猩紅熱とは?

猩紅熱はA群β溶血性連鎖球菌というものによって発症する細菌感染症で、「溶連菌(ようれんきん)感染症」の一種です。急性咽頭炎を発症してから12時間〜48時間で全身に赤く小さい発疹が現れた場合には、猩紅熱が疑われます。

全身の発疹は溶連菌が毒素を排出することで起こります。赤く小さい発疹と記載しましたが、パッと見は日焼けして赤くなった皮膚のような見た目です。

猩紅熱は溶連菌への感染が原因。溶連菌は咳やくしゃみなどの飛沫によって感染します。そのため、猩紅熱も飛沫感染するといってよいでしょう。溶連菌はインフルエンザやおたふくとは異なり、感染しても出席停止の義務はありません。

猩紅熱の症状がある場合は保育園や幼稚園、小学校への登園・登校は控えましょう。発熱や咳などの症状が出ていると周囲の人への配慮でお休みをするかと思いますが、症状が軽い場合は登園・登校して感染させてしまうかもしれません。

溶連菌に一度かかれば免疫ができますが、溶連菌にも複数の種類があり、異なる種類の溶連菌には感染してしまいます。大人でも免疫力が低下しているときや妊娠中などは、まだ感染していない種類の溶連菌に感染するリスクが高くなるので注意しておきたいですね。

猩紅熱を通常の風邪と見分けるポイント

猩紅熱の主な症状は、38度〜39度の発熱・頭痛・悪寒・筋肉痛などです。数日の潜伏期間を経て、急に咽頭痛と発熱が見られ、同時期に皮疹が現れるのが最初の症状です。

猩紅熱の初期症状の一部が通常の風邪と似ており、見分けにくいこともあります。放置すると症状が悪化したり、感染力が強いため周りにうつしてしまうことがあるので注意が必要です。

猩紅熱ならではの症状を知り、風邪との区別をつけられるようにしておきましょう!咽頭痛と皮疹が同時期に見られる他に風邪と見分けるポイントを紹介します!

扁桃腺や舌に白い付着物があるか

全身に発疹が現れるのと同時に、扁桃腺(へんとうせん)に白い付着物(膿)が見られるケースがあります。さらに症状が進行すると、舌に白いコケのようなもの(舌苔)が見られることも。その他、喉の痛みを強く感じる場合もあります。

舌にぶつぶつができているか

猩紅熱にかかっている場合、舌の先端が赤くなって全体に白いコケのようなものが広がり、さらに時間が経つと舌にぶつぶつができます。このように舌にぶつぶつができた状態を「いちご舌(苺状舌)」といい、猩紅熱の特徴的な症状で、猩紅熱を発症してから3日〜4日で発症します。

痒みを伴う発疹がないか

猩紅熱を発症した直後には、首や胸あたりに痒みを伴う発疹が現れます。また、痒みだけでなく赤みがあるという点も猩紅熱ならではの特徴です。やがて発疹は全身に広がります。治った後に、脇や指先などにできた発疹の皮が剥けてくるケースもありますよ。

猩紅熱が引き起こす恐れがある主な合併症

猩紅熱は免疫反応によって合併症を引き起こす恐れがあり、重症に至らないよう注意する必要があります。具体的には、以下のような合併症を発症するケースが考えられます。

リウマチ熱

リウマチ熱は、猩紅熱に感染した際にペニシリン系抗菌薬による治療を10日位以上など投与を長く行って治療しますが、十分に行なわれなかった場合、数週間後に発症する可能性があります。どの年代でも発症する恐れがありますが、特に5歳〜15歳に多く見られます。

リウマチ熱の発症には遺伝が関係しているともいわれています。抗菌薬を正しく内服することで予防でき、もしリウマチ熱にかかってもほとんどの患者さんは回復します。しかしながら、猩紅熱の合併症としてリウマチ熱を発症すると、できた抗体が心臓、神経、関節なども細菌と同時に攻撃をして関節痛や心炎による胸痛などが起こります。

リウマチ熱による心臓弁膜症などの後遺症を残さないためにも、猩紅熱の症状がみられる場合は速やかに医療機関を受診し、適切な治療を受けましょう。

急性糸球体腎炎

急性糸球体腎炎(きゅうせいしきゅうたいじんえん)はいわゆる急性腎炎のことで、発症原因のウイルスや細菌のうち、8割がA群β溶連菌だといわれています。先行感染から大体10日前後で血尿(ほぼ100%)・むくみ・高血圧(7〜8割でみられるが2週間くらいで改善することが多い)などの症状が現れます。

2歳未満や40歳以上の場合は発症率が低く、2歳〜15歳の発症率が高いことがわかっています。小児の90%が治癒するという報告があります。

溶連菌への感染、猩紅熱の感染が多くみられる就学期の子供は発症率が高いため注意しておきましょう。

急性糸球体腎炎にかかっている場合には数日〜数週間の治療を行い、その後の再度の尿検査で異常がなければ完治と判断されます。1〜3ヶ月で尿所見は消失し、成人でも50%以上は完治しますし、完治後は薬を服用する必要もありません。

アレルギー性紫斑病

猩紅熱の症状が改善してしてから2週間〜4週間ほどで、アレルギー性紫斑病を発症することがあります。ふくらはぎなど脚に発疹がみられることが多いです。いつまでも皮膚の赤みがひかない場合や、発疹を伴わない赤みがある場合などは、アレルギー性紫斑病を疑いましょう。20歳以下、男児に発症しやすく、特に3歳〜10歳の発症率が高いです。関節痛・むくみ・腹痛などの症状が現れます。

猩紅熱はどれくらいで治る?

ペニシリン系の抗生物質の十分な投与によって症状は治まっていきます。途中で抗生物質の投与をやめてしまうと、心炎などの合併症が起こる恐れがあるという点に注意が必要です。抗生物質は10日間以上投与されることが一般的なので、完全に治るまでは約2週間ほどの見込みとなります。

まとめ

喉の痛みや発熱に加えて、扁桃腺の白い付着物・舌のぶつぶつ・痒みを伴う全身の発疹などの症状が見られた場合は、猩紅熱を疑いましょう。

風邪の症状にも似ているため少し見分けにくいですが、発疹、喉、舌に出てくる症状のサインを見逃さなければ鑑別は簡単です。猩紅熱は放っておくと症状悪化や腎炎やリウマチ熱などの合併症を引き起こしてしまいます。

就学期の子供に猩紅熱のような症状があらわれている場合は、症状が軽度であっても感染力が強いので医療機関の受診をおすすめいたします。猩紅熱にかかってしまっても、2週間ほど抗生物質を投与することによって完治します。

2週間は家庭内感染に注意し、再発しないよう最後までしっかりと薬を飲んで治療してくださいね。