・口唇裂(こうしんれつ)ってどんな病気?

上唇から鼻に向かって裂けている状態を「口唇裂」といいます。変形は唇だけでなく、鼻にも及びます。
口唇裂は生まれつきできる先天異常なので、赤ちゃんが生まれたときに判明することもあります。

口唇裂は外見上わかりやすいものなので、見た目が気になるという問題点が挙げられます。
そのほか、摂食障害、言語障害を引き起こすおそれもあります。

似た症状の病気に「口蓋裂」と呼ばれるものがあります。
こちらは口の中の天井にあたる部分が裂けていて、鼻にもつながってしまうというもの。外見上は口唇裂の方が目立ちますが、口唇裂と口蓋裂が同時に生じるケース(口唇口蓋裂)もしばしば見受けられます。

・口唇裂になってしまう原因

口唇裂は、お腹の中で赤ちゃんが成長する段階で起こります。
赤ちゃんの顔が形成されていく際、左右から伸びてきた突起状の組織(口蓋突起)がうまく結合しないと、そこが裂け目として残ってしまいます。

口蓋裂の発症は原因不明なものが多いとされていますが、赤ちゃんがお腹にいるときの母体の環境や、遺伝といった要因が関連しているという指摘もあります。

環境要因としては、お母さんの精神的なストレス、副腎皮質ステロイド薬や鎮痛剤といった薬剤の服用、そのほかにも風疹(ふうしん)にかかる、放射線照射を受ける、といったことが影響する要素として挙げられます。

また、遺伝的要因も一部あるのではないかと考えられています。
ご本人やご家族に口唇裂の方がいらっしゃる場合は、担当医などのカウンセリングを受けてみるのもよいでしょう。

・口唇裂は治療で治せるの?

口唇裂を治すためには手術を行なうのが基本となりますが、見た目を自然にするだけでなく、言語機能や噛み合わせ、耳管機能の改善といった、総合的な治療が必要になります。

口唇裂を閉鎖するための手術は、生後3~6カ月で体重5kg以上を目安として行います。
成人するまで長期的に治療を継続していきますが、口唇裂は適切に治療を進めることでほとんどの方が、学校やお仕事、ご結婚など普通の社会生活を送れるようになります。

お子さんが口唇裂であることがわかったとしても、ご安心ください。

・口唇裂はエコー検査で発見できる!?

子どもに口唇裂があるかどうか、生まれる前から判断することはできるのでしょうか?

超音波によって胎内を映像化するエコー検査により、お腹の中にいる赤ちゃんの外見をある程度確認することができます。
口唇裂は外見で分かるものなので、エコー検査により口唇裂の有無が概ねわかるようになっています。

エコー検査で見つけるのは、早くて妊娠20週目くらい。30週目以降に見つかることも多く見られます。

ただし、赤ちゃんの姿勢などによってはうまく映らないことも。
また、エコー検査では口唇裂が見つかったものの、生まれてから口蓋裂も併発していることが判明するケースもあります。
出生によって初めて確定すると考えた方がよいでしょう。

近年は出生前に診断できるところも増えており、出産後に判明したらすぐに治療やサポートができる体制を整えている医療機関もあります。

・まとめ

唇から鼻にかけて裂け目ができてしまう口唇裂。
見た目だけでなく、摂食や発音にも問題をきたすことがあります。

治療は成人するまでの長期に渡りますが、適切に手術などの治療やケアを受けることで、ほとんどの人が問題なく社会生活を受けながら成長できるので、ご安心ください。
出生前診断で口唇裂の有無を見つけられることもありますが、確定するのは出生後となります。

医療機関によっては、出産後に治療やサポートを受けられるところもあります。