■学校歯科健診の目的

学校で行われている集団検査は、ひとりひとりの状態を詳しく検査して診断を下すものではありません。お口の中を調べて異常の有無を大まかに記録しています。こうした、歯の健康状態をざっくりとふるい分ける方法をスクリーニング検査といいます。この検査によって歯の健康状態を把握してもらい、今後の健康維持・促進に生かしてもらうことを目的としています。

虫歯は早期発見と早期治療により、歯をあまり削らずに改善できる可能性があります。学校での歯科健診は虫歯の予防に役立てられるほか、歯の状態によっては歯医者さんで診てもらうことにもつながります。

■歯医者さんでの歯科健診と異なるポイントは?

地域や学校などで検査方法や内容が異なる可能性がありますが、学校歯科健診では歯だけでなく「歯茎の状態」「噛み合わせや顎関節」「歯垢の有無」といったポイントもチェックします。このときに「0」「1」「2」という三段階評価によって異常の有無を評価します。

歯茎の状態(歯肉炎・歯周炎に関する診査)
「0」…炎症が見られない
「1」…軽度の炎症が見られる
「2」…相当の炎症が見られる

噛み合わせや顎関節
「0」…異常なし
「1」…定期的な観察が必要
「2」…専門的な診査が必要

歯垢の有無
「0」…歯垢はほとんど付着していない
「1」…歯面の3分の1以下の付着が見られる
「2」…歯面の3分の1を超える付着が見られる

この後にすべての歯を検査し、虫歯の有無などをチェックします。このとき「CO」「C」といった表現で診査します。

CO(要観察歯)

歯の表面に白斑や着色などが認められ、虫歯の可能性がある。

C(要治療歯)

虫歯にかかっており、治療が必要な状態。

歯茎の場合も同様に、定期的な観察が必要と判断された場合は「GO」、改めて歯科医師の診断が必要であると判断された場合は「G」と診査されます。

こうした検査が目視で行われるのに対し、歯医者さんでの歯の検査は、さまざまな設備を使って精密に検査します。レントゲン検査などで内部の状態などを詳しく把握し、総合的な判断によって治療方針などを決めていきます。

学校歯科健診は、歯の健康を調べるときの入り口のようなもの。そこで虫歯の疑いが見られた場合は、歯医者さんにつなぐという役割を担っています。

■「経過観察」でできる予防ケア

検査結果では多くの場合、「経過観察」と「治療の必要性」について記載があります。歯と歯茎の場合、それぞれ「CO」と「GO」が経過観察、「C」と「G」が治療の必要性ありとされます。

経過観察と記録された場合、自宅での歯磨きの方法や食生活などについて見直し、歯の状態を改善させていきます。

治療が必要と判定された場合には、早めに歯医者さんを受診して治療をするとよいでしょう。

もし「異常なし」や「経過観察」にとどまっている場合でも、気になるようであれば歯医者さんで詳しく検査することも大切です。学校歯科健診はあくまで目視による検査なので、異常が見つからなかった歯でも検査をすると虫歯が見つかることがあります。もし虫歯が見つからなくても、今後虫歯にならないよう正しい歯磨きの方法を教えてもらうことができます。また、フッ素配合の歯磨き剤などのケアグッズを使ったり、デンタルフロスを利用したりすることも、有効なホームケアになるでしょう。

■まとめ

小学校の歯科健診では、目視でお子さんの歯の状態を大まかに診査しています。治療が必要と判定された場合は、早めに歯医者さんで検査し治療を受けるようにしましょう。経過観察と判定された場合も、歯の状態が気になるようであれば歯医者さんを受診してください。

レントゲンなどの検査はなく、目で分かる虫歯をスクリーニングしますので、健診で問題なくとも必ずしも虫歯が無いとは限りません。もし治療の必要性がなくても、定期的に詳しい検査を歯科医院で受けることで今後どのように虫歯を予防していけばよいかなどのアドバイスをもらうことができるでしょう。

この記事で、お子さんの歯に対するあなたの不安が少しでも解消されたら幸いです。