入れ歯が原因?治らない口内炎
口内炎はお口の中にできる炎症のことですが、発生する場所や症状、種類はさまざまです。
代表的な口内炎は、頬の内側や唇付近の傷が白っぽくなり、食事のときなどに痛むものです。
一度はこの口内炎を経験したことがあるという方も多いのではないでしょうか。
これは「アフタ性口内炎」と呼ばれるもので、ストレスや栄養不足、免疫力の低下などが原因で発生します。
このほか、赤くただれる「ウイルス性口内炎」や、特定の金属や食品による「アレルギー性口内炎」、物理的な刺激によって腫れや水疱ができる「カタル性口内炎」などがあります。
入れ歯の不具合が原因に考えられるものとしては、物理的な刺激による「カタル性口内炎」のほか、「ウイルス性口内炎」「アレルギー性の口内炎」などが挙げられます。
物理的な刺激、すなわち入れ歯が口内に当たって口内炎ができる、というのは想像しやすいと思いますが、ウイルスやアレルギーは入れ歯とどのような関連があるのでしょうか?
次の項目で見ていきましょう。
入れ歯が原因で口内炎ができる?
入れ歯は、作りたての時にはしっかりフィットしていても、入れ歯の変形や患者さんのお口の変化などにより、合わなくなってくることがあります。
入れ歯が合わなくなる原因はいくつかありますが、顎の骨の変化や、入れ歯がすり減ることによる消耗などが挙げられます。
さらに、入れ歯に付着した歯垢に潜むカンジダなどの菌類が、入れ歯の床の素材の中に入り込むと変形してしまうことも指摘されています。
こうして合わなくなった入れ歯がお口の中の粘膜などを傷つけて「カタル性口内炎」を起こすことがあります。
入れ歯の汚れによって発生したカンジダが入れ歯によって傷ついた箇所に入ることで口内炎になることもあれば、金属製の入れ歯や部分入れ歯の針金などによる金属アレルギーが原因で口内炎が発生することも考えられます。
公的医療保険を適用して作成する部分入れ歯は、支える歯にかけるバネが金属でできています。
保険の部分入れ歯に使用される金属の多くは金銀パラジウム合金やコバルトクロム、不銹鋼(ステンレス)が使われており、中でも金銀パラジウム合金とコバルトクロムは金属アレルギーが起こりやすい金属といわれています。
金属を使用しない部分入れ歯は、自由診療(全額患者さんの自己負担)でしか作ることができません。
入れ歯が原因の口内炎の予防法
入れ歯の変形や歯垢がたまるのを防ぐことで、口内炎を予防できるようになります。
そのためには入れ歯をいつも清潔な状態に保つことです。
「入れ歯は磨かなくても大丈夫」というわけではありません。
汚れによって繁殖した細菌が入れ歯を変形させるほか、虫歯や歯周病、口臭の原因となってしまいます。
適切な方法で手入れしましょう。
入れ歯は毎食後に汚れを取り除くことが理想的とされています。
少なくとも、1日1回は入れ歯用のブラシで汚れを取り除くようにしましょう。
入れ歯用のブラシで磨くときは万が一落としてしまっても入れ歯が壊れてしまうことがないよう、水を張ったボウルや洗面台の上で取り扱うと安心ですよ。
特に汚れやすいのは、歯間、入れ歯の内側のくぼみ、留め金の部分など。
見落としやすいところに気を付けてください。
画像引用:公益財団法人 ライオン歯科衛生研究所
ただし、あまり力を入れすぎると変形や入れ歯に傷を付けてしまう原因となります。
優しく丁寧に磨いてください。
入れ歯用ブラシで磨いて汚れを取り除いた後は、入れ歯専用の洗浄剤を使用しましょう。
使用時間、使用頻度は製品によって異なりますが、夜寝る前に外した入れ歯を浸けておけるものが多いでしょう。
入れ歯洗浄剤はぬるま湯での使用を推奨している商品が多いですが、温度は40~50度程度が目安です。
60度を超えるお湯は、入れ歯の素材によっては変形の恐れがあるので注意してくださいね。
また、洗浄剤から取り出した入れ歯は流水でよく流し、洗浄剤をしっかり取り除いてからお口に入れましょう。
合わない入れ歯は「がん」につながる!?
お口に合っていない入れ歯が粘膜に刺激を与えることが原因で、口腔がんの危険性が高まるのではないかとも言われています。
また、入れ歯が不潔な場合もがんの原因になるとの考え方もあるようです。
口内の粘膜表面にできる扁平上皮がん(例:舌がん)は、歯の治療を受けた人に多くできる傾向にあり、入れ歯の周囲での再発は通常よりも多いという研究結果が出ています。
入れ歯とお口の中の関係は日々変化しますので、定期的に歯科医院で診てもらい、お口にあった入れ歯を使用することが大切ですね。
入れ歯が原因による口内炎についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひこちらの虫歯・歯周病・口内炎! 気をつけたいお口のトラブルの原因とは?をご覧ください。
あなたの口内炎がなかなか良くならない原因は、もしかしたら入れ歯の不具合にあるかもしれません。入れ歯のケアを見直し、かかりつけの歯科医師にも相談してみてはいかがでしょうか。