帯状疱疹とは? 原因はウイルス!

帯状疱疹とは? 原因はウイルス!

帯状疱疹の原因は、水疱瘡(みずぼうそう)と同じ原因の水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスです。

帯状疱疹は、皮膚疾患の一種です。
皮疹の前にピリピリ、ちくちく、ズキズキといった神経痛で始まり1週間ほど経ってから皮疹(皮膚に赤い斑点)が現れます

赤い斑点はしばらくすると水ぶくれのように変化し、約1週間でただれて潰瘍になります。
その後2週間程度でかさぶた(痂皮(かひ)化と呼ばれる状態)になり、そのかさぶたが剥がれることで一般的には治癒といわれています。

また、帯状疱疹ウイルスは神経の損傷を及ぼすことも重要な問題で、患者さんの生活の質(Quality of Life; QOL)の低下に関連します。

水疱瘡にかかると治癒したあとも、体内の神経細胞にはウイルスが残り続けます。脊髄神経節(せきずいしんけいせつ)や三叉神経節(さんさしんけいつう)に潜伏感染したあと、体内に潜伏していたウイルスが再活性化し始めます。

神経線維を介して皮膚に達し、増殖すると、左右どちらか(片側の)神経支配領域に帯状の痛みを伴う水疱が出現することが多いとされています。

帯状疱疹の発生には免疫が関連?高齢化もリスク!?

帯状疱疹の発生には免疫が関連?高齢化もリスク!?

帯状疱疹の発生には免疫力の低下が関連しています。普段は免疫機能によってウイルスの活性化が抑えられるのですが、加齢・疲労・ストレスなど免疫力が低下する状態で発症のリスクが高まります。

特に加齢による影響が出やすいとされます。50歳以上の世代における発症率が高く、帯状疱疹にかかる人のおよそ7割が50歳以上となっています。

加齢とともにリスクは増し、80歳を迎えるまでには3人に1人の割合で帯状疱疹になるともいわれています。
ただし、高齢者だけの病気ではないので、若年者も注意が必要です。

帯状疱疹の合併症も怖い

帯状疱疹の合併症も怖い

帯状疱疹ウイルスによる感覚器や運動神経の障害

帯状疱疹ウイルスは神経の走行に沿って動くため、その過程で感覚器や運動神経を傷つけ、合併症の発症に関連するといわれています。

帯状疱疹の発症部位が頬や顎にかけての頭頸部の感覚器が中心の場合は、顔面麻痺、味覚障害、内耳障害を引き起こし、めまい・耳鳴り・難聴などが症状として現れることがあります。

また、目の近くに帯状疱疹ができると、角膜炎、結膜炎、白内障の症状で視力が低下する危険があるだけでなく、最悪の場合失明にいたることもあります。
運動神経そのものが傷つくと、上半身に肩や腕の運動麻痺、下半身では排尿障害が残る危険性もあります。

帯状疱疹後神経痛(PHN)

帯状疱疹後神経痛(PHN)

帯状疱疹の合併症の中で、年齢が高まるほど頻度が多い後遺症で約5~20%が合併する帯状疱疹後神経痛(PHN)があげられます。

皮膚症状が治ったあとも痛みが残り、関連した表現も多彩で、「焼けるような」「締め付けるような」持続性や、「ズキンズキンとする」疼くような痛みと患者さんにとって不快なものが多いとされています。

中には軽い衣類の接触だけでも痛む「アロディニア」とよばれるものも混在しています。慢性的で治療に反応しにくく、睡眠や日常生活に支障をきたすこともありQOLを低下させることで知られています。
PHNは帯状疱疹発症後より、時に約3~6ヶ月以上経過しても継続するとされています。

その他の合併症

頻度として稀に重篤な合併症として、脳炎や髄膜炎を起こすこともあります。
これらの合併症は帯状疱疹が治癒したあとも後遺症として残る可能性があるため、その後の生活にも影響します。

帯状疱疹は予防接種で予防できる!

帯状疱疹は予防接種で予防できる

米国では15年ほど前より帯状疱疹生ワクチンが導入されており、その接種率が2018年現在34.5%程度まで上昇しています。

日本国内でも2016年から水痘生ワクチンが帯状疱疹予防目的で適用拡大されました。2020年からは新規ワクチンであるサブユニットワクチンも接種可能となり、予防ワクチンの選択の幅が広がりました。

ワクチン接種による予防効果のメカニズム、2つのワクチン、公費助成の動きについても見ていきましょう。

ワクチンの種類

日本国内では乾燥弱毒水痘生ワクチンシングリックス(乾燥組換え帯状疱疹ワクチン)が認可されています。

水痘生ワクチンは1974年に国内で発明され、2006年に小児を中心に80か国でおよそ1600万人が接種を受けています。
これにより、帯状疱疹の発生率が51.3%減少、帯状疱疹後神経痛の発生率も66.5%減少、副反応も比較的軽度です。
ただし生ワクチンのため、免疫力が低下して帯状疱疹発症リスクが高いと思われる患者さんには使用することができません。

一方シングリックスは、注射回数は2回の筋肉注射で、1回目接種後2ヶ月で2回目の接種が推奨されています。
その予防効果は乾燥弱毒生水痘ワクチンより高いことが分かっています。

米国予防接種協会では、帯状疱疹の予防に関してシングリックスの接種を強く推奨しています。

ワクチンの効果

ワクチンの接種によって発症率を低下させられるだけでなく、仮に発症したとしても、痛みを軽減したり、重症化や後遺症にいたる可能性を減らす効果が期待できます。

帯状疱疹ワクチンの効果が継続するのは、生水痘ワクチンで約5年程度、シングリックスで約10年と報告されています。

帯状疱疹のワクチンは公費負担で接種できる自治体も?

帯状疱疹のワクチンは公費負担で接種できる自治体も?

日本国内では帯状疱疹のワクチン接種が発症率の高い50歳以上の方は自治体によっては公的医療保険を適用して受けることができます

気になる方は接種を検討し専門の医療機関に相談に伺ってみてはいかがでしょうか。

ただし、他の新型インフルエンザや肺炎球菌やコロナワクチンなど別の種類のワクチンとは2週間の間隔を取ることが推奨されているのが一般的なので、ご注意ください。

日常でできる!帯状疱疹予防

日常でできる帯状疱疹予防

ワクチン接種だけでなく、日常生活の中でも帯状疱疹を予防していくことができます。

帯状疱疹は免疫力の低下に伴い発生するため、日頃から免疫力を維持できるような生活を送っていくことが、帯状疱疹の予防にもつながります。

日常生活において身体に悪影響の嗜好や悪習慣を避け、規則正しい生活リズムで適度な運動を継続して行うことは、ワクチン接種と同じくらい大切とされています。

バランスの良い食事と十分な睡眠も大切で、身体の健康状態に加えて、免疫力も維持することができますよ。

また、ストレスなどの精神的な悪影響によっても免疫力は低下するため、疲れを感じたら十分な休息を取り、リラックスできる時間を設けることも大切です。

帯状疱疹かも?と思ったら

帯状疱疹かも?と思ったら

帯状疱疹は早期発見・早期治療ができれば、合併症や後遺症が出る確率を減らせるだけでなく、発生後の症状も軽減できます。

大切なことはウイルス量の少ないときに早く治療を開始できるかが、予後やQOLにも密接に関連します。
帯状疱疹の疑いがある場合は、早めに専門の医療機関を受診してみてください。

皮疹に関しては皮膚科を受診するのが良いですが、早期より神経痛への対処を行うことで、痛みの慢性化を予防することができます。痛みが遷延する場合は、ペインクリニック内科などの受診も必要となります。

具体的に、帯状疱疹の治療法は日常生活の見直しや改善に加え、皮疹の治療と神経痛の予防が重要です。

帯状疱疹の治療法

薬物療法として抗ウイルス薬の早期からの使用や、発症初期から痛みへの対応は帯状疱疹後神経痛予防の面から非常に重要です。
痛みへの対処には、鎮痛薬の服用や神経ブロックなどの併用が代表的です。

抗ウイルス薬を投与したうえで、安静にしながら栄養のある食事を採り、患部を冷やさないようにして自己免疫を賦活化(ふかつか)することにより、症状や痛みを和らげられる可能性が高まります。

まとめ

帯状疱疹に関して、規則正しい生活による免疫機能の向上や、50歳以上の人に対するワクチンの接種といった予防を通じて、罹患や重症化を避けることが大切でしょう。