知覚過敏ってどんな症状?

知覚過敏ってどんな症状?

熱いものがしみたり冷たいものがしみたりする症状で有名な知覚過敏ですが、正式には「象牙質知覚過敏症」といいます。
象牙質というのは、エナメル質(歯の外側の白い部分)の内側にあり、エナメル質よりも柔らかく、刺激による痛みを感じやすい部分です。
知覚過敏は、象牙質が熱いものや冷たいものが触れることで痛みを感じている症状です。

虫歯の痛みも知覚過敏に似ていると言われていますが、痛みが起こる原因は異なります。
虫歯では甘いものもしみますが、知覚過敏では甘いものはしみません。
もしも甘いものがしみる場合は早めに歯科医院で虫歯のチェックを受けてくださいね。

では、なぜエナメル質と歯茎に覆われているはずの象牙質に刺激が加わり知覚過敏が起こるのでしょうか?

知覚過敏の主な2つの原因

知覚過敏になる原因は大きく分けて2つ考えられます。

エナメル質がすり減ったことにより象牙質が露出

エナメル質がすり減ったことにより象牙質が露出

象牙質はエナメル質に覆われていますが、エナメル質が何らかの原因ですり減り薄くなり象牙質が露出すると知覚過敏が起こりやすくなります。
歯ぎしりや食いしばり、強い圧や力強い歯磨きなどでもエナメル質はすり減ってしまい、象牙いsつに刺激が加わりやすくなるため知覚過敏の原因に。

レモンやオレンジなどの柑橘系の酸性のフルーツをたくさん食べていたり、炭酸水(炭酸ジュース)やワインなどの酸性の飲み物をよく飲んでいるとエナメル質が酸によって溶ける「酸蝕歯」になり、知覚過敏を引き起こす可能性があります。

お酒の飲みすぎでよく嘔吐する場合や、体調不良や胃腸のトラブルで良く嘔吐する場合も胃液によって酸蝕歯になりやすいので注意してくださいね。

歯茎が下がったことにより象牙質が露出

歯茎が下がったことにより象牙質が露出

歯茎の位置は、加齢や歯周病、歯ぎしりや強い歯磨きなどで少しずつ下がっていきます。
それに伴い、歯茎に覆われていた象牙質がお口の中に露出してしまうのです。
露出した象牙質に刺激が加わることで、知覚過敏の症状が起こりますよ。

時々、「歯のクリーニングをしたら歯がしみるようになった!」という患者さんもいますが、これも実は歯茎が下がっているからなんです。
歯茎が下がった部分に歯石がついて象牙質を覆っていただけであり、クリーニングで歯石を取ると象牙質が露出して痛みを感じてしまうんですね。

そのほか、生まれつきエナメル質が正しく作られない「エナメル質形成不全」の方は、エナメル質が粗いため、象牙質に刺激が加わりやすく知覚過敏になりやすいと言われています。

歯を白くするホワイトニングで知覚過敏が起こる⁉

歯を白くするホワイトニングで知覚過敏が起こる⁉

歯を白くする「ホワイトニング」も知覚過敏を引き起こす可能性があるんです。

歯科医院で医薬品を使って行う歯科ホワイトニングは、歯に過酸化水素や過酸化尿素を塗布し、エナメル質の中に薬剤を浸透させて、歯に含まれる有色物質を分解・漂白する方法です。

エナメル質に浸透した薬剤が象牙質まで到達すると、痛みを感じてしまいます。
歯科ホワイトニングに使う薬剤は高濃度なため、一度痛みを感じると数日間~数週間にわたって知覚過敏の症状が続くことがありますよ。

また、歯科ホワイトニングを行うと、通常歯の表面を覆っているペリクルという薄い膜が薬剤の作用によって剥がれてしまいます。
ペリクルは歯を外部刺激から守る働きもあるため、ホワイトニングによってペリクルを失った歯は刺激に弱くなり、しみやすくなるといわれています。

ペリクルは12~24時間で再生するといわれていますので、歯科ホワイトニングで歯がしみるようになった場合は数日様子をみてみましょう。

自分でできる知覚過敏の対処法

知覚過敏は数分~数時間で症状は治まりますが、毎日しみるのは辛いですよね。
少しでも知覚過敏を軽減したい!という方は、ぜひ以下の対処法を試してみてください。

①知覚過敏用の歯磨き粉を使用する

①知覚過敏用の歯磨き粉を使用する

市販の歯磨き粉の中には知覚過敏を抑える効果を謳っている商品がありますよね。
知覚過敏が気になる場合はまず試してみましょう。

具体的には「硝酸カリウム」「乳酸アルミニウム」という成分が入っているものがおすすめです。
これらは歯の神経が過敏になっている状態を抑え、知覚過敏の症状を防いでくれるといわれています。

逆に、シリカ、リン酸水素カルシウム、無水ケイ素などの研磨剤(清掃剤)が入っている歯磨き粉は避けてみてくださいね。
研磨剤は歯の表面の着色汚れを落とすことができますが、歯の表面に傷を付けてしまう可能性もあります。
知覚過敏が強い場合は避けておくと安心ですよ。

②歯ブラシで強く磨きすぎない

②歯ブラシで強く磨きすぎない

力強く歯ブラシを歯に当てて磨くと、歯を傷つけてしまうことがあります。
また、歯ブラシによって歯茎に強い刺激が加わると、歯茎が下がる原因になります。

歯磨きの力は100~200gくらいが適切です。
手の甲など薄い皮膚の上で歯ブラシを動かしても痛くない程度の力にしてみましょう。
100~200gは思っている以上に優しい力です。秤がある場合は、一度秤の上で歯ブラシを動かしてみるのもおすすめです。

③冷たい・熱い食べ物をなるべく避ける

③冷たい・熱い食べ物をなるべく避ける

一度刺激を受けた歯の神経は、その後しばらく敏感になってしまいます。

頻繁に刺激を加えていると痛みを感じやすい状態が続いてしまいますので、知覚過敏が治まるまでは冷たいものや熱いものを避けるようにしておきましょう。

自分で対策しても知覚過敏が辛いときは

上記の自分でできる対処をしても治らない場合は、歯科医院で知覚過敏の治療を受けることを検討してみましょう。

歯科医院では以下のような知覚過敏の治療を受けることができます。

①歯科医院で知覚過敏用の薬を塗布してもらう

①歯科医院で知覚過敏用の薬を塗布してもらう

歯科医院では、知覚過敏治療の薬剤を歯に塗布してもらうことができます。

歯の表面に一層の膜を張ることで歯の神経への刺激を軽減することができ、知覚過敏を改善することが期待できます。

②歯ぎしり防止のマウスピース(ナイトガード)作成

②歯ぎしり防止のマウスピース(ナイトガード)作成

知覚過敏の原因が歯ぎしりや食いしばりによるエナメル質のすり減りの場合はマウスピース(ナイトガード)を作成してもらいましょう。

マウスピースがクッションとなり、歯と歯が直接当たらないようにすることで力による負担を軽減できるほか、エナメル質のすり減りを予防することができますよ。

③レジン充填を行う

③レジン充填を行う

エナメル質が大きくすり減っている場合や欠けている場合は、その部分をレジン(歯科用樹脂/歯科用プラスチック)と呼ばれる素材で修復します。

また、歯ぎしりが強い場合や歯ブラシの圧が強い場合、歯の根の部分が参画に欠ける「楔状欠損(くさびじょうけっそん)」という症状を起こします。
楔状欠損によって象牙質が露出していると知覚過敏が起こりやすくなるため、知覚過敏の痛みが強くない場合も処置を受けることがおすすめです。

④神経を取る

④神経を取る

知覚過敏の原因は、歯の神経に刺激が加わることです。
そのため、痛みがあまりに強い場合には歯の神経を取り除くことで知覚過敏の症状をなくすこともあります。

ただし、歯の神経は取り除いてしまうと再生せず元には戻りません。
また、神経がない歯は寿命が短くなると言われることもあり、歯の神経を取り除く治療は慎重に、欲担当の歯科医師と相談したうえで行ってくださいね。

⑤レーザー治療

⑤レーザー治療

歯科用レーザーを露出している象牙質に照射することによって、象牙質から刺激が伝わりにくくなり知覚過敏を改善できると期待されています。

歯周病や虫歯がある場合は、同時進行で治療したり、先に歯周病や虫歯の治療を受けてから知覚過敏の散ろ湯を始めることも多くあります。

知覚過敏を改善したいだけなのに!と思われるかもしれませんが、歯周病や虫歯を放置したまま知覚過敏の治療をしても十分な効果が得られないケースもあるのです。
また、その歯周病や虫歯が知覚過敏の大きな原因の可能性もあります。

まずは一度、歯科医院で知覚過敏にお悩みのことを相談してみてくださいね。

まとめ

まとめ

知覚過敏は放っておいたら治ったという話を聞くことがありますよね。
ですが、知覚過敏の原因によっては症状が悪化する可能性も。

毎日の知覚過敏の症状を我慢するのは辛いですよね。

自分自身でできる対処法を試してもどうしても知覚過敏が治らない…という場合は一度歯科医院で相談してみてください。
もしかしたらたった一度の相談で、お悩みから解放されるかもしれませんよ。