口腔がんとは

お口の中にできるがんを口腔がんと呼びます。全てのがんの約2〜4%を占めていて、舌、歯肉、頬の内側などに悪性の腫瘍ができる他、歯と舌の間の下顎のあたり、上顎の天井部分、唇にできることもあります。口腔がんの中でも、特に舌の側面や裏面にできる舌がんの割合が約60%と多いことが特徴です。

初期の口腔がんの場合は痛みを感じることはそう多くありません。代表的な初期症状としては、口内炎がなかなか治らない、粘膜に白や赤の斑点がある、口の中から出血しているなどです。

口腔がんセルフチェック

単なる口内炎だと思ったり、歯周病による出血だと思っていると、口腔がんに気付くのが遅れてしまうケースがあります。お口の異変を見逃してしまわないように、月1回など定期的に口腔がんのセルフチェックを行いましょう。

口腔がんの症状は自分の目で確認可能です。明るい場所で鏡を使って、お口の中の部位ごとにチェックします。入れ歯をしている場合は取ってチェックしましょう。以下のうち一つでも当てはまれば、口腔がんの可能性が考えられます。

<チェックする部位>
舌(特に側面と裏側)、歯肉(特に下顎奥歯付近)、頬の内側、歯と舌の間の下顎のあたり、上顎の天井部分、唇

<チェック項目>
□2週間以上治っていない口内炎がないか
□白色または赤色の斑点がないか
□出血していないか
□しこりや腫れがないか
□ただれやかぶれがないか
□飲食時にしみたり痛んだりするか
□歯がぐらついていないか

喫煙や過度な飲酒を始め、歯でお口の中を噛んで傷つけてしまうことなどが、口腔がんを引き起こす原因と考えられています。歯の詰め物や被せ物、義歯が合っていなくて頻繁に舌や頬を噛んでしまう、歯列不正がある、虫歯がある、といった場合には治療しておくことが口腔がんの予防につながるでしょう。

口の中をどのように検査してがんを見つけるの?

耳鼻咽喉科の専門医や歯医者を受診することで、口腔がんかどうかを調べられます。まずお口の中の視診や触診を行い、細胞や組織を採取してがん細胞を含むかなどを検査するのが一般的です。最近では口腔内蛍光観察装置を用いることもあります。異型細胞が青色の照射光を吸収する特徴を利用して、舌がんの有無を確認します。
舌がんは頸部リンパ節に転移しやすいです。舌がんの存在が認められれば、CTやMRIなどでがんがどれほど体内に広がっているかを検査します。また、場合によってPET検査を行うことも。PET検査は、ブドウ糖に似た検査薬を注射して、がん細胞にマーカーを付けるものです。一度のPET検査で全身のがん検査ができることから、広く活用されています。早期発見した初期段階の口腔がんであっても、リンパ節や他の臓器へ転移している可能性があるため、こうした検査が欠かせないのです。

まとめ

2週間以上治らない口内炎があるなど、口腔がんかもしれないと感じる症状があれば、早めに耳鼻咽喉科の専門医や歯医者を受診しましょう。自分では判断が難しい場合もあるため、放っておかずに専門家に相談するのがおすすめです。

虫歯の有無、詰め物や被せ物の適合状態などをチェックできる口腔検査も大事ですが、もしもの場合に早期発見をするためにも、定期的に口腔がん検診も受けるようにしましょう。この記事が口腔がんの理解を深め、お口に対するあなたの不安が少しでも解消されたら幸いです。