ホジキンリンパ腫とは?

ホジキンリンパ腫は、悪性リンパ腫の一種で血液のがんです。白血球の成分の一つであるリンパ球ががん化してできた悪性腫瘍を、まとめて悪性リンパ腫と言います。

20代〜60代の幅広い年代の方に主にみられる病気で、首・脇の下・肺門・縦隔部・腹部大動脈周囲・足の付け根の内側などのリンパ節から発症することが一般的です。

その他、リンパ節でなくても、脾臓(ひぞう)や胸腺などからホジキンリンパ腫が発症することもあります。まれに、リンパ節などから発症したホジキンリンパ腫が、歯肉に進展するケースもあります。

ホジキンリンパ腫の原因としては、ウイルス感染の可能性も考えられますが、明確にはわかっていません。また、人から人へうつったり、遺伝したりする病気ではありません。

ホジキンリンパ腫の主な症状

しこりや腫れが現れることが多いホジキンリンパ腫。その他にも特徴的な症状をご紹介します。

痛みのないしこりや腫れ

ホジキンリンパ腫は、主に首・鎖骨・脇の下・足の付根の内側に、痛みのないしこりや腫れがみられます。この症状に気づいて医療機関を受診する患者さまが多いのです。まれに痛みを伴います。

また、歯肉にホジキンリンパ腫が発症した場合には、顎の下にしこりや腫れが現れるケースもあります。その他、隣り合ったリンパ節にしこりや腫れが広がりやすいという特徴もあるのです。

2週間以上にわたってしこりや腫れが続く場合は、医療機関の受診をおすすめします。

体重減少や発熱

理由なく体重が減少したり発熱したりする場合は、ホジキンリンパ腫の症状が現れているのかもしれません。
体重減少の目安は6ヵ月で10%以上。また、38度以上の発熱が数日間にわたって続いた場合には注意が必要です。その他に、体温が上がったり下がったりを繰り返す異常な体温変化がみられることもあります。

これらの全身症状は「B症状」と呼ばれていて、ホジキンリンパ腫を含む悪性リンパ腫の症状としてよくみられるのです。しこりや腫れに気づいたのと同時期に、体重減少や発熱がある場合には、ホジキンリンパ腫を疑いましょう。

大量の寝汗

大量の寝汗もB症状の一つです。掛け布団やシーツを替える必要があるくらいにずぶ濡れになる寝汗には注意してください。また、息切れの症状がみられる場合もあります。


ホジキンリンパ腫の治療法

ホジキンリンパ腫と診断された場合には、以下のような治療法が用いられます。放射線療法と化学療法を用いるのが一般的です。

放射線療法

腫瘍がある部分にのみ放射線を照射し、腫瘍細胞を殺したり縮小したりするのが放射線療法です。ほとんどのケースで化学療法と併用します。

患者さまの状態によっては照射範囲が大きくなります。その場合、血液や血球成分の産生に悪影響を与え、骨髄の造血障害などの強い副作用がみられることもあるのです。具体的には、白血球が減少して感染症にかかりややすくなる、血小板が減少して出血しやすくなるといった症状が想定されます。

また、首から上の部分に放射線を照射すると、口内炎・唾液腺障害・味覚障害などの副作用が出る可能性もあるのです。

化学療法

化学療法は、内服や主に静脈血管への注射によって抗がん剤を投与する治療法です。抗がん剤が血流に乗って体中に広がるため、全身の腫瘍細胞を殺したり縮小したりできるという点が特徴となっています。

その一方で、全身の臓器に障害をきたす恐れがあります。一般的な副作用としては、吐き気・嘔吐・便秘・下痢・全身倦怠感・口内炎・脱毛・造血機能の障害などが挙げられます。放射線療法と併用すると、副作用がより現れやすくなるのです。

造血幹細胞移植

放射線療法や化学療法がホジキンリンパ腫に効かないケースでは、造血幹細胞移植を行います。これは、治療前に自身の造血幹細胞を採取して凍結保存しておき、大量の放射線療法や化学療法を行った後に静脈内に戻すという治療法です。大量の放射線療法や化学療法によって破壊された骨髄機能を補うことができます。

他の人から造血幹細胞をもらって移植することも可能です。自身の細胞を使用する治療法を自家造血幹細胞移植といい、他の人からもらった細胞を移植する治療法を同種造血幹細胞移植といいます。

近年は、血液の中から造血幹細胞を採取することが可能となり、骨髄から採取するよりも安全に行えるようになりました。

ホジキンリンパ腫の治癒率は?

ホジキンリンパ腫は4段階の病期(ステージ)に分けられます。最も進展している状態がⅣ期です。

I期やII期の場合の治癒率は約85%で、III期では約70〜80%と少し下がります。そしてIV期でも治癒率は60%を超えます。早期発見して治療に取りかかれば、その分治癒率が高くなるのです。

まとめ

ホジキンリンパ腫は悪性リンパ腫の一つです。がんと聞くとショックも大きいことと思いますが、治癒する病気の一つとしても知られています。

ホジキンリンパ腫が発症する原因は明確にはわかっていないため、予防は難しいと考えられます。そこで大切なのは、ホジキンリンパ腫が発症した際に、早期に発見して治療に取りかかることです。リンパ節にしこりや腫れがあったり、同時期に体重減少・発熱・大量の寝汗などの全身症状が現れたりした場合には、ホジキンリンパ腫を疑って早期に内科、特に血液内科を受診しましょう。