舌がんとは

舌がん(ぜつがん)とは、口腔がんの一つであり、舌にできる悪性の腫瘍のことです。口腔がんは歯茎や頬の内側などにもできますが、舌がんの割合が約60%と多くを占めます。

国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センター全国がん登録室は、全都道府県を集計対象地域にして、「全国がん罹患モニタリング集計(2015年)」を実施し、がんにかかった方のうち、発症部位の割合などを算出しました。それによると、舌根(基底)部の粗罹患率(全患者数を全年齢の人口で除した値)は男性0.8%、女性0.1%、男女計0.5%。舌の舌根部以外は男性4.4%、女性2.6%、男女計3.5%でした。女性よりも男性の方が舌がんにかかりやすい傾向にあります。

舌がんができる原因は?舌のどの部分にできやすいの?

舌がんの明確な原因はまだわかってはいませんが、喫煙や多量の飲酒が舌がんにつながると考えられています。噛みたばこが盛んな東南アジア諸国では、舌がんを含む口腔がんの発症率が日本の約30倍にもなっています。日本で吸われている紙巻たばこなども舌がんの原因となるようです。また、アルコール自体には発がん性物質は含まれませんが、アルコールを分解する際に出るアセトアルデヒドという物質が危険であるとされています。

舌がんは、舌の側面または裏側にできることが多くあります。喫煙や飲酒以外に、合わない被せ物や入れ歯、未治療の歯、悪い歯並びにより舌を噛んだり傷つけることが考えられ、、舌がんにつながるとも考えられているのです。

これって舌がんかも?舌がんのセルフチェック

舌がんは鏡を使って自分の目で確認することができます。早期発見が可能ではあるものの、単なる口内炎だと思って気付くのが遅れるケースも少なくありません。以下は代表的な初期症状です。特に舌の側面や裏側に注目してみましょう。

□口内炎が2週間以上治らない
□粘膜に赤か白の斑点ができている
□硬いしこりがある
□表面がざらざらする
□ただれている
□しびれや違和感がある

他に出血する場合もあり、上記の症状にどれか一つでも当てはまれば、早めに専門医を受診することをおすすめします。

まとめ

筑波大学医学医療系・耳鼻咽喉科が2013年に発表した「口腔悪性腫瘍の臨床統計」によると、「舌扁平上皮癌43例の5年粗生存率はStage I では 100%,Stage II では78.6%,Stage III では33.3%,Stage IV では27.5%であり,全体では60.3%と特にStage IV 症例において口腔扁平上皮癌全体に比べてやや低い傾向にあった」とされています。口腔癌の5年生存率は一般的に40−60%程度です。比較すると、舌がんの場合やや生存率が低い傾向にあるものの、早期発見・早期治療をすれば5年後の生存率は高くなるでしょう。
日常生活でできる舌がん予防としては、禁煙、節度ある飲酒、バランスの良い食生活、適度な運動の他、歯で舌を傷つけないよう気を付けることが大切です。もしも、合わない被せ物や入れ歯、虫歯、不正歯列により頻繁に舌を噛んでしまう場合、歯科医院で治療を受けましょう。この記事でお口に対するあなたの不安が少しでも解消されたら幸いです。