乾燥していると入れ歯が外れやすくなる!?

お口の乾燥が原因で入れ歯が外れやすくなるというのは一体なぜでしょうか?

入れ歯の中でも特に総入れ歯は、お口の中が乾燥すると外れやすくなる傾向にあります。

通常、唾液は入れ歯と粘膜の間に入り込むことによって糊のような役割を果たしています。
唾液によって、入れ歯がぴたっと吸着するのです。

お口の中が乾燥するということは唾液の量が減っているということです。
糊の役割である唾液が減ってしまった入れ歯は吸着しにくくなり、脱落しやすくなってしまいます。入れ歯安定剤の使用が増えている方は要注意です。

お口の中の乾燥(ドライマウス)は年齢が上がるにつれてよく見られる症状であり、特に女性では薬剤の内服による乾燥が見られる傾向にあります。

お口の中の乾燥は、入れ歯が安定しない大きな原因の可能性があるのです。

お口の乾燥を防ぐには?

年齢が上がるにつれ唾液が出にくくなる傾向にあり、お口の中が乾燥しやすくなります。
そこで、唾液を増やすための方法を紹介します。

唾液腺マッサージ

唾液が分泌しやすくなる手軽で効果的な方法として「唾液腺マッサージ」があります。
お顔にある唾液腺を適切な力で刺激することで唾液を出し、お口の中が潤うようにしていきます。

主な唾液腺は「耳下腺」「顎下腺」「舌下腺」の3つで、それぞれマッサージすることで唾液が出やすくなります。

唾液腺マッサージは力を入れすぎると痛みにつながります。
優しく触る程度の力加減で行ってくださいね。

耳下腺
耳たぶのやや前方を人差し指・中指・薬指で優しく押します。
円を描くように10回ほどマッサージしてください。

顎下腺
顎の骨の下を沿うように柔らかい部分を、軽く親指で押していきます。
耳の下から顎の先まで押していくイメージで、10回ほど繰り返します。

舌下腺
顎先の内側を真下から刺激します。
両手の親指でグッと押し上げ、10回ほどマッサージします。

鼻呼吸を意識する

口呼吸の癖がある方は、鼻で呼吸をするように意識付けましょう。

口呼吸は口が開いている時間が長くなり、空気に触れて口の中が乾燥する原因となります。

食事のときによく噛む

食べ物をしっかり噛むことを心がけると、唾液腺が刺激されます。

唾液腺マッサージ同様、唾液の出る量を増やすことでお口の中を潤すことができますよ。

唾液が出るものを食べる

レモンや梅干しなど酸っぱいものを想像すると唾液が出た経験はありませんか?

体は、酸っぱさ(酸味)を毒と判断し、洗い流そうとするから唾液が多く出るようになると考えられています。

また、昆布、納豆、アーモンドやセロリといった食物も唾液の分泌を促進する食べ物です。

水分を補給する

普段水分をあまり摂取しないという方は、お水を飲むようにしてみましょう。
体の中全体の水分量が減っているために、お口の中が乾いている可能性が考えられます。

水を飲むことで改善が見られる場合は、利尿作用の強いカフェインやアルコールの摂取も減らしてみるとよいでしょう。

水は飲みすぎてしまうと何度もトイレに行くことになってしまいますので注意してくださいね。

入れ歯が外れやすい原因とは?

お口の乾燥以外にも、入れ歯を使い続けているとだんだんと外れやすくなることがあります。

はじめはピッタリだったはずの入れ歯が、なぜ合わなくなってくるのでしょうか。さまざまな原因が考えられます。

入れ歯が変形した
入れ歯を長期間使用していると変形する可能性があります。

また、熱湯をかけたり、寝ているときなどに強く歯ぎしりしたりする場合も、入れ歯が変形する原因です。入れ歯の形が変わるとうまく吸い付かなくなるので、脱落しやすくなってしまうのです。

入れ歯を作ったばかりであっても、調整期間中は合わなくなることがあります。
その場合は歯科医師にご相談ください。

左右の噛み合わせが均等でなくなってきた
食事で噛むとき、「左側」と「右側」のどちらかで噛むという癖をもっていませんか?

どちらかで噛んでばかりいると人工歯がすり減ってしまい、左右の高さが異なってきます。
すると、入れ歯が浮いて外れやすくなることがあります。

歯肉が痩せてきた
歯肉は、年齢が上がるとともに痩せていく傾向にあります。歯を抜いた後なども痩せます。

歯肉が痩せることにより、入れ歯と歯肉の間に隙間が生まれて外れやすくなってしまいます。
また、歯ぎしりなどの強い刺激も、歯肉が痩せる原因になります。

対策しても入れ歯が外れてしまう時には?

入れ歯安定剤

入れ歯安定剤を使用することで、総入れ歯の床をお口の中に密着させて固定します。

入れ歯安定剤はクリーム、パウダー、シート、クッションなどさまざまなタイプの製品が販売されており、入れ歯の内面に塗ったりすることで、入れ歯と歯肉がずれている部分にフィットします。

入れ歯安定剤はあくまで応急処置としての使用に留め、歯科医院で入れ歯の調整をしてもらうようにしましょう。

入れ歯の調整

入れ歯が合わないと感じたら、歯科医院で調整してもらうことができます。入れ歯に違和感があるにもかかわらず我慢して使い続けるよりも、修理してもらって快適に使える方が患者さんにとってもメリットがあるでしょう。
新しく作ったばかりの入れ歯でも調整期間が必要になるほか、長く使っている入れ歯は劣化するおそれもあります。入れ歯は、必ずしも「一度作ってしまえば一生もの」というわけではありません。入れ歯は定期的に調整してもらうものであり、不具合が生じたら担当の医師に必ず相談してください。

まとめ

入れ歯が外れやすい場合、入れ歯の変形などのほか、お口の中が乾燥していないか確認してみましょう。
唾液腺のマッサージは入れ歯を装着したままでもできるお手軽な方法なので、ぜひ試してみてくださいね。

入れ歯が外れやすい生活は不便が多く、ストレスの原因ともなってしまいます。
我慢せず、歯科医師に相談してみてくださいね。

この記事が、あなたの入れ歯に対する不安を解消し、再び快適な生活を送る一助になれば幸いです。