悪性リンパ腫とは

悪性リンパ腫は血液中のリンパ球ががん化する病気です。

主にリンパ節、脾臓、扁桃腺などのリンパ組織に発生するのみならず、胃、腸管、甲状腺、肺、肝臓、皮膚、骨髄、脳を含めてリンパ組織以外の様々な部位にがん病変が発生します。

2018年に悪性リンパ腫に罹ったのは35,782人。
そのうち男性が19,106人、女性が16,670人とやや男性のほうが多い傾向にあります。

わが国での発症率は、10万人当たり13人程度であり、年々増加傾向にあると指摘されています。

また、悪性リンパ腫に罹った人の5年生存率については男性のほうが女性に比べて2%ほど低く、男性のほうが罹りやすく死亡にも繋がりやすいといえるようです。

悪性リンパ腫の症状は?

悪性リンパ腫の主な症状は、リンパ節腫脹です。

全身を巡るリンパの中でもリンパ節とよばれる、リンパ液の中に異物やがん細胞が紛れていないかをチェックする関所のような役割を果たす部分があります。

リンパ節は首やわきの下、腹部、股関節付近、膝に多くあり、悪性リンパ腫の腫瘍は初めのうちはこのリンパ腫の付近にできます。

そして、悪性リンパ腫が進行するにつれて全身へと拡がっていきます

腫瘍ができてからしばらくすると、全身にも影響が出てきます。
発熱、倦怠感、食欲不振(体重減少)、発汗などが主要な症状として現れます。

また、一度できた腫瘍は治療なしには小さくなることはありません

そのため、拡がった腫瘍が気道や血管、脊髄付近などにできると、呼吸困難や麻痺などが出現することがあります。

悪性リンパ腫の種類

悪性リンパ腫には、複数の種類があります。

多くは「ホジキンリンパ腫」と「非ホジキンリンパ腫」に分けられ、悪性リンパ腫の患者さんの90%が非ホジキンリンパ腫であるといわれています。

非ホジキンリンパ腫はB細胞リンパ腫とT/ NKリンパ腫に分けられ、さらに濾胞性リンパ腫やリンパ形質細胞性リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病リンパ腫など100種類以上にも分けられます。

悪性リンパ腫は、外科切除や生検処置で採取した腫瘍の一部を病理検査にかけて確定診断に繋げます。

臨床的に悪性リンパ腫が疑われている際にも、1回の生検だけでは確定的な診断に至らずに、再度生検処置が必要になることも経験されます。

どのリンパ腫も悪性であり、適切な治療は欠かせません。

また、個々の症例によって治療内容は大きくは異なりませんが、死亡率や5年生存率が異なります。
非ホジキンリンパ腫のほうがホジキンリンパ腫に比べて死亡率が高い傾向にあります。

それぞれの死亡率や生存率は、診断された際に担当医に確認してみましょう。

悪性リンパ腫の原因とは?

悪性リンパ腫の原因は、未だに明確にはなっていません。

これまでに、一部のウイルスや細菌への感染、自己免疫疾患によるもの、服用している薬の中に免疫不全を引き起こすものがある場合、化学物質への暴露など、さまざまな原因が検証されています。

その中でも特に、EBウイルスなどのウイルスやピロリ菌による感染、関節リウマチなどの自己免疫疾患、免疫不全を誘引するメトトレキサートなどの薬剤が悪性リンパ腫の原因として想定されていますが、原因不明のこともあります。

特に、免疫不全を引き起こす薬として「メトトレキサート」という薬剤が挙げられていることが多くあります。

これは関節リウマチによく使用される薬ですが、副作用として悪性リンパ腫が発症する可能性があるといわれています。

悪性リンパ腫の原因を突き止め予防することは未だできませんが、服用する薬の副作用やウイルスや細菌へ感染したときの適切な対処など、予防できるリスクは事前によく説明を受けて適切に対処しておきましょう。

まとめ

悪性リンパ腫は生存率も高く、比較的罹患しにくい疾患ですが、楽観視してよいがんではありません。

リンパは全身を巡っており、思わぬ体調不良やトラブルにもつながります。

悪性リンパ腫かもと思われる症状がある場合や、首やわきの下、股関節付近などに腫瘍があるように感じられたら、早めに医師の診断を受けてくださいね。