1. 妊娠中の歯科治療、いつ受けるのがベスト?

・妊娠初期(妊娠0~15週)

妊娠初期の歯科治療

妊娠初期はつわりがひどく、歯ブラシを入れるだけでも苦しくなることがあります。
この時期の歯科治療や薬の服用は赤ちゃんの発育にも影響が出やすい時期です。

歯医者さんでは口の中に器具を入れることが多いので、吐き気や気持ち悪さが起こりやすくなります。
長時間同じ姿勢で椅子に座っていることが苦しく感じる可能性も。

どうしても虫歯が痛い、急いで治療をする必要があるときだけ通院することをおすすめします。
つわりが軽いときを見計らって通院するのもよいでしょう。

・妊娠中期(妊娠16~27週)

妊娠中期の歯科治療

この時期は「妊娠安定期」とも呼ばれ、つわりが治まってきます。
歯科治療においてもお腹の赤ちゃんへの影響がもっとも小さい時期と考えられるので、緊急性のない治療は妊娠中期で治療することが多いです。

また、歯に異常を感じていなくても、少なくとも妊娠安定期の間には歯科検診を受けることが大切です。

再び治療が辛くなる妊娠後期に入る前に、虫歯や歯周病などのチェックを受けるようにしてくださいね。

・妊娠後期(妊娠28~39週)

妊娠後期の歯科治療

お腹が大きくなり、母体に負担がかかってきます。
歯医者さんで治療を受けるときはあおむけの姿勢でいる必要があるため、お腹の重みで息苦しさや辛さを感じてしまいやすいでしょう。

治療内容によっては身体を横向きにしておくこともできますが、基本は仰向けです。
治療は応急処置にとどめて、出産後に改めてしっかり治療するという選択肢をとることが多いでしょう。

どうしてもすぐに治療したい場合は、歯科医師と産科の担当医とよく相談してみてくださいね。

2. 治療するときに気をつけたいこと

妊婦が治療するときに気を付けたいこと

つわりが治まる安定期を選んで治療するほか、妊婦さんが気になる点、気をつけたい点について解説します。

歯の治療ではレントゲン撮影をすることがありますが、歯科では顔の範囲を撮影し、基本的に防護服をつけて撮影するので、お腹の赤ちゃんへの影響は非常に少ないと考えられます。

麻酔も、範囲を限定した局部麻酔であれば、お腹の赤ちゃんに影響は少ないといわれています(シタネストという麻酔薬は分娩作用があるため、妊婦さんには原則使用しません)。

鎮痛剤などのお薬については、医師に妊娠中であることを伝えてください。
妊娠中はカロナールという薬を処方することが多いです。

不安が拭えないことがあれば、医師にはっきり伝えましょう。
出産までは応急処置で済ませるなど、妊婦さんの意向に沿った提案をしてくれます。

3. 妊婦さんの歯科検診は無料で受けられることも

妊婦さんの歯科検診は無料

妊婦さんの検診項目は、主に虫歯や歯石の有無、口内の衛生状態のチェックなどになります。

自治体によって検診の費用は無料のことが多いようです(自治体によって妊婦さんの歯科検診の内容や条件が異なる可能性があるので、確認してみてくださいね)。

しかし、検診で治療が必要と判断された後の治療費は負担金額(窓口での費用負担、自費治療費負担)が発生します。

一番大切なことは妊娠の有無にかかわらず、歯医者さんに定期的に通院することです。

痛みのない虫歯がある、歯周病が知らないうちに進行していることも。
特に、歯周病は「サイレントディジーズ(静かなる病気)」と呼ばれるほど。

定期的に歯医者さんを受診して口腔内を清潔に保っておけば、妊娠中に虫歯や歯周病になるリスクが下がり、緊急性のある治療も少なくなりますよ。
しっかり虫歯を治療しておくことで、赤ちゃんに虫歯菌をうつしてしまう可能性も減少させることができます。

お母さんの虫歯治療が、生まれてくる赤ちゃんの虫歯の予防にもつながるのです。

歯医者さんを上手に活用して、口の中の健康が妊娠中に悪くならないように心がけてみませんか?