口腔がんにはいくつか種類がある
あまり知られていませんが、お口の中にもがんができることがあります。
唇、口蓋(お口の天井)、口腔底(舌の下)、舌、歯肉、頬にできる悪性腫瘍を総称して「口腔がん」といいます。
できた部位によって口唇がん、舌がんなどそれぞれ呼び方が変わり、以下のように分類されます。
■口唇がん
唇の粘膜、皮膚、境目部分に発生するがんを口唇がんといいます。
■口蓋がん
お口の中の上あごの天井部分に発生するがん口蓋がんといいます。
■口腔底がん
下あごの歯ぐきと舌の間の部分である口腔底に発生するがんを口腔底がんといいます。
■舌がん
舌の両側面や裏側にできることが多いです。
口腔がんの中で発生する割合が最も多いことで知られています。
■歯肉がん
歯ぐきにできるがんを歯肉がんといいます。
上あごよりも下あごの歯ぐきにできることが多い他、裏側や奥歯に近い部分に発生しやすいという特徴があります。
■頬粘膜がん
お口の中の頬の粘膜にできるがんを頬粘膜がんといい、口角の後ろから奥歯までの部分にできることが多いです。
口腔がんセルフチェック方法
口腔がんは、お口の中にただれ、腫れ、しこりなどの所見が見られるため、よく注意していれば自分で初期の異変を発見することもできます。
ですが、初期の異変があるとはいえ、がんであることは自分では気が付きにくいでしょう。
口腔がんの初期の異変は口内炎や歯周病に似ており、問題ないと思い込みやすいのです。
初期症状で痛みがあることは少なく、お口の中に違和感があってもまさかがんとは思わないため「そのうち治るだろう」と放置してしまい病気が進行してしまうケースも少なくありません。
がんの早期発見により治癒率も高くなるため、月1回を目安に定期的なセルフチェックを行ってみてください。
セルフチェックを続けることで、口内炎とは違うしこりがある、いつもと色が違っておかしい、全く治らないなど自分で見分けられるようにもなります。
<セルフチェック方法>
セルフチェックは、日光やライトが当たる明るい場所で、鏡を使って行います。
しこりチェックのために清潔なガーゼまたはティッシュも用意しましょう。また、入れ歯があれば外します。
1.お口を水でよくゆすぎます。
2.唇を指で持ち、上下の唇の内側と、表側の歯ぐきを観察します。
3.頬を引っ張るようにして、頬の内側と奥歯の歯ぐきを見てみましょう。また、指で触って確認します。
4.歯ぐきの裏側を観察します。見づらい場合は、歯科医でよく見る先の丸い口腔内用の鏡を併用しましょう。
5.少し上を向き、上あごの天井部分を見ます。色の変化やしこりがないかなど、指で触ってみましょう。
6.舌を出して「あー」と声を出し、喉の奥も観察します。
7.舌を指で優しくつかんで引っ張りながら、表面、両側面、裏側を確認しましょう。
8.下あごの歯ぐきと舌の間の口腔底を、指で触りながら観察します。
9.最後に、お口の中だけでなく、下あごや首あたりにしこりがないかも確認しましょう。
口腔がんセルフチェックリスト
セルフチェックを行って各部位に以下のような症状がないかを確認しましょう。
いずれかに当てはまる場合、口腔がんの初期症状が現れていることもあるため注意が必要です。
□2週間以上治らない口内炎のようなもの(粘膜のただれなど)がある
□粘膜が白く変色していたり、白い斑点があったりする
□粘膜の赤みが増していたり、赤い斑点があったりする
□粘膜にざらつき、しこりがある
□歯ぐきに腫れや出血しやすい部分がある
□原因がわからないが歯がぐらつく
※該当していても、単なる口内炎のケースもあります。
まとめ
セルフチェックを行い、口腔がんかもしれない症状がある場合は早期に専門医に相談しましょう。
口腔がんなどのお口の中の疾患については「歯科・口腔外科」や「耳鼻咽喉科」で検査してもらうことができます。
自分では口腔がんなのかどうか判断しにくいという場合も多いと思いますので、お口の中で気になる症状があればすぐに受診することが大切です。
「毎年健康診断・人間ドックを受けているから大丈夫」「歯医者で治療してもらってるからチェックしてもらってる」と思い込むことなく、お口の中のセルフチェックを行って、万が一のための早期発見を心がけましょう。