ビタミンAは何の働きをしているの?

ビタミンAの主な働きとしては、目や気管、皮膚といった器官の機能や粘膜の形成に寄与することなどです。

その中でも、目の働きにはとりわけ強く関係しています。
薄暗いところでの視力を保つ、視覚機能を向上させる、また、目の表面にある角膜において涙を保持するための粘膜を作り、目を乾燥から守ってくれる役割を促します。

この「乾燥を守る」という働きが及ぶのは、目だけではありません。
皮膚の粘膜を保つことで肌が乾きにくくなったり、鼻や喉の粘膜を潤すことで風邪や結膜炎を予防する効果もあります。

それだけでなく、上皮細胞における発がん物質の効果を軽減する(皮膚がんを予防する)働きまであるとされています。

ビタミンAが不足すると……

食事バランスが乱れる等の問題で、長期にわたってビタミンAが不足すると、「ビタミンA欠乏症」を引き起こす恐れがあります。

とはいえ、ビタミンAの欠乏症は、通常であればそれほど起きにくい症状ではあります。
しかし、例えば妊娠中の方はビタミンAの摂取必要量が増えてくるため、状況によっては摂取量に注意が必要となってきます。

ストレスの多い生活をしている、風邪や胃腸炎といった感染症を患っている、手術直後である、煙草をよく吸う……といった要素が当てはまる方は、意識的にビタミンAを摂取しないと、欠乏症を引き起こす可能性があるかもしれません。

仮にビタミンAが不足した場合は、夜盲症、眼球乾燥症、角膜乾燥症といった症状が表れるだけでなく、目の疲れを誘発しやすくなるなど、目の働きにも悪影響が及びます。
さらに、皮膚の乾燥や角化につながります。

それだけでなく、発育障害、精神運動発達障害、骨髄骨形成不全、歯のエナメル質形成異常といった、成長阻害を引き起こす危険性があります。

粘膜の潤いがなくなると、風邪菌やウイルスへの抵抗性が低くなり、感染症や疾患を予防する力が弱まります。
ビタミンAは身体や精神の健康を保つうえで大切な栄養素なのです。

ビタミンAの過剰摂取に注意!

しかし、ビタミンA不足を不安視するあまり、サプリなどを用いて必要以上にビタミンAを摂取しすぎた場合も身体にとって悪い影響が及んできます。

ビタミンAを過剰摂取した場合の具体的な症状としては、嘔吐、めまい、悪心、頭蓋内圧亢進に加えて、複視、うっ血乳頭、脳神経麻痺に進展する可能性も。
さらに、こうした過剰症が数週間以上に及んだ場合は、そう痒感、易刺激性、骨の肥厚といった症状を引き起こす場合もあります。

では、過剰にならない程度のビタミンAの摂取量、すなわち摂取基準量はどのくらいの量なのでしょうか?

ビタミンAの「摂取基準量」とは?

単位としては、ビタミンAの主要な成分である「レチノール」を、mg(ミリグラム)の1000分の1であるμg(マイクログラム)でかけ合わせた、「μgRAE」という単位での計算となります。

一般的に、18歳から49歳の男性であれば700~750μgRAE、同年代の女性であれば600μgRAEが、一日におけるビタミンA摂取の推奨量です。
摂取の上限量とされているのは、男女ともに3000μgRAEとなっています。

先述した過剰摂取に関しては、一日30000RAEを超えるペースで、数ヵ月以上にわたって服用し続けた場合に起きるものです。
一般的には日々の食事だけで過剰摂取になることはほぼないと考えられます。極端に健康食品、サプリ、栄養剤などを過剰に摂取した場合に警戒する必要がある、というものです。

通常の食事で過剰摂取となることはまずありませんが、ビタミンA含有のサプリメントを複数飲んでいる方などは、各サプリメントに含まれるビタミンAの配合量を確認してみましょう。

ビタミンAを含む主な食品

まず、肉類の中でレバーに多くビタミンAが含まれています。
生レバーにおける100gあたりの含有量としては、豚(17000μg)、鶏(14000μg)、牛(1100μg)といった数値となります。

魚類では、ウナギの蒲焼き(100gあたり1500μg)、ぎんだら(1切れ1950μg)、アナゴ(開き身1尾で350μg)、スズキ(1切れ144μg)に多く含まれています。

また、チェダーチーズ(スライス1枚で約60μg)、プロセスチーズ(1切れで約47μg)、牛乳(コップ1杯で76μg)、ヨーグルト(1カップで約70μg)といった乳製品にも、一定以上のビタミンAが含まれています。

最後に野菜類を取り上げると、しそ(10枚で約62μg)、モロヘイヤ(1束840μg)、ニンジン(1本1080μg)、春菊(1束760μg)、ほうれん草(1株1750μg)といった食品に、ビタミンAが多く含まれています。

ストレスの多い生活をしている方や、風邪・感染症に罹患している方、タバコをよく吸う方は少し意識して上記の食品を多く食べるとよいかもしれませんね。

目にも、肌にも優しい「ビタミンA」

ビタミンAは、目の働きや、肌や気管の防衛力といった部分に好影響をもたらすため、身体の働きを維持するうえでも重要な栄養素といえます。

ビタミンAが長期にわたって欠乏するようなことがないよう、日頃からビタミンAを含む食品を意識して摂取するようにすれば、目にも肌にも大きな悪影響は出ないでしょう。紹介した食品を意識して摂取し、ビタミンA欠乏症とは無縁の日々を過ごしていきましょう。