認知症は何歳からなる?

認知症は高齢者がなるイメージが強く、もの忘れの頻度が増えていても「まだ若いから認知症にはならない」と考えてしまいがちです。

厚生労働省が2009年に発表した「若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策について」によると、18〜19歳男性の人口10万人当たりの有病率が1.6人となっており、10代の若い年齢であっても若年性認知症になる可能性があるのです。

ただ、同じ認知症といえど高齢者のなる認知症と若い人のなる認知症は症状や問題点が異なるとされており、認知症は65歳以上の人が発症する「認知症」と、65歳未満の人が発症する認知症を「若年性認知症」にわけられているのです。

厚生労働省の調査では、若年性認知症の患者さんは全国に4万人ほどいると推計されています。

引用:厚生労働省「若年性認知症の実態などに関する調査結果の概要および厚生労働省の若年性認知症対策について」

認知症の発症は何歳からが多い?

同調査の総数の有病率(認知症患者数の推定割合)を見てみると、年齢が上がるにつれて数値が高くなっていますね。
若年性認知症においては60〜64歳で発症する割合が多いようです。

しかし推定発症年齢の平均は51歳とされており、誰もがなり得ることがわかります。
また、若年性認知症は男性のほうが多いことも知られています。

認知症でよくある症状

一口に認知症と言っても、実はさまざまな種類があり、症状や特徴も異なります。

認知症患者さんの多くが該当している4大認知症のそれぞれの認知症の症状をみていきましょう。

アルツハイマー型認知症

いわゆる認知症と言われると、アルツハイマー型認知症を思い浮かべる方が多いかもしれませんね。

アルツハイマー型認知症は認知症患者の中で最も多く、全体の6~7割を占めるとされています。

進行性の脳の病気であり、初期症状としてはもの忘れなど記憶に関する障害が見られ、その後は段取りが立てられない、単純作業や計算ができないなどの症状も出てきます。

昔のことは覚えていても、最近のことをよく忘れる傾向が強まります。

脳血管性認知症

脳梗塞や脳出血などが原因となる認知症です。
脳血管に問題が起こり、脳に十分な酸素や血が行き渡らなくなることで脳の機能が衰え、認知症を発症します。

症状はアルツハイマー型認知症と同様に、記憶障害や言語障害などがみられます。

脳血管性認知症は、ある日突然症状が出るケースも少なくありません。

また、発症後の早い段階から歩くことが難しくなったり、ろれつが回らなくなるなどの症状もあります。

レビー小体型認知症

アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症よりは患者数は減りますが、認知症患者さんの約4%はこのレビー小体型認知症です。

症状としては、現実には見えないものが見える幻視が特徴的とされています。

幻視や妄想があるため家族や周囲の人は異変に気が付きやすいですが、認知症の症状として結びつけて考えることが難しいため認知症であると診断されるまでに時間がかかるケースも多いようです。

そのほかに、手足の麻痺、筋肉がこわばるといった症状も現れます。

前頭側頭型認知症

前頭葉とは感情をコントロールする部分であり、側頭葉は記憶や言語に深く関連する部分です。

前頭葉か側頭葉、あるいはその両方が萎縮することによって症状が現れます。

理性的な行動ができなくなる、感情を強く露わにするなどの症状によって人格が変わったように感じられたり、身だしなみにこだわりがなくなる、ぼんやりしている時間が増えるなど感情が欠落して見えることも。

症状の特徴から、認知症より先に精神疾患を疑われるケースもあるようです。

4大認知症の中で唯一、難病指定がされています。

認知症の前段階「MCI」。症状は?

実は認知症には前段階があり、「MCI(軽度認知障害)」と呼ばれています。

MCIは、もの忘れなど認知機能の障害が部分的にあるものの、日常生活には支障が出ていないことがほとんどです。

もの忘れを自覚または周囲から指摘されていても、家事や仕事は今まで通り問題なくできているのに…という場合はMCIかもしれません。

間違って同じものを繰り返し買ってしまう、自分が何をしていたか忘れてしまうことがある、同じ話を何度もしてしまうなどの症状に心当たりがありませんか?

知的に正常な状態と認知症の中間段階であり、自分自身も周りもMCIであることに気付かないというケースも少なくないのです。

医療機関では一般的に、もの忘れがあるかどうか、神経心理検査で記憶障害が確認できるか、一般的な認知機能や日常生活動作が正常か、といったことなどを確認してMCIの診察を行います。

MCI発症は何歳から?

上記でご紹介した「年齢階層別若年性認知症有病者率」を見ると、すべての年代の人がMCIになる可能性があるといえるでしょう。

中でも認知症の推定発症年齢が平均51歳であることから、40代が多いのかもしれません。

若くても、もの忘れなど思い当たる節があればMCIを疑ってみましょう。
MCIは早期発見することで、認知症に進まずに健常に回復するケースも多いといわれているのです。

認知症の予防とは?何歳からする?

普段の生活から取り組める予認知症の予防方法を取り入れてみませんか?

例えば、アルツハイマー型認知症と生活習慣には大きな関係があることがわかってきました。

そのため、魚・野菜・果物を食べる、適切な睡眠時間をとるなど生活習慣を整えることが認知症の予防になると言われています。

また、運動をして身体が十分に動かせる健康を保つことも大切です。

寝たきりや行動範囲が狭まると、新鮮な脳への刺激が減ることから認知症に繋がるとされているのです。

認知症の予防は「脳への刺激」がポイントです。

人との会話や趣味に打ち込むことなども脳への刺激になるため、積極的に行うと良いでしょう。

その他にも、最近食べた物など体験を思い出す癖をつける、スピードを意識して仕事や計算をする、新しいことを始めてみる、なども認知症対策に効果的です。

まとめ

認知症は高齢者だけの問題ではなく、若い人も若年性認知症やMCIになる可能性があるのです。

認知症は早いうちから治療または予防を行うことで、進行を遅らせることができるケースもありますが、認知症ではないという思い込みは治療を遅らせてしまうかも。

認知症かもしれないと感じたら早めに専門医へ相談してみてはいかがでしょうか。