粘液嚢胞とは?

粘液嚢胞は、耳下腺などの大唾液腺や小唾液腺からの唾液が排出される管の出口が何らかの原因で詰まり、唾液が粘膜の下にたまって袋状の嚢胞ができる病気です。

発症箇所は主に下唇や舌下面で、表面が破れて唾液が流れることによって嚢胞が潰れます。
潰れても、傷が治った後に再び膨れるのが特徴です。

特に、舌下腺から分泌された唾液が口底部にたまってできる大きな粘液嚢胞は、ラヌーラ(ガマ腫)と呼ばれます。
ガマ腫は通常の嚢胞よりも大きくなりやすく、場合によっては顎の下まで膨らむケースもあります。

見た目に関しては、周囲と同じ色調の場合もあれば、やや青みを帯びることもあります。
また、噛んだりすることで何度も潰れたものに関しては、キズになって(瘢痕化して)白色がかってくることもあります。

粘液嚢胞の症状

基本的に無症状

粘液嚢胞は基本的に無症状なので、そのまま放置されることが多くなります。
唇が少し膨れているような感じがする場合もありますが、痛みが生じないことがほとんどです。

唇が少し膨れる

実際に唇が少し膨れるケースがありますが、痛みを感じるほどのものではありません。
嚢胞の大きさとしては5mm前が大半で、1cmを超える可能性は低いです。

嚢胞を噛んだりして唾液が流れると一時的に腫れが引きますが、数日後には再発します。


粘液嚢胞の治療法

嚢胞と唾液腺の摘出手術

粘液嚢胞の治療に際しては、基本的にメスを用いた摘出手術によって嚢胞と唾液腺を取り除いていきます。
局所麻酔を施してから摘出し、およそ10分程度で終了です。術後1週間程度で抜糸を行います。

ガマ種のような手術をしても何度も再発するケースは、舌下腺そのものを摘出する必要が出てきます。
その場合は全身麻酔を施す必要があるような、より大がかりな手術が必要となってきます。

開窓術(ガマ腫切開術)

嚢胞のサイズが大きかったり、摘出対象がガマ腫である場合には、局所的に切開を行う「開窓術=かいそうじゅつ」を用いることもあります。
これによって嚢胞の半球状を切除し、唾液の流出経路を確保することが主な目的となります。

レーザー照射

局所麻酔を行ってから、レーザー照射で嚢胞を摘出することもできます。
手術中は痛みを感じないだけでなく、麻酔が切れた後の痛みも少ないとされています。
また、レーザー治療であれば出血も抑えられる上に、処置後に縫合を行う必要もありません。

レーザーの発熱によって新陳代謝が促されるため患部における組織を再生する力が高まり、術後の傷の治りが早くなる点も特徴です。

OK-432嚢胞内注入硬化療法

局所麻酔をした後に、OK-432(ピシバニール)という薬剤を注射器で注入する方法です。
この薬剤はもともと免疫力を高めるために使用する薬ですが、炎症反応を起こして膨らみを癒着・縮小させる作用も持つため、粘液嚢胞の治療においても効果が期待できます(他はリンパ管腫でも使われます)。

手術を受ける必要がなく、1回の注入で治療が完了することがある点がメリットです。
その一方で、嚢胞の大きさによっては、2~3回ほど注入する必要が出てきます。

また、副作用として発熱や注射部位の腫れや発赤など起こる可能性がある点にも留意しましょう。


粘液嚢胞は自然治癒する?

小さい嚢胞であれば、破れた際にそのまま自然治癒するかもしれません。

しかし、ほとんどの粘液嚢胞は破れてもそのまま治ることはなく、数日後に再発してしまいます。
破れて傷ついた後は少し痛む場合もあるため、注意が必要です。

唾液腺の導管でないところから唾液が漏れている限りは、嚢胞が破れても再発を繰り返してしまいます。
そのため、粘液嚢胞を根本的に治療したいのであれば、手術などによって原因となる唾液腺を取り除く必要があります。

まとめ

粘液嚢胞は殆どのケースにおいて、自然治癒が見込めないものがほとんどです。
基本的には無症状ではありますが腫れや痛みが出る場合もあるため、粘液嚢胞の症状がみられた場合はすぐに歯科医院を受診しておいたほうがいいかもしれません。

治療にあたっては、一般的な手術のほかにもレーザー治療や薬剤の注入といった多様な選択肢が存在します。
実際に専門医と相談したうえで、ご自身に最も適した治療法を選んでいきましょう。