アミロイドーシス

アミロイドーシス

アミロイドという物質が心臓や神経、血管に沈着することでさまざまな症状を引き起こします。
アミロイドは通常では存在しない物質ですが、免疫にかかわる免疫グロブリンや細胞を構成するケラチンから形成されます。

脳に沈着するとアルツハイマー型認知症、心臓に沈着すると心疾患や心不全などを起こします。

皮膚や脳など特定の臓器にだけ沈着する場合もあれば、全身の至る臓器に沈着することもあります。

IgA血管炎

IgAという抗体がさまざまな臓器の血管を攻撃して炎症を起こし、関節痛や腹痛、皮疹、腎炎などを起こす免疫異常です。

3~10歳の子供に多く見られ、特に男児が発症する傾向があります。
溶連菌という喉の感染症の後に起こるk十が多いです。
成人以降に発症した場合は再発率が比較的高く、重度の腎障害につながる可能性もあります。

下肢静脈瘤

脚を通る大きな静脈がこぶのように盛り上がり、網目状に浮き上がります。
血液が脚の下にたまっていくと血管が拡張し、血管が表面に浮き出たりこぶのように盛り上がることがあります。

原因としては、血液の逆流を防ぐ静脈弁の異常のほか、妊娠、深部静脈血栓症、骨盤内腫瘍などが考えられます。
血管が浮き出るなどの見た目の問題のほか、ほてりや痛み、むくみ、湿疹といった症状も現れます。

急性大動脈解離

最も太い動脈である大動脈に亀裂が入って中膜が急激に裂ける病気です。

胸や背中が突然激しく痛み、吐き気や嘔吐、意識を失うといった症状が現れます。
中膜が解離すると分岐先の血流が途絶えて血液が循環しなくなり、脳梗塞や心筋梗塞といった症状につながって突然死する可能性もあります。

高血圧や喫煙などによって血管内皮にストレスがかかりやすくなり、血管内膜に亀裂が入りやすい状態になると言われています。

巨細胞性動脈炎

主に側頭動脈という頭部にある血管で炎症が起きる病気です。

全身がだるくなる、体重減少、食欲の低下といった症状が現れます。
目の動脈に炎症が起こり、失明をきたすことがあります。

原因は明らかになっていませんが、遺伝やウイルス感染などさまざまな環境要因が影響し、免疫反応が自身の動脈に向かってしまうと考えられています。

また、リウマチ性多発筋痛症と合併することも多いとされています。

血管炎症候群

血管に炎症が生じて発症する病気の総称です。
血管は全身にさまざまな大きさのものが張り巡らされていて、疾患によりどの部位で血管障害が出やすいか異なります。

このため、血管炎症候群の原因はひとつではありません。
自分の体を守る免疫システムが異常を起こして血管を攻撃し、炎症が生じていると推定されています。

多くの疾患に共通する症状として、体重の減少、発熱、倦怠感などがあります。

血管炎症候群

血管腫

血管が拡張、または増殖することによりできる良性腫瘍のことです。
出生時からあるものや、成長する中で生じるタイプがあります。

血管腫にはさまざまなタイプがあります。乳児血管腫という生後すぐに現れるタイプは、学校に通い始めるころまでに消失します。

痛みを伴う房状血管腫は、小型であれば自然に改善していきます。
このほか、ポートワイン母斑、海綿状血管腫、動静脈奇形など、異なる特徴を持つタイプがあります。

血管肉腫

血管の内皮細胞に由来するするがんのことで、珍しい病気とされています。
全身のいたるところにできる可能性があり、中でも皮膚(特に頭部)に現れるケースが多く見られます。悪性度が高いうえに転移があり、重篤な病気といえます。

原因については解明されていませんが、頭部にケガをしたことがある患者さんが多く見られるというデータもあることから、外部の刺激によって発症する可能性も考えられています。

顕微鏡的多発血管炎

腎臓や肺、それに小型血管に起きる炎症です。
発見が遅れると臓器の機能が低下する恐れがあります。

症状としては、発熱や倦怠感、臓器の機能低下による腎障害や喀血、神経障害や肺の機能低下などがあります。
また、あざや関節痛、筋肉痛などの症状が見られるケースもあります。

原因不明な難病で、70歳代以降の高齢者に多く見られます。

高血圧症

収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上の状態を高血圧症といいます。

高血圧の状態が続くと動脈硬化が進行して脳卒中、心筋梗塞、心不全などのリスクが高まります。
原因としては、塩分の過剰摂取、運動不足、肥満、ストレスが主なものですが、二次性の原因として腎臓の血管の異常、ホルモン異常なども挙げられます。

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症

白血球の一種である好酸球と呼ばれる細胞が異常に増えることで細い血管に炎症を起こし、臓器に障害が見られるようになる病気です。

国の難病に指定されています。肺炎、神経や腎臓の障害、さらには心筋梗塞や脳卒中といった大きな病気につながるおそれがあります。
原因は明らかになってませんが、気管支喘息、アレルギー性鼻炎といったアレルギー疾患を持つ人が多く発症しています。

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症

静脈瘤

下肢や精巣のまわりなどの静脈がこぶのように膨れる病気です。
症状はこぶができる部位により異なり、足がだるい、こむら返り、皮膚の隆起などといった症状があります。

原因はさまざまですが、立ち仕事が多いと下肢に静脈瘤が現れやすくなったり、肝硬変があると胃食道静脈瘤として現れたりすることがあります。

先天性心疾患

心臓や血管の形に、生まれつき異常が見られる状態です。
ダウン症候群、18トリソミーなどの染色体異常が起きていると、ひとつの病状として心疾患を発症する例があります。

妊娠中のアルコール摂取や薬剤の服用、それに喫煙などの影響も指摘されています。
先天性心疾患は病気の種類などもさまざまです。

頻度が高いものとして心室中隔欠損症がありますが、そのほかにもファロー四徴症、完全大血管転位など、主なものだけでも40~50種類と非常に多くの種類があります。

大動脈瘤

大動脈にこぶのような膨らみができる病気で、破裂すると大出血を起こして死につながるおそれがあります。
大動脈は心臓から全身に血液を送る役割を持つ大事な血管。動脈硬化などによりこぶができると考えられています。

糖尿病や高血圧、喫煙、ストレスなどが動脈硬化を引き起こすとされています。
自覚症状がないことが多く、こぶが発見された場合は心臓血管外科などの専門医を受診した方がよいでしょう。

高安動脈炎

大動脈とそこにつながっている大血管に慢性的な炎症が起きる病気で難病です。
血管の壁が厚くなったり血管そのものが狭くなったりし、血栓ができやすくなります。
それにより脳梗塞や心臓弁膜症など、重病を引き起こすおそれがあります。

高安動脈炎にかかると充分な血液が送れなくなり、めまい、立ちくらみ、頭痛、失神、難聴などの症状が現れます。
また、腕や脚につながる血管で発症すると、手足のしびれや痛みといった症状が出ます。

低血圧症

一般的に上の血圧が100mmHg未満で、血圧が通常よりも低い状態のことです。
低血圧症にかかると疲れやすくなるほか、だるい、めまい、頭痛、立ちくらみ、耳鳴りなどの症状が現れます。

血圧が低くなる原因として、パーキンソン病、糖尿病、甲状腺機能低下症などがあります。

低血圧症

動脈管開存症

生まれつき現れる心臓病の一種です。本来、胎児が出生してすぐに閉じるべき血管(動脈管)が閉鎖せず残ってしまう状態です。

この病気にかかると肺や心臓に負担がかかり、心不全や呼吸障害が出てくる場合があります。
胎児に現れる症状としては、呼吸が多い、ミルクの飲みが悪い、体重が増えないなど、さまざまなものがあります。

動脈硬化

コレステロールなどが血管の内側に付着して血管を狭め、血流が悪くなる病気です。
原因としては糖尿病や高血圧、高脂血症のほか、肥満や喫煙の習慣などが挙げられます。

動脈硬化が進行すると、その血管にかかわる臓器に異常が現れることがあります。
代表的なものとして脳梗塞、心筋梗塞、狭心症といった病気につながるおそれがあります。

内頸動脈狭窄症

大動脈から脳へ血液を送る内頸動脈という血管が狭くなり、血流が悪くなる病気です。
動脈硬化が進行した結果として内頸動脈狭窄症が起きるもので、動脈硬化は糖尿病や高脂血症などとともに進行します。

内頸動脈狭窄症自体は自覚症状がないまま進行し、さらに狭窄が進むと立ちくらみやめまいなどが起こります。
また、血管内にとどまっていたコレステロールなどの塊が剥がれ落ちると血管が閉塞し、手足のしびれや感覚麻痺などの症状が現れます。

バージャー病

動脈が炎症によって狭くなり、血液の流れが悪くなるというものです。
バージャー病にかかると手足に痛みやしびれが生じ、重篤化すると手足が壊死して手の指や足の指を切断するというケースもあります。

バージャー病にかかった人の多くが喫煙者とされており、喫煙習慣が発症に大きく影響していると考えられています。
また、口の中の衛生環境(虫歯や歯周病)も発症に関連があるのではという指摘もあります。

肺動脈狭窄

肺への動脈が狭窄(狭くなる)する状態です。
右心室から肺動脈への血流が悪くなり、皮膚や粘膜が青紫色になるチアノーゼが見られるようになります。

また、時間の経過とともにむくみなどが現れ、右心室に負担がかかって右心不全となります。
原因としては先天的な異常によるものと考えられています。

風疹、ウィリアムズ症候群などの先天性の疾患などが関連があると指摘されています。
皮膚や粘膜が青紫色になるチアノーゼが見られるようになります。

肺動脈狭窄

閉塞性動脈硬化症

糖尿病や高血圧、肥満などによる動脈硬化が進行し、血管が狭くなることで起きる病気です。50歳以上の男性に多く見られます。

この病気がよく見られる部位が下肢の血管で、血流が悪くなることで歩行障害が起きます。
具体的にはしばらく歩くと痛むようになる、といったものです。

このほか、だるさやこむら返りなどが見られます。程度が強くなると最悪の場合、下肢を切断するというケースもあります。

門脈圧亢進症

門脈とは肝臓に入る血管のひとつで、この門脈の中の圧力が異常に上がる状態を門脈圧亢進症といいます。

食道胃静脈瘤、腹水・胸水貯留、肝性脳症などさまざまな症状が現れ、場合によっては吐血や下血、呼吸困難といった症状を引き起こします。

お酒を飲む方や、糖尿病や高脂血症にかかっている、または肥満体型の方などは門脈圧亢進症のリスクが高いと考えられています。

まとめ

血管に関する疾患をご紹介しました。自己判断で病気を判定できるものはほとんどないといえるので、気になる場合はしっかり検査を受けてください。

検査結果によっては早期治療で改善できるほか、生活習慣を変えるべき病気もあるので、よく相談してみてくださいね。