口腔機能評価とは?

口腔機能評価とは?

食べる、飲み込む、しゃべるはお口の大切な機能です。
毎日何気なく使っているため気が付きにくいですが、お口の機能は高齢になるにつれて少しずつ衰えていきます。

お口の機能の低下をオーラルフレイルといい、心身の機能が低下する前段階とも言われています。

この、お口の機能の低下度(オーラルフレイルの度合い)がどのくらいなのかを詳しく調べるのが口腔機能評価です。

お口の機能が低下しているかどうか自分ではわからない…という方は、こちらのオーラルフレイルチェックあなたはいくつ当てはまる?でチェックしてみましょう!
オーラルフレイルチェックに当てはまっていたら、次の口腔機能評価を受けることを検討してみてくださいね。

口腔機能評価はこれをチェックする!

口腔機能評価では次の3つの力をチェックし、お口の老化度をチェックします。

口腔機能評価方法

①噛む力(咀嚼機能)
ひとつ目は、噛む力(咀嚼機能:そしゃくきのう)です。

食べ物を噛み砕くための動きができているかどうか、どのくらいの力で噛んでいるかなどを調べます。
噛んでいるときに口からこぼしていないかもチェック対象です。

咀嚼機能が衰えると、食べこぼしが増えたり、食べ物を大きい塊のまま飲み込むため胃腸の負担になるなど様々な影響が起こります。

②飲み込む力(嚥下機能)
ふたつ目は飲み込む力(嚥下機能:えんげきのう)です。
お口の機能では、ひとつ目の咀嚼機能で噛み砕いた食べ物を飲み込む力も欠かせません。

通常は、お口の中で噛み砕かれた食べ物を飲み込むと、食道を経由して胃へ送りこまれます。
嚥下機能が低下していると、飲み込んだ食べ物が誤って気管へ入り込んでしまったり、少量をより小さくしないと飲み込めないなどが起こります。

③運動する力(運動機能)
噛む力、飲み込む力のほかに、お口の運動機能もチェックします。
唇や頬、舌、顎がどれだけ動かせるか、思い通りに動かせているかなどを調べます。

お口の運動機能が低下すると呂律が回らなくなったり、無意識に口元が動いてしまうオーラルジスキネジアが現れることがあります。

口腔機能評価の方法

口腔機能の状態を知るには、それぞれ下記の評価方法があります。

咀嚼機能の評価方法

咀嚼機能の評価方法

咀嚼機能の評価方法の一つとして、感圧シートというものを用いて噛む力を測定します。
感圧シートを使った評価方法には、歯が何本残っているかや歯並びも大きく関連するのです。

また、専用のガムを用いて咀嚼力を判定する方法もあります。
決まったペースでガムを噛み続け、ガムの色の変化などから咀嚼機能を評価することができますよ。

似た方法として、グミゼリーを咀嚼してどれだけ噛み砕けたかを見る方法もあります。
その他、歯科医師が触診して咀嚼機能を評価します。

嚥下機能の評価方法

嚥下機能の評価方法

簡単で安全性の高い方法として、気管に入ることなく唾液を何度も飲み込めるかどうかで、嚥下機能を評価することができます。

また、水をむせることなく飲めるかどうかで嚥下機能を評価する方法も。
具体的には、冷水3mlを口腔底(舌と歯ぐきの間のくぼんでいる部分)に入れて、飲み込めるか、むせないか、呼吸に問題がないか、湿ったガラガラ声にならないか、といったことを調べます。

運動機能の評価方法

運動機能の評価方法

うがいがうまくできるかどうかで、運動機能を評価することができます。
うがいには二種類あり、一つはのどの奥に水を入れてガラガラうがいができるかどうかです。
水を飲んだりむせたりしないかで判定します。

もう一つは、口に水を含んで、頬を動かしてブクブクうがいをする方法です。
水が口からこぼれたり、水を飲んでしまったりすると、運動機能に問題があるかもしれません。

その他、運動機能を評価する方法として、「パ」「タ」「カ」の発音を繰り返すというものもあります。
「パ」の発音を繰り返し、10秒間で何回発音できたかを測定し、次に「タ」「カ」も同様に行います。
最後に「パ・タ・カ」の一連の発音回数についても測定するのが一般的な評価方法です。

口腔機能評価は安全に行う必要がある

口腔機能評価は安全に行う必要がある

上記でご紹介したような口腔機能評価は、自分自身で行うとむせて危険な状態になり得るほか、正しい判定をできない場合が多いのです。
安全に口腔機能評価を行うために、歯科医院や病院で検査を受けることをおすすめします。

医師に診てもらうことで問題が発見されやすいですし、エックス線やカメラを用いるなど精密な検査を受けることもできますよ。

おうちでできるのはどれ?

おうちでできる口腔機能評価

口腔機能評価は基本的に病院で行うものですが、自分自身で簡単にチェックして心の準備をしたり、少し症状がある場合にだけ病院に行きたい方もいらっしゃるでしょう。
そんな場合のために、おうちでできる口腔機能評価をご紹介します。

ただし、本来は医師の指導のもと行うものであり、自分自身で行う場合は細心の注意が必要です。
うまくできない可能性がある場合、少しでもセルフチェックをすること不安がある場合はセルフチェックはしないようにしてくださいね。

セルフチェックは自己責任で行うものです。
また、必ずしも病院で行う口腔機能評価と同じ結果が出るとは限りません。

・うがい
運動機能の評価方法でご紹介した、ガラガラうがいとブクブクうがいはおうちでもチェック可能です。
水を飲んでしまう、水がこぼれる、むせる、水が鼻に回る、といった場合には運動機能の低下が疑われます。

むせて呼吸ができないということにならないよう注意してください。

・唾液の嚥下
30秒間に唾液を何度飲み込めるかをチェックする方法です。
喉ぼとけの部分に人差し指と中指の腹をあてて、飲み込む際に喉ぼとけが持ち上がることを確認しながら行います。

唾液を飲み込めた回数が30秒間に3回未満だった場合は、嚥下障害の疑いがあります。

・水の嚥下
冷水3mlを口腔底に入れて、飲み込めるか、むせないか、呼吸に問題がないか、湿ったガラガラ声にならないか、といったことを調べます。

まとめ

噛む力や飲む力など、口腔機能評価の方法についてご紹介しました。
嚥下がうまくできずに、お口の中の細菌が肺に入り込むと、誤嚥性肺炎を引き起こすこともあるなど、口腔機能の低下は様々なリスクに繋がります。

肺炎による入院をせず、健康に過ごしていくためにも、気になることがあれば口腔機能評価を行ってみてください。

お口の老化の程度を知り、歯科医師の指導のもと、お口の衰えを予防するためのトレーニングを早く開始するなど対策をしていきましょう。