ウイルス性唾液腺炎とは?

ウイルス性唾液腺炎はウイルス感染が原因で唾液腺に炎症が起こる疾患です。
唾液腺炎とは唾液腺の腫れ・赤み・発熱などの炎症を起こし、その原因はウイルス、細菌、アレルギー、自己免疫性疾患などさまざまです。

ウイルス性唾液腺炎で代表的なのが流行性耳下腺炎、通称おたふく風邪です。

ムンプスウイルスというウイルスに感染することで起こる唾液腺炎であり、一度かかると免疫抗体ができます。
保育園や習い事などを通じて子供同士で感染する機会が多いですですが、稀に大人になってから感染してしまうことがあります。

流行性耳下腺炎にかかると唾液腺が腫れ、発熱、そのほか口の中に痛みが出ることがあります。
子供の顔がいつもより丸く、耳の前の頬を押さえると痛みや腫れがあり、発熱もある場合はウイルス性耳下腺炎を疑いましょう。

ウイルス性耳下腺炎は症状が出る1~2日前から治癒して症状がなくなってもウイルスが体内に残っているため感染リスクがあります。
症状は多くが4~5日で治まりますが、個人差があるため症状の有無を確認したうえで外出制限を解除するようにしましょう。


ウイルス性唾液腺炎の主な症状

流行性耳下腺炎を始めとするウイルス性唾液腺炎では次のような症状が出ます。
当てはまる場合、極力人に会わないようにし、速やかに医療機関にかかりましょう。

耳下腺または顎下腺の腫れ

ムンプスウイルスに感染して2~3週間すると、片側あるいは両側の耳下腺(まれに顎下腺)が腫れてきます。
頬~耳の周りに痛み、腫脹、発赤などの症状が出ているか確認しましょう。

耳下腺の管は口の中へ繋がっており、腫れが口の中にも現れることがあります。食べ物を飲み込む時の痛みや首の痛みを感じることもあります。

ウイルス性唾液腺炎はまず最初に片側の耳下腺が腫れ、2~3日後にもう片側の耳下腺が腫れてくるケースが全体の75%ほどといわれています(参考:奈良県医師会)。
残りの25%は片側だけの耳下腺が腫れ、もう片側には症状は出ません。

2~3週間の潜伏期間を経過して、最初に症状が現れてから48時間ほどで腫れのピークを迎え、1~2週間で軽快していきます。

発熱

ウイルス性唾液腺炎では、3~4日間ほど発熱があります。
発熱は解熱鎮痛剤を服用し、あまりに高熱が出る場合は点滴などで解熱することがあります。

高熱が出るうえに飲み込む際の痛みを感じるため、水分補給がおろそかになりがちです。
経口補水液などの水分をしっかり摂取するようにし、脱水を引き起こさないように注意が必要です。

ウイルス性唾液腺炎の主な感染経路

ウイルス唾液腺炎は主に飛沫感染で他人に感染します。
ウイルスをうつされないためにはどうすればいいのか、詳しく感染経路を紹介します。

飛沫感染

ウイルス性唾液腺炎を引き起こすムンプスウイルスは、人の咳やくしゃみなどの飛沫が他人に飛ぶことで起こる感染です。
大声で叫んだときに唾が飛び散り、それを吸い込むことによる感染も飛沫感染です。

マスクをすることや一定の距離を保つことで飛沫による感染リスクを低下させることができますが、子供の場合は集団生活において飛沫感染を避けることが難しく感染しやすいでしょう。

子供がかかった場合は保護者は別室で過ごすほか、看病の際はマスクをする、なるべく会話をしないようにする、看病の後はすぐに着替えるなど飛沫感染対策を行いましょう(出席は症状がなくなれば良いとされています)。

接触感染

ムンプスウイルスが感染する経路は、飛沫以外にも接触感染があります。
ウイルスがついている手で口や鼻などの粘膜に触れることによる感染です。

接触感染の予防は、まずはウイルスを手に付けないようにすること。

例えば、握手や抱っこ、キスなどはウイルスを持っている人との接触になるので、感染リスクが高まります。
また、感染している子供が保護者の口や鼻など粘膜付近を触ってしまうことでも感染してしまうので注意しましょう。

また、ドアノブや食器など物にもウイルスは付着しています。
感染者が触った物に触れることで手や服などにウイルスがつき、感染の原因となります。
触るものはできる限り消毒するほか、物の共有を控えたり、部屋の換気をするなど徹底しておきましょう。


併発しやすい怖い病気とは!?

ウイルス性耳下腺炎は大人になってからかかると合併症を引き起こす可能性があります。
また、子供でも稀に合併症を引き起こすことがあるため注意が必要です。

ムンプス髄膜炎(無菌性髄膜炎)

ウイルス性唾液腺炎の合併症としてもっとも多いのが無菌性髄膜炎です。
ウイルス性唾液腺炎にかかった人の3~10%以上が発症するといわれています。年齢が高くなるほど発症率が高まることが知られています。

無菌性髄膜炎とは細菌以外が原因の髄膜炎で、主な症状としては発熱、嘔吐、頭痛などがみられます。
髄膜がムンプスウイルスに感染することが原因で引き起こされる疾患をムンプス髄膜炎とも呼びます。

ウイルス唾液腺炎に症状が似ているため気が付くのに時間がかかることもあり、長引くウイルス性唾液腺炎の場合は都度医療機関を受診しましょう。

無菌性髄膜炎が重症化する可能性は10%程度と低いですが、いまだ効果的な治療法が確立されていないため自然に改善するのを待つしかありません(7−10日ほどで改善することが多いです)。

睾丸炎(精巣炎)

睾丸炎(精巣炎)は、ウイルス性唾液腺炎にかかった思春期以降の男性の20~30%くらいに見られます。

睾丸炎になると精巣が腫れて強い痛みを引き起こし、炎症の程度によっては精子形成障害を引き起こし、不妊の原因になります。
ほとんどはムンプスウイルス感染によるものと考えられています。

唾液腺が腫れてから7日程度経過した頃に睾丸炎の症状が現れることが多く、発熱や吐き気、頭痛なども見られることがあります。

頬の腫れが引いてきたのにそれ以外の症状が治まらない、かつ睾丸の痛みを感じる場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
速やかな治療が、後遺症(不妊)になる確率(10−30%)を下げるといわれています。1−2週間で一般的に軽快します。

卵巣炎

卵巣炎は、ウイルス性唾液腺炎にかかった思春期以降の女性の約7%に見られます。
おたふくかぜと同じように下腹部が痛むほか、ごくまれですが不妊の原因となることもあります。

他、膵炎や脳炎などの重篤な合併症を引き起こすこともあるので、注意しましょう!

まとめ

ウイルス性唾液腺炎は、耳下腺や顎下腺の腫れなどが見られるウイルス感染症です。
感染経路としては飛沫感染や接触感染があるので、マスクをしたり手を消毒したりして予防する方法があります。

大人のウイルス性唾液腺炎は髄膜炎などの合併症が重症化しやすいため、風邪と思わずに速やかに医療機関を受診してくださいね。
また、子供がウイルス性唾液腺炎に罹った時には、罹っていない大人はできる限りの感染対策をしておきましょう。

普段から感染症に備えて行動し、ウイルス性唾液腺炎にかかるリスクを軽減していきましょう。