頬粘膜癌とは?
お口の中や周辺組織にできるがんを、口腔がんと呼びます。
口腔がんの種類は色々あり、舌がんや歯肉がんなどがんが発生する部位によって呼び方が変わります。
頬粘膜癌も口腔がんの一種であり、頬の粘膜に発生するがんを指します(唇の粘膜面・奥歯後方の粘膜面にできるがんを含めることもあります)。
奥歯が咬み合うあたりの頬の粘膜面によくできるといわれています。
口腔がんのうち頬粘膜癌の割合は10%ほどで、50歳を超えた後、高齢になるにつれて罹患率は高くなる傾向に。女性よりも男性にやや多い傾向です。
頬粘膜癌で現れる症状
頬粘膜癌の初期の所見として、口内炎のような小さな潰瘍やびらんが粘膜面に現れます。
徐々に腫れ・膨らみ・しこりといった症状がみられ、患者さんによっては痛みを感じる場合も。
また、他の臓器への転移は少ないですが、首や顎のリンパ節に転移してリンパ節が腫れることがあります。
頬粘膜癌の原因は?
頬粘膜癌が発生する原因はわかっていませんが、頬粘膜に発生しやすい扁平苔癬(へんぺいたいせん)などの前癌病変(癌になりやすい状態へと変化した組織)が関係しているのではないかという指摘もあります。
また、他のがんと同様に、喫煙や飲酒がリスクファクター(がんになりやすくなる要因)になっていると考えられています。
噛みタバコの習慣がある東南アジアなどの国では、頬粘膜癌の罹患率が非常に高い傾向にあるほどで、日本国内でも喫煙者は口腔がんの罹患率が非喫煙者よりも約7倍高いというデータもあるのです。
その他、歯の詰め物や被せ物、入れ歯が合わないことや虫歯の放置により変わった歯による物理的刺激も頬粘膜癌の原因ではないかと考えられています。
お口の中を傷つけたり、不衛生な状態にしないよう注意が必要ですね。
頬粘膜癌と口内炎との違いとは
頬粘膜癌は、初期段階では小さな潰瘍やびらんができ痛みが生じるなど、口内炎と症状がよく似ています。
そのため「口内炎だろう」という患者さんの自己判断により通院が遅れ、発見・治療が遅れるケースも多いのです。
口内炎は通常1〜2週間で治ります。
1〜2週間経っても口内炎のような症状が続き潰瘍が治らない場合には、頬粘膜癌の可能性も考えられるでしょう。
その他、頬粘膜癌の場合には赤や白の斑点が粘膜面にみられる、粘膜面が凸凹している、硬いしこりや思い当たる節のない腫れがある、頬や舌を動かしにくいなどの違和感がある、首のリンパ節が腫れるといった症状がみられることもあります。
セルフチェックで早期発見
頬粘膜癌は自身の目で異常を発見することが可能ですが、お口の中の病気は口内炎・虫歯・歯周病くらいだと考えている方も多く、がんの可能性があると認識している患者さんはそう多くありません。
そのため、頬粘膜癌を含めた口腔がんは早期発見の割合が低いのです。
定期的に鏡でお口の中をチェックして、頬粘膜がんの所見がないか確認してみましょう。特に長期間治らない口内炎がある、お口の中の違和感がある場合には早めの通院を心掛けてくださいね。
早期発見では大きな後遺症なく完治した例も多数あり、早めの受診がとても大切です。
「がんかもしれない」と不安に感じた場合には、まず耳鼻咽喉科、あるいは口腔外科を受診しましょう。
がんではなくても、実際に症状がある場合は何らかの治療や対処法をとるほうがお口のためになりますよ。
「違ったら恥ずかしい」と放置しないようにしてくださいね。
また、定期的に口腔がん検診を受けることもおすすめです。
まとめ
「頬の内側の粘膜の潰瘍が2週間経過しても治らない」「口内炎のような痛みがちっとも治らない」という場合には、頬粘膜癌を疑って、早期に医師に診断してもらいましょう。
がんと聞くと大きな不安を感じると思いますが、早いうちに治療ができれば、またご飯をおいしく食べられたり、長生きして趣味を楽しんだりと、元通りの生活を送ることもできます。口腔がん検診を定期的に受けて早期発見・早期治療を心がけましょう。