舌がんとは
舌がん(ぜつがん)は口腔がんとも呼ばれる、舌にできる悪性の腫瘍です。
お口の中にできる口腔がんの中で舌がんの割合は約60%と、発生頻度の高いがんとなっています。
舌の前方(舌先)2/3部分にできるがんを舌がん、残り1/3の舌の根のあたりにできるがんを中咽頭がんと呼びわけることもあります。
また、多くの舌がんは、上皮細胞ががん化して起こる扁平上皮がんという種類であることが特徴です。
舌がんは、男性の方がかかりやすい傾向にあり、50代〜70代に多いとされています。
ただし、50歳未満が全体の1/4を占めており、20代でも舌がんになることは十分に考えられます。
舌がんの原因は、喫煙や多量の飲酒、お口の中の不衛生などではないかと考えられています。
舌がんの症状とは
多くは舌にしこりができる、赤くなる、ただれるといった症状がみられます。
口内炎のようにしみることもありますが、初期症状では必ずしも痛みがあるわけではありません。
また、舌の動きに違和感があってしゃべりにくい、食事を飲み込みにくい、粘膜に白い斑点が出るといった症状も。
がんが進行していくと、痛み、出血、口臭などの症状が現れます。
違和感の時点で専門医にかかることが1番ですが、痛みが出た場合は放置せず、速やかに受診しましょう。
舌がんができやすい部分はどこ?
舌がんの多くは、舌側縁という舌の側面に発生します。
また、割合は多くありませんが、舌の裏側にできることも。
舌の異変は鏡を使って自分の目で確認することができるため、歯磨きの後に確認する習慣を付けることも効果的。
特に舌の側面に赤みや白斑、ただれのような症状がないかをチェックすることで、早期発見につながるでしょう。
もちろん、歯科の定期検診で歯科医師にお口の中をチェックしてもらうことも重要です。
かかりつけ医を決め、お口の中が前回の検診時から変化していないかを比べてもらえる環境を作ることも、がんの早期発見には重要ですよ。
また、表面に腫瘍が現れずに舌の内側で進行する場合もあり、そのときは舌の動きの違和感からがんに気づくことがあります。
舌がんと口内炎の違い
舌がんの初期症状は口内炎と見た目が似ているため注意が必要です。
ただの口内炎だと思っていたら舌がんだった、となると治療の開始が遅れてしまいます。
初期の舌がんと口内炎の違いとしては、しこりと痛みの有無がわかりやすいでしょう。
舌がんは硬いしこりがあり、触らなければ痛みはないということが多いのです。
一方で口内炎は、粘膜に傷や炎症が状態でしこりはなく、何もしなくても痛みを感じることもあるなどの違いがあります。
口内炎は通常1〜2週間で自然に治るものです。
口内炎だと思っているけれど2週間以上治らない、という場合は舌がんかも。
治らない口内炎は一度医師の診断を受けるようにしてみましょう。
舌がんの診断方法
診断ではまず視診・触診でしこりの大きさなどを確認します。
医師が視診や触診で舌がんの可能性が認められれば、正確に診断するために異変のある部分を一部を切り取り、病理検査を行います。
舌がんが大きく広がっていると考えられる場合は、CTやMRIなどの画像検査も用いるほか、舌以外の部分に転移していないかについてもPET検査・骨シンチグラフィ・腫瘍マーカーなど様々な方法で検査を行います。
舌がんかもしれないと感じたら、まずは耳鼻咽喉科や歯科口腔外科で診断してもらいましょう。
舌がんの治療方法
舌がんの治療方法はまず、がんの進展度や健康状態などから検討します。
進展度は「TNM分類」(T:がんの広がり・N:リンパ節への転移有無など・M:遠くの臓器への転移)というものを使い、がん進行の程度を「ステージ」で表します。
治療としては手術でがんのある部分を切除することが主で、リンパ節に転移している場合は頸部郭清といって首のリンパ節を取り除く手術を全身臓器への転移を防ぐ目的で行います。薬と放射線治療などで術後も治療を継続する場合も。
また、舌がんの切除を行わずに組織内照射という放射線治療のみで治療することもありますが、治療後もがんが残っているときは切除を行うのが一般的です。
画像引用:国立研究開発法人国立がん研究センター
まとめ
舌がんは多くの場合、舌の側面に硬いしこりがあり、初期症状では口内炎と違って痛みがありません。
舌の違和感や異変は患者さん自身が1番感じやすいものです。
また、舌がんの治療はとにかく早く開始することが大切です。
もしかして?と思ったら、躊躇わずに医師の診断を受けに行ってみてくださいね。