類皮嚢胞とは?

「類皮嚢胞」は皮膚と同じ組織からなる嚢胞という上皮でできた壁で構成され、主に舌と歯の間(口底)に発生します。
基本的には、胎生期(受精から出生までの期間)に皮膚の元となる組織が皮膚が無いところに迷い込むことで発生します。

嚢胞壁の中に、毛包、皮脂腺、汗腺といった皮膚付属器が含まれているものが「類皮嚢胞」で、それ以外を「類表皮嚢胞」といいます。
病名は似ていますがこの2つは異なる腫瘍です。

類皮嚢胞とは

類皮嚢胞の主な症状

弾力性のあるしこりや腫れ

類比嚢胞は基本的に痛みが伴いませんが、それゆえに、気づかないまま症状が進行してしまうケースがあります。
発症すると弾力性のあるしこりができ、しこりが大きくなってくると顎の下が腫れていきます。

また、しこりの中心部には毛穴の開口部があるのですが、しこりを強く押すと臭い匂いを持つおから状の内容物が出てきます。
しこりが急に痛みを伴ってきた場合は開口部で細菌感染を起こしている可能性があるため、注意が必要です。

発音や嚥下の阻害

嚢胞が大きくなると、舌が後方に押され発音や嚥下が阻害されてしまうことがあります。
発音や嚥下は日常生活で必要不可欠。類皮嚢胞の悪化は悪影響を及ぼします。

類皮嚢胞によるリスク

類皮嚢胞は基本的には良性腫瘍に該当しますが、まれに悪性化してしまう恐れもあります。
万が一悪性化すると生命に直接かかわる可能性もあるため、注意しておくに越したことはありません。

また、嚢胞が大きくなるスピード自体は遅いものの、大きくなりすぎると周囲の組織を圧迫して生活に支障が出ます。
類皮嚢胞の内容物が漏れ出した場合、脳で類比嚢胞ができると発熱や頭痛髄膜炎のような症状を引き起こす可能性もあります。

類皮嚢胞によるリスク

類皮嚢胞は手術で切除する必要がある

類皮嚢胞は放射線治療や化学療法が奏功しません。
きれいに取り除きたいのであれば、手術を行って切除する必要があります。

ただし、細菌感染を起こしている場合に限っては、抗生物質や鎮痛剤を先に投与します。

手術で類皮嚢胞を全て取り除きさえすれば、その後再発することはほとんどありません。
しかし、乳幼児期で腫瘍が小さく、症状も特に認められない場合であれば、手術を行わずに経過を見ていくケースも存在します。

まとめ

類皮嚢胞ができたとしても基本的に痛みは感じませんが、細菌感染を起こすと痛みを伴うかもしれません。
悪性化したりする可能性もあります。そのため、口腔内にしこりや腫れが生じてしまった場合は、早めに医療機関を受診しておいたほうが安心です。

類皮嚢胞を完全に除去するためには手術が必要になりますが、取り除いた後に再発する可能性はほぼありません。
類皮嚢胞の存在が気になるようであれば、手術を行って確実に原因の元を解消しておきましょう。