親知らずとは
親知らずは歯科では「第三大臼歯」や「智歯」と呼ばれます。
親知らずと呼ばれるのは、親知らずは10代後半から20代前半に生えてくるため保護者、主に親御さんが、第三大臼歯が生えてきて存在していることを知らない、という理由からです。
乳歯は2歳頃までに生えてきて、第二大臼歯は12歳前後に生えてきますので、親知らずが生えてくるのはかなり遅いと言えますね。
第二大臼歯は12歳前後に生えるので、仕上げ磨きは小学校卒業まで続けたほうがいいとされています。
仕上げ磨きを続けていれば第二大臼歯まで生えていることを保護者は知ることができますよ。
親知らずは元々ない人がいます。
また、骨の中に埋まっているため気付かないこともあります。
ヒトが進化するにつれて必要がなくなったから生えなくなった、食生活が変わり顎が小さくなったためにまっすぐ生えてこなくなった、顎が小さく生えるスペースがない、などと言われています。
一方で近年では古代人も親知らずがない人やまっすぐ生えてこない人がいたという報告もあるのです。
親知らずが欠損していることは悪いことではありませんが、親知らずがまっすぐ生えてこない場合には、磨きにくく歯周炎や虫歯などになりやすく、お口の中のトラブルの元となる可能性も高くなります。
親知らずによるトラブル
親知らずがまっすぐ生えてこない場合に起こるトラブルについてご紹介します。
・ブラシで上手に磨けず、汚れがたまり虫歯になる
・手前の歯にぶつかり、手前の歯(主に第二大臼歯)の根が吸収されてしまう
・歯茎が炎症を起こす(智歯周囲炎)
・口臭の原因になる
・虫歯の放置で感染症になり得る
(顎骨骨髄炎、化膿性リンパ節炎※など)
現在は食生活の変化によって顎が小さくなっている傾向にあり、親知らずが生えるスペースが足りなくなり、まっすぐ生えてこない親知らずが増えているとも言われています。
親知らずを放置してしまうと、親知らずが悪くなるだけでなく、周りの歯にも悪影響を及ぼす可能性があり、その場合は抜歯を行います。
※親知らずによる感染症
顎骨骨髄炎
虫歯菌や歯周病菌などが顎の骨に入り込み、顎骨の骨髄に細菌が到達することで起こる感染症です。
顎を中心に、頬や顔が腫れ、痛みが出てしまいます。
部分的に親知らずが生えていることで隙間に菌が溜まり、顎まで到達してしまい、感染を引き起こす可能性があります。
化膿性リンパ節炎
虫歯や歯周病の悪化で、リンパ節が腫れる感染症です。
高熱が出たり、意識が朦朧とするなどの症状が引きおこることもあり、重症化している場合には入院が必要になることもあります。
治療で治まりますが、再度感染する可能性が非常に高いため、親知らずが原因の場合は根本的な治療が必要となります。
抜歯はするべき?
親知らずは生えてきたら抜歯するものだと思われていますが、必ずしも抜歯が必要になるわけではありません。
例えば、親知らずがまっすぐ生えてきており、上下の噛み合わせが良好な場合は通常の歯と同じで何も問題がないため、抜歯の対象にはなりません。
また、親知らずが骨の中に生えており、顎の骨を通る神経と近い場合や、骨から全く出ていない場合は、抜歯をせず経過を観察することもあります。
抜歯が必要な場合として、既に上記のようなトラブルを引き起こしている場合や、親知らずが一部分だけ頭を出していてトラブルを引き起こす可能性が高い場合などです。
また、矯正治療を行うために、親知らずの抜歯を行いスペースを確保することもあります。
斜めに生えている親知らずや、歯茎や骨の中に埋まっている親知らずの抜歯は「口腔外科手術」と呼ばれ、一般的に歯科医院で受けることの多い手術です。
親知らずの位置によっては大学病院での抜歯や、入院して全身麻酔を行って抜歯をする事もあり、身体への負担がかかります。
親知らずの抜歯が必要かどうかは、歯科医師の診断の元、よく相談して決定しましょう。