そもそもレントゲン検査って何がわかるの?

X線技術を利用して、身体の内部を撮影し、撮影した写真をレントゲンと呼びます。余談ですが、X線の発見者がヴィルヘルム・レントゲンであることから名づけられました。 レントゲンの写真を元に、診断をおこなう検査のことがレントゲン検査となります。

レントゲン検査には骨の状態や、胸や臓器の異常などの診断に用いる単純撮影のほか、バリウムやヨードなどの造影剤を摂取した後におこなう透視撮影の検査が代表的です。

検査はレントゲン検査の代表的なイメージである胸部や腹部撮影だけに留まらず、マンモグラフィー・CT・MRIなどに加え、歯医者などでも日常的に利用されています。

レントゲン写真の仕組みとメリット・デメリット

レントゲン検査は身体にX線(放射線)を照射することによって得られる身体の内部画像のことと説明しましたが、X線が照射されると、透過して体の外に出ていくものと、吸収されるものに分かれます。

その透過・吸収の差を白から黒の濃淡の変化で表し、X線が透過した部分は黒、吸収された部分は白く表されます。そして、高密度な組織ほどX線を吸収します。骨は密度が高く、X線を吸収するため白く表され、逆に空気を多く含む肺の部分は密度が低く、X線を吸収する組織が少ないため黒く表されます。

レントゲン検査のデメリットと思われている被ばく線量とは?

レントゲン検査では、X線すなわち放射線を用いて疾患や怪我の正しい診断や治療の進行に役立てるものです。なかなか意識されにくいですが、実は日常生活の中にも放射線は存在します。 以下は日常生活とレントゲン検査における放射線と被ばく線量の比較です。
身の回りの放射線

一般的には100mSv以上の線量を受けると身体の健康への影響があるといわれています。しかし、レントゲン検査は日常生活との放射線量と比べても少ない量なのです。

年に複数回X線検査を受けることで、放射線リスクが高まる可能性はゼロではありません。しかし、自然放射線よりもリスクが低く、なにより医師の判断のもとおこなわれる適切な医療行為であり、レントゲン検査で得られる情報・疾患リスクを知るメリットの方がはるかに大きいでしょう。

ただし、身体の成長しきっていない子どもは大人と比較して細胞分裂が盛んなため、放射線感受性が高く、特に胎児となると未熟な組織が多いため、放射線感受性は成人の2~10倍といわれています。そのため、妊娠中の女性や新生児の放射線量の多いレントゲン検査を控える場合もあり、最終的にレントゲン検査の可否は医師の判断になります。

レントゲン検査の種類

一般撮影

一般撮影=レントゲン写真、単純撮影とも呼ばれています。
身体を透過したX線を画像にし、いつでも確認できる状態にします。近年では、レントゲン写真をデジタル化し、コンピュータ管理により、診断精度をより高めることが可能になりました。また、撮影効率も向上し、負担が短縮傾向にあります。

・わかること

一般撮影である「胸部撮影」では、心臓の大きさや左右の肺の病変の観察をおこないます。撮影結果から肺結核、肺炎・気管支炎などの肺の炎症、肺気腫・気胸・胸膜炎・肺線維症・心臓病・心肥大・胸部大動脈瘤・肺がんの発見などの情報取得が主になっています。

「骨撮影」では骨折の有無や、骨の状態などをレントゲン撮影によって診断します。 さらに「胸部」「骨」以外の身体すべての部位の情報取得も可能です。

・注意事項

衣服、身体についている金属類はレントゲン撮影に影響を及ぼすので外す必要があります。撮影箇所により、様々な角度・体位の撮影が必要になりますので、医師・技師の指示に従って撮影となります。

・費用

部位によって異なりますが、全額負担で約2000円~5000円程度の費用が一般的ですが、保険適用のケースもあるので、撮影前に確認することをお勧めします。

胃X線検査

食道から胃、十二指腸の病変をチェックするための検査です。バリウム(造影剤)を飲み、胃の壁にバリウムを流し込み、様々な角度から胃を撮影します。台の上でグルグルと回ったり、姿勢を変えたりしながらレントゲン撮影をおこないます。

・わかること

胃バリウム検査では、胃・食道・十二指腸の検査を主目的としています。がん疾患のほか、胃潰瘍や胃炎、ポリープなどの確認や発見に用いられることが多いです。 バリウムが体内に入る様子を撮影し、ポリープ、隆起、陥凹などの有無を捉え、胃や十二指腸に潰瘍ができていないかもチェックできます。

また、粘膜のひだが集中しているような異常を発見できることもあり、これは胃潰瘍が治癒した痕跡がほとんどですが、がん細胞などの悪性腫瘍である可能性もあります。 X線検査によって発見した異常所見に対し、適切な治療や処置が速やかに行うことができます。

・注意事項

撮影時、胃に食べ物が残っていると正確な検査ができないので、食事制限が設けられます。一般的には「アルコール類は2日前」「検査前日の午後8時以降は食禁止」水のみOKのような制限が敷かれます。 また、撮影箇所に掛かる金属類は画像に影響を及ぼすのは一般検査と同様です。

・費用

全額負担で約15,000円~20,000円程度ですが、保険適用のケースも多く、撮影前に確認することをお勧めします。

CT検査

CT検査はX線を利用し、身体の断面を撮影します。心臓や大動脈、肺といった胸部の検査、また肝臓、腎臓といった腹部の検査に用いられることが多いです。

・わかること

前述した胸部や腹部以外にも、脳の検査に用いられ、脳出血やくも膜下出血など、出血を伴う病気を発見しやすく、症状が小さなものまで精度の高い検査です。

・注意事項

撮影時に10~20秒程度、息止める場合があります。 検査の目的次第ですが、造影剤等を使用する場合は、CT検査でも食事制限をすることがあります。

・費用

全額負担で約15,000円~40,000円程度となり、検査内容によって費用が大きく異なります。CT検査も保険適用可能な場合があります。

マンモグラフィー検査

マンモグラフィー検査は乳腺検査とも呼ばれ、乳房を圧迫撮影することで、触診では分からない小さなしこりや腫瘤、石灰化などの検査ができます。また、女性特有の検査方法と思われがちですが、男性も可能な検査です。

・わかること

乳房を圧迫板で圧迫し、乳腺構造の重なりを分離することで、乳腺の形態、石灰化、腫瘤などが検査できます。 検査内容から乳がんや非浸潤がんなどを見つけることができます。乳房を薄く広げて撮影することで被ばくの低減にもなっています。

・注意事項

妊娠中または妊娠の可能性のある方は検査不可の判断をされることもあります。 また、ペースメーカー挿入、豊胸手術、乳がん手術の有無も検査前に申告すべき点です。 圧迫の痛みが強く出るのは有名な話ですが、個人差がありますので、必ずしも強い痛みを伴うといわけではありません。

・費用

全額負担で約15,000円~20,000円程度の費用となります。地方自治体の定期的ながん検診では無料に近い金額になるケースも多いです。

まとめ


レントゲン検査とは、X線を用い、病気の早期発見や治療方針の決定に必要不可欠な検査です。 健康だと自分で判断せず、定期的にレントゲン検査を含む健康診断を受け、末永い健康な生活を目指しましょう。