悪性リンパ腫は年間3万人超
悪性リンパ腫は、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、前立腺がんなどよく耳にする癌に比べると、患者数は少ないといわれています。
国立研究開発法人国立がん研究センターによると、2022年に悪性リンパ腫に罹る患者数は男性が19,900人、女性が17,200人。
合計で37,100人が罹患すると予測されています。
そもそも悪性リンパ腫って何?と思った方は、こちらの悪性リンパ腫の基礎知識についてまとめた記事を呼んでみてくださいね!
悪性リンパ腫に罹患するリスクはどのくらい?
ほかのがんに比べて少ないといわれても、どのくらい少ないのか気になりますよね。
最も多い大腸がんは158,200人、胃がんは132,100人、肺がんは128,800人と予測されています。
悪性リンパ腫は37,100人と予測されていますので、大腸がんに罹る人数と比べて20%程度の人数しか罹らないことになります。
実際に2018年に実際に悪性リンパ腫に罹った人数は35,752人(男性:19,106人 女性:16,670人)と報告されていますので、予測とほぼ同じ割合であると考えてよいでしょう。
でも、罹患数が少ないからといって安心できるわけではありません。
悪性リンパ腫の死亡率は何%?
では、悪性リンパ腫の死亡率はどのくらいなのでしょうか。
罹る患者さんが少ない疾患は、その分死亡率も高いように感じられますよね。
2018年に悪性リンパ腫と診断されたのは35,752人。
対して2020年に悪性リンパ腫で亡くなった方は13,786人。
単純計算で38%の方が亡くなっています。
ただし、毎年罹患する人数と亡くなる人数は異なりますので、30~40%程度と考えておきましょう。
悪性リンパ腫は早期発見されるほど死亡率が下がりますので、診断された時点での進行ステージも確認しておきましょう。
また、悪性リンパ腫にはホジキンリンパ腫と呼ばれるものと、非ホジキンリンパ腫と呼ばれるものがあり、非ホジキンリンパ腫のほうが早期発見をしてもやや死亡率が高い傾向にあります。
悪性リンパ腫はがん細胞の形や性質などにより50種類以上に分類されており、それぞれの症例で症状や治療法が異なります。
悪性リンパ腫は、主にホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫に分類されており、特に非ホジキンリンパ腫は、B細胞リンパ腫とT/NK細胞リンパ腫の2種類が存在します。
非ホジキンリンパ腫は、病状の進行速度によって進行が非常に遅い低悪性度のタイプから、進行が急激で早急な治療が必要な高悪性度の症例までケースバイケースです。
悪性リンパ腫の生存率は65%前後
悪性リンパ腫の5年生存率は約65%前後。
女性の方がやや5年生存率が高いという結果が出ています。
ステージⅠの時点で発見・治療を開始した場合は比較的高い生存率であり、進むにつれて生存率は下がっていきます。
ステージⅠの場合は、90%近く生存しているともいわれています。
子供が罹る小児リンパ腫においてはこの限りではありません。
悪性リンパ腫は早期発見・早期治療が大切な疾患ですね。
悪性リンパ腫は治る?
近畿大学によると、悪性リンパ腫はほかのがんに比べると治療をすることで高い確率で寛解状態になるそうです。
悪性リンパ腫の治療は悪性リンパ腫のタイプ、病期によって異なっており、多剤併用の化学療法や造血幹細胞移植を実施する際にはある程度患者さんの身体的負担に繋がります。
悪性リンパ腫の種類によっては、緩徐に進行するものがあり、その際には積極的な治療をせずに慎重に経過観察することもあります。
悪性腫瘍が全身に波及していない早期の段階では、がんに放射線を照射して病変を縮小させる放射線療法のみで治療を行う場合も経験されます。
がん病巣がさらに広がっている悪性リンパ腫に対する治療は、抗がん剤や分子標的治療薬などを用いた薬物療法を実践します。
化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療など、がん治療をしっかり受けることで治癒を目指せますよ。
ただし、寛解状態とは、病気による症状や異常とされる検査結果が出ない状態のことです。
あくまでも一見治ったように見える状態であり、完全に病気が治ったわけではありません。
がんは再発することや転移することが多く、完全に治ったかどうかを診断することが非常に難しい病気です。
そのため、症状があったがんが治っても、完治とは言わない傾向にあります(がんを手術で摘出した場合も、再発や転移の可能性を考慮して寛解ということもあるようです)。
再発するかどうかは診断も難しく、悪性リンパ腫が治ったとされた場合も、長期にわたって経過観察を行う必要があるでしょう。
また、悪性リンパ腫の場合、リンパは全身を巡っているため、がん細胞が全身に拡がりやすいとも考えられています。
全身に拡がったがん細胞によって転移がしやすいのです。
まとめ
悪性リンパ腫になると様々な体調不良が起こるほか、死亡する可能性もある病気です。
ですが、適切な治療をすれば治癒を目指すことも十分に可能です。
悪性リンパ腫は種類によって好発年齢が異なり、子供から高齢者までどの年代の方も罹る可能性があります。
まだ若いから大丈夫、子供だから大丈夫と思わず、早期発見・早期治療のための定期検診や倦怠感、発熱、リンパ節腫脹などの症状を認めたらすぐに検査を受けるなど、しっかり予防してくださいね。