします。
お口の中を入念にチェックすることで口内炎だけではなく、夏風邪も早期に発見するきっかけになるかもしれません。

※紹介されている記事の内容は患者さんの状態により変わることがあります。子供の口内炎で気になることがあれば、歯科医院や病院を受診して直接相談するようにしましょう。