がんのリスクをチェックできるPET検査とは?
PET検査(Positron EmissionTomography、陽電子放出断層撮影)は、細胞の働きから病気を画像診断する方法です。
PET検査では、全身のがんや心筋梗塞などの心疾患、てんかんなど脳に関する病気の診断に有効です。
CT検査などは頭部や胸部など部分的に臓器の形をみることが多いですが、PET検査では一度の撮影で全身のがんの悪性度をみることができます。
がん細胞は正常な細胞よりも3−8倍のブドウ糖を必要とするがあります。
そこでPET検査では、微量の放射線を出す「放射性同位元素」を含んだ「FDG」という薬剤を体に注射し、がん細胞にFDGが集積する原理を利用して行います。
薬剤注射後に体を装置で撮影すると色の違いにより薬剤の集積の有無を確認することができ、がんの診断ができるのです。
色により腫瘍のある位置や大きさ、さらに転移状況なども診断可能です。
1cmほどの小さながんも見つけることができるため、早期発見につながります。
また、PET検査は身体への負担が少ないことでも知られています。
ちなみに「PET/CT検査」と呼ばれるものもあり、これは糖代謝をみるPET検査と、臓器の形をみるCT検査を組み合わせた検査です。
現在では、単にPET検査と呼ばれているものもほとんどがPET/CT検査のことを指します。
この記事でも、厳密にはPET/CT検査のことをご紹介しています。
*最近ではPET/MRI検査というものもあります。
PET検査の流れ
▼5〜6時間の絶食
ブドウ糖の代謝状態を正確に調べるため、検査前5〜6時間は食事やジュース、スポーツドリンクなど糖分を含む飲食は禁止です。
また、運動で使った筋肉に薬剤が集まってしまうことがあるため、検査前日の激しい運動は控えましょう。
▼注射
薬剤を静脈注射します。その後、1時間ほど安静にして薬剤が全身をめぐるのを待ちましょう。
▼撮影
撮影装置のベッドに横になり、30分ほどかけて撮影。
▼休憩
検査後は、医療機関によっては30分ほど休んでから帰宅となります。
※検査結果は後日となります。
PET検査にかかる費用は?
健康診断のためにPET検査を行うような場合は保険適用外となり、目安として自費で10万円ほどかかります。
一方でPET検査が必要であるという条件を満たした場合には、保険適用となります。
がんに関する要件としては「早期胃がんを除くすべての悪性腫瘍・悪性リンパ腫について、他の検査や画像診断では病期診断・転移・再発診断が確定できないとき」とされています。
つまり、すでに悪性腫瘍があり、診断のためにPET検査が必要だと認められた場合に保険が適用されます。
詳細は、受診予定の医療機関にお問い合わせください。
全てのがんをPET検査で見つけられるの?
PET検査は放射性同意元素を用いて全身のガンを見つけることができ、小さながんや転移も発見できるなどがんの診断に役立つものです。
ただ、PET検査では見つけにくいがんもあります。
というのも、腎臓・膀胱・尿管などでは薬剤が尿として排出されてしまったり、肝臓などでは薬剤を検出しにくいためです。
見つけにくい箇所のがんを調べるには、内視鏡検査など他の検査も組み合わせることが一般的となります。
見つけやすいがん
肺がん・大腸がん・乳がん・卵巣がん・子宮体がん・頭頚部がん・甲状腺がん・食道がん・膵臓がん・悪性リンパ腫・悪性黒色腫・骨腫瘍 など
見つけにくいがん
胃がん・子宮頸がん・前立腺がん・腎がん・膀胱がん・肝細胞がん・脳腫瘍・白血病 など
まとめ
PET検査によって、一度に全身のがんの有無をチェックできます。
ただし、PET検査では見つけにくいがんもあることを覚えておきましょう。
また、保険が適応されないことが多く、検査も高額。
医師と相談のうえ、他の検査と組み合わせて受けるなどしましょう。
家系にがんが多いので気になる、健康のためにしっかり検査しておきたいという方などは、PET検査を検討してみてはいかがでしょうか。