歯の打撲はこんな症状
歯をぶつけた際に、歯そのものや歯槽骨に目立った外傷はなく、歯根膜や歯肉といった部分に炎症を起こしている状態が、「歯の打撲」と定義されます。歯が揺れることはないものの、一時的な痛みや違和感に加えて、しみるような症状が出ることもあります。
打撲の程度が強い場合は、歯質の一部が欠けてしまったり、歯の脱臼を起こす可能性も存在します。
また、ごく稀にではありますが、打撲によって歯が変色するケースも存在します。変色は歯の神経が壊死したことによる影響で、打撲から一週間ほど経ってから歯の色が黒ずみ始める可能性があります。
さらに、打撲してから何年も経過してから、打撲した歯の神経の壊死が進行し、気がついたら歯が変色していた……という事例もあります。
歯を打撲したときの治療法
大半のケースにおいては、歯の打撲は特別な治療を必要としません。硬いものを噛んだりしないよう気を配りながら、歯を安静に保っていれば、数日から1~2週間ほどで自然に治癒していきます。
ただ、症状として痛みを伴うことが多いため、消炎鎮痛薬(痛み止め)を服用して対応するといったかたちでの対処は行われます。
症状が改善されないときは歯医者さんへ
もし安静にしていても痛みなどの症状が改善されない場合は、歯科医院を受診するとよいでしょう。打撲よりも重い症状であった場合にいち早く発見できるというだけでなく、歯を強打した際には、歯以外の組織(歯槽骨や歯肉、顎の関節)もダメージを負っている可能性があるためです。
具体的な診療科の選択肢としては、子どもの患者さんは小児歯科へ、大人の患者さんは口腔外科で、それぞれ診察を受けるとよいでしょう。ただし、必ずしも口腔外科や小児歯科でなくても大丈夫です。
一般歯科でも対応してくれます。問診や視診、レントゲンでの検査を行って、歯槽骨や歯肉に異常が見られるか否かを確認できます。それによって、正確な状態の把握と適切な治療を施すことが可能となります。
まとめ
歯を強く打った場合であっても、歯の打撲で済んでいるようであれば、安静にさえしていれば数週間で自然治癒していきます。
しかし、歯がぐらついている場合は打撲ではなく、歯の亜脱臼である可能性があります。その場合は、安静にするだけでなく歯を固定するなどの処置を行わなければならないため、医療機関を受診して適切な処置を行う必要があります。
顔を強打して歯に異常が生じた場合は、不安になったり、冷静さを欠いてしまうことも少なくありません。
歯を打撲しやすい時期ですが、2−3歳の歩くことが増える時期や、7−8歳の小学校に入学して遊んでいる頃に多い傾向にあります。可能な限り早くお子さんの歯の状態を歯科医院で診てもらいましょう。
※上記の内容は患者さんの口腔内の状況により変わることがあります。