舌痛症とは?

舌痛症とは、舌に炎症や口内炎・潰瘍・発赤などの明らかな病的所見がないのに、舌がぴりぴり・ひりひりした痛みや灼熱感を感じることをいいます。

国際頭痛分類第3版(13-11口腔内灼熱症候群(BMS))によると

A:B および Cを満たす口腔痛がある(注1)
B:1日 2時間を超える痛みを連日繰り返し、3ヵ月を超えて継続する
C:痛みは①と②の特徴を有する ① 灼熱感(注2)②口腔粘膜の表層に感じる
D:口腔粘膜は外見上正常であり、感覚検査を含めた検査結果が異常がない
E :ほかに最適なICHD-3の診断がない

とされています。

そのため、舌痛症には口腔内灼熱症候群を含んでいるケースが多いようです。
舌の見た目には何ら異常所見がなく、患者さんの訴える痛みのみが大きな特徴です。

専門家でなければ診断が難しく見逃されることがあり、精神的な問題で起こることもあるので舌痛症と診断されるまでに時間がかかることもあります。

舌痛症は更年期の女性に多い!

舌痛症は0.7%〜3%の人が発症するといわれています。中でも更年期を迎えた女性に多く、舌痛症の原因ははっきりとはわかっていませんが女性ホルモンバランスが発症に関係しているのではないかと考えられています。

閉経後の女性における発症率は12~18%にもなるともいわれており、男性よりも女性のほうが8~10倍ほど多いという報告があります。

舌痛症の主な特徴

原因不明の舌の痛みや灼熱感は舌痛症かもしれません。 改めて、舌痛症の特徴をチェックしていきましょう。

舌や口全体に痛みが生じる

舌痛症の主な症状は、痛みと灼熱感です。1日中症状を感じるわけではなく治まる時もあるのが特徴です。

口腔内灼熱症候群と同様に、1日に2時間以上、3ヵ月以上にわたって症状が繰り返す場合に舌痛症と診断される傾向にあります。また、更年期である時期に症状が出れば舌痛症と診断されることが多いでしょう。

舌痛症になっても寝ている間に痛みで目が覚める、なんてことはありません。また、会話や食事をしたから痛みが出るということもありません。食事の間のほうが痛みが和らぐという患者さんも多いようで、生活に大きな支障をきたすことは少ないです。

口腔乾燥・味覚障害

舌痛症の患者さんは、口腔乾燥を訴えることがあります。また、口腔乾燥に伴い味覚障害が自覚症状として出現することもあります。

口腔乾燥と舌痛症の関係性はわかっていませんが、一般的に口腔内が乾燥していると舌や頬などの粘膜が唾液で保護されず傷などが付きやすくなって炎症を起こしやすく、敏感になります。

通常の口腔乾燥であれば食事中も苦痛に感じることがありますが、舌痛症の場合は口腔内が乾燥しているように感じる場合も、食事をしているほうが痛みを感じないことが多く食事中の方が苦痛を感じないのかもしれません。

口腔内に炎症や潰瘍が見られない

舌痛症では痛みや灼熱感を感じますが、見た目の変化はありません。舌が赤くなっていたり腫れている場合、潰瘍がある場合は舌痛症ではないので別の原因を疑いましょう。

患者さんに聞き取りをした結果、明らかなストレスや不安があり、精神科を受診した記録があり、舌の痛みが生じているのであれば「心因性舌痛症」と呼ばれることがあるようです。

心因性舌痛症には、「自分の舌にがんができるのではないか」など、実際に何も起きていない段階で強い不安を感じているケースもあります。
不安に思うあまり脳が錯覚して舌に痛みを感じ始めてしまうことがあるのではないかと考えられています。

こうしたケースでは、検査結果を根気強く説明されることで痛みが消失することもあります。
ただ、基本的に舌痛症の明確な発症原因は分からず、治療は長期化する傾向にあります。

舌痛症になった際に気をつけること

舌痛症による灼熱感や痛みが気になってしまいますが、あまり意識しすぎないようにしましょう。

過剰に気にして舌を強く磨いてしまう、常に舌を動かしてしまうなどすると舌を傷つけてしまったり、別の痛みが生じる原因を作ってしまうこともあります。気にし過ぎると本来何でもないことを違和感に感じたり刺激に感じてしまうこともあります。

痛みを緩和するためにも、舌のことにあまり意識を向けないようにしましょうね。
ビタミンなどの栄養不足も原因とされているので、十分に栄養をとること、しっかり休息をとることを心がけましょう。

舌痛症はストレス以外に過労が原因である可能性も考えられています。
日々の生活習慣を整え、ストレスの少ない生活ができるように心がけてみてください。

また、日々の口腔ケアをていねいに行い口腔内を清潔にしておく、喫煙の習慣がある場合は禁煙をすることも発症予防に効果的とされています。

焦らず、舌痛症の原因になっているかもしれないことを1つずつつぶしていきましょう!

歯科へ通院して口腔内チェックを受ける

舌痛症の症状がある場合、すぐに治る方法はありませんがまずは1度歯科を受診してみてください。

もしかしたら被せ物や入れ歯、自分自身の歯の尖っている部分が原因で舌に違和感があり、舌痛症につながっているかもしれません。

お口の中のメンテナンスをすることで、舌痛症を緩和できる可能性がありますよ。

精神科を受診してみる

舌痛症は患者さんの精神状態が影響している可能性があります。

特に、「舌がんになっているかもしれない」「口の中に問題があるかもしれない」など不安からくる舌痛症は、精神的な不安を取り除くことで解消できる可能性があります。

そのほか、神経障害性疼痛という何らかの原因で神経に障害が起き、痛みを感じているケースもあります。
この場合、神経の問題を改善することで痛みを解決できるかもしれません。
お口の中のことなので精神科は…と思うかもしれませんが、舌痛症の原因を取り除ける可能性がありますよ。

あまり不安に感じすぎず、1度受診してみてはいかがでしょうか。

舌が痛むときは他の疾患も考えられる

舌痛症以外で舌が痛む疾患をご紹介します。

口腔乾燥症

口腔内が乾燥していると痛みを感じることがあります。

口の中の乾燥は糖尿病や薬物などによって起こることもあります。
口腔内の乾燥が原因で舌に痛みが出ている場合は、食事などで物理的な刺激に痛みを感じます。

一方で舌痛症の場合は食事時に痛みが緩和される患者さんが多いようです。
食事時に痛みが生じる場合は、口腔内の保湿を心がけてみましょう。

口腔カンジダ症

舌が痛いだけでなく見た目も赤くなっている場合、カンジダ菌(カビ)が原因の「口腔カンジダ症」かもしれません。

口腔カンジダ症の発症は唾液量の減少や免疫力の低下などが知られています。
唾液の減少によって口内が乾燥し、舌に痛みが出るというケースがあります。

カンジダ症の場合、お口の中の粘膜をガーゼなどで拭うと白い苔のようなものが付着します(舌苔とは異なり、頬や口蓋(口の中の天井部分)にも付着します)。

舌がん

舌の痛みに加えて、しこりや潰瘍ができている場合は舌がんの可能性があります。

口内炎が2週間たっても治らない場合、舌がんかもしれません。
舌にこれまで経験しなかったようなしこりなどがある場合は、速やかに口腔外科を受診してください。

まとめ

舌痛症は、舌に明らかな所見がないにもかかわらず痛みが慢性的に続きます。
特に更年期の女性に多く見られ、明らかな原因はわかっていません。

舌痛症はすぐに治療が必要な疾患ではありませんが、毎日の痛みはしんどいですよね。
まずは1度歯科を受診し、舌に問題がないかをしっかり確認してもらいましょう。

そして舌痛症であると診断されたら、口腔内の清潔を保ちつつ、できる限り気にしすぎないようにしてみてくださいね。
遺伝的に慢性痛を抱えやすい人と抱えにくい人がいることが報告されています。

舌痛症になるのは遺伝のせいかも、更年期かもと自分自身のせいにしないように考えておくのもいいかもしれません。