「お口ぽかん」で口呼吸になっているかも


感染症対策として、マスクの着用が当たり前になりました。
不織布のサージカルや手作りの布マスクなどタイプはさまざまですが、いずれも少し呼吸がしにくいという短所があります。

呼吸を楽にするためについマスクの中では口を開けて、口で息をしている方も多いのではないでしょうか。
特にお子さんはマスクの下でお口がぽかんと開いたままになっているかも。

でもその口呼吸、実は体に良くない影響を与える習慣の一つなのです。

正しい呼吸の仕方は、鼻から吸って鼻から吐き出すのが基本です。
呼吸は意識せずに行うものなので、口を閉じて鼻から正しく呼吸できているかどうか改めて認識しようとすると、意外とわかりにくいものです。

「鼻も通ってるし大丈夫なはず」という方も、一度、下記のチェックリストを確認してみてください。


□気が付くとお口がぽかんと開いている
□唇が乾燥していることが多い
□噛み癖が左右のどちらかに偏っている
□いびきをかいている
□起床時に口や喉が乾燥している
□口を閉じると顎先に梅干しのようなシワができる
□鼻炎持ちである
□歯並びが良くない
□ストレートネック(彎曲が小さく、前に傾斜している首)である

これらのうち、どれか一つでも当てはまるものがあれば、口呼吸をしている可能性があります。

口呼吸のデメリット


口呼吸にはどんなデメリットがあるのか、具体的にみていきましょう。

口腔乾燥症(ドライマウス)


口で呼吸していると、口の中が乾いて口腔乾燥症になってしまうことがあります。
水分が足りないので口の中が粘つき、食べ物が飲み込みにくくなったり、発音がしづらくなったりします。
嫌気性の細菌が繁殖し、口臭の原因となることもあります。

歯周病・虫歯の進行


唾液には口の中を清潔に保ち、細菌と戦う抗体が含まれています。
細菌の繁殖を抑える作用があります。

口呼吸で口の中が乾くと唾液の循環量も少なくなり、細菌が増加して病気を引き起こしかねません。
歯周病や虫歯も、口呼吸によって悪化してしまう場合があります。

感染症のリスクの増大


口腔の代表的な感染症である歯周病はもちろんのこと、カンジダなどの真菌やウイルスによる一般的な風邪や流行性の感染症のリスクも、口呼吸によって高まります。

花粉症やアレルギーの発症


口呼吸で体内に取り入れた空気には、鼻毛などによりアレルゲンブロックされず、アレルゲンが喉の奥にある扁桃を刺激して、花粉症やハウスダスト症候群、喘息などのアレルギーを誘発する可能性があります。

歯並びの悪化


口を閉じ頬や唇の外側からかかる圧力と、舌による内側からの圧力のバランスが取れている状態が良いとされています。
しかし、口を開いたまま長時間過ごしていると、圧力のバランスが崩れて、歯並びが乱れてしまうことがあります。

とくに子供の場合は顎骨の成長期でもあるので、出っ歯や乱ぐい歯(叢生)になったり、下顎が大きく発達して受け口になってしまう可能性があります。

口腔周辺の筋力の低下


口呼吸をしていると口を閉じるための筋肉を使わなくなるので、口周辺の筋肉が衰えて、皮膚にたるみが出てしまいます。

顔面の表情筋も緩むので、老けた印象を与える原因となってしまうでしょう。
口角が下がり、常に不機嫌そうに見えてしまうことも。

また顔のゆがみにもつながります。

鼻呼吸のメリット


鼻呼吸には、口呼吸にはないメリットがあります。

鼻には空気清浄機のような役割があります。鼻毛はフィルターの働きをし、ホコリなどの異物が呼吸器に侵入するのを防ぎます。
鼻粘膜に生えている線毛と粘液層は、細菌やウイルスなどをキャッチして、体外に排出します。

また鼻を通った空気は、湿度が90%以上にもなり、体温と同程度に温められます。
口から吸うと、外気と変わらない湿度と温度のため、身体にダメージを与えてしまう可能性がありますが、鼻呼吸だと安心です。

乾燥した空気で繁殖しやすいウイルス感染のリスクを低下させ、肺の免疫力も安定させます。
鼻は空気清浄機と加湿器、そしてエアコンのような機能を果たしているといえるでしょう。

お口ぽかんの改善方法


口呼吸を改善し、鼻呼吸を導くためにはどうすれば良いでしょうか。
もし鼻炎などで慢性的に鼻が詰まっている場合には、まずは耳鼻科に通院して治療しましょう。
鼻の通りが良くなると、自然と口呼吸をしなくなるケースもあります。

お子さんが口呼吸をしていたり、いわゆる「ポカン口」である場合は鼻呼吸がしんどかったり、鼻呼吸がしづらい状態なのかもしれません。
また、口周りの筋肉が発達しておらず、お口を閉じている状態をキープできないことも。

子供の場合は、アレルギーや扁桃腺の問題などの呼吸器疾患、歯並びの乱れなど、口呼吸が健康に与える悪影響がとくに顕著にあらわれます。
顔貌にも影響するので、早めに改善することが大切です。

簡単なトレーニングをして口周りを鍛えたり、少し硬いものを食べてみる、口を閉じるよう意識して過ごしてみることも大切です。

お口ぽかんの時間が長い場合はかかりつけの小児科や耳鼻科、歯科医院などで相談してみてください。



大人でつい癖で口呼吸をしてしまう、気づいたら口が開いているという場合には、口に貼るテープも有効です。
とくに自分で意識・管理ができない寝ている間も、就寝前にテープを貼っておけば口を閉じたままでいられます。
いびきの防止にもなります。

お口周りの筋肉に衰えがみられる場合や、舌の位置に改善が必要な場合は、MFT(口腔筋機能療法)も効果があるかもしれません。
MFTで、リラックスしている無意識の状態でも舌や唇が正しい位置にくるよう、口腔周辺の機能を鍛えます。

歯並びの改善で矯正歯科治療を検討されている方も、まずはMFTで悪い癖を改善することをオススメします。