含歯性嚢胞とは?
含歯性嚢胞は字の通り嚢胞に歯の歯冠部分が含まれているもの。歯が嚢胞の中にある状態のことを指します。
厳密にいうなら、歯が歯茎の中に埋まっており、かつ、歯の白い部分(歯冠)が嚢胞内にある状態のことをいいます。
虫歯などが原因で歯の根が嚢胞に含まれているものは「根尖嚢胞(こんせんのうほう)」とよばれ、含歯性嚢胞とは別の分類となります。
嚢胞ができると、細胞、体液、細菌などが上皮でできた構造物の中に溜まっている状態になります。
嚢胞は水ぶくれのようなイメージが近いかもしれません。
含歯性嚢胞の多くは痛みや腫れなどの症状が見られず、気が付きにくいです。
乳歯から永久歯に生え変わる6~12歳頃に乳歯が抜けても後継永久歯が生えてこず、気になってレントゲンを撮って初めて気が付くことも多いでしょう。
含歯性嚢胞になっても症状が見られませんが顎の骨の中で少しずつ大きくなっていくことがあります。
放置していると徐々に大きくなって顎骨が吸収されて薄くなり、押すとパコパコと音がする(羊皮紙様感を感じる)状態になります。
含歯性嚢胞を早期発見するには?
嚢胞が埋まっている歯を包み込んでいるので、除去しなければ自然に歯が生えてくることは困難です。
子供の歯がなかなか生えてこない場合、含歯性嚢胞を疑って歯科医院でお口の中のレントゲンを撮影してみましょう。
含歯性嚢胞は自覚症状がないため気が付きにくく、ようやく違和感を感じたときにはすでに周りの歯や骨にも大きな影響を与えている可能性があります。
親知らずの歯冠を含む含歯性嚢胞ができることもあるため、まだ親知らずが生えていない場合もレントゲンを撮影して確認しておくことがおすすめです。
含歯性嚢胞の治療法
含歯性嚢胞は放っておくと埋まっている歯は生えないですし、顎の骨が吸収されていきます。
では、含歯性嚢胞の治療法についてご紹介します。
嚢胞の開窓
含歯性嚢胞が前歯や小臼歯の位置にできている場合は、歯茎を切開して埋まっている歯(埋伏歯)の一部をお口の中に露出させること(開窓)で歯が生えるように促す方法があります。
開窓しただけでは自然に生えてくることはほとんどないので、矯正器具(ワイヤーとゴム)を取り付け、生えてくるようにと歯を引っ張ることが多いです。
歯茎を切開することで嚢胞の一部を除去することができるほか、歯が生えるに従って嚢胞が縮小することを期待した治療です(縮小して嚢胞を摘出することもあります)。
うまく生えてくれば含歯性嚢胞に包まれていた歯を残すこともできます。
ただし、開窓は必ずしも成功するわけではなく、歯茎を切っても歯が生えてこないこともあります。
原因となる歯と嚢胞の摘出
先述の通り、開窓で含歯性嚢胞がなくならなかった場合、嚢胞を摘出します。
含歯性嚢胞の摘出を行う際は、嚢胞と埋まっている歯を一緒に取り除いてしまうことがほとんどです。
歯を抜去した後は顎の骨が再生していくのを待機し、入れ歯やインプラント、ブリッジなどの失った歯を補う治療や矯正治療で歯がない部分の隙間を塞ぐ治療などが必要になります。
含歯性嚢胞が大きければ大きいほど顎の骨が溶けており、骨が元通りに回復する時間がかかるでしょう。
骨が回復しなければインプラントが難しくなったり、入れ歯が安定しないなどの問題が起こり得ます。
含歯性嚢胞を放置するとどうなる?
含歯性嚢胞を放置していると、嚢胞は顎骨の中で少しずつ大きくなっていきます。
嚢胞は大きくなっていくと嚢胞の周囲の歯が動揺し始めたり、歯根の吸収を起こすかもしれません。
嚢胞が大きくなると顎骨が膨隆し、触るとペコペコとへこむような感覚を感じるようになります。
含歯性嚢胞により歯を失うと歯並びが乱れたり噛み合わせがずれてくる原因にもなるので、早めに含歯性嚢胞の開窓や摘出するための手術を受け、含埋伏歯の抜歯もされた場合は歯を補う治療も速やかに受けることで、お口の中のさらなるトラブルを予防することができますよ。
まとめ
含歯性嚢胞は、永久歯に生え変わる時期である6歳〜15歳の子供によく見られる病気です。
自覚症状がなく見た目にも変化はほとんどないため、定期的に歯科で検診をしっかりと受けることが含歯性嚢胞の早期発見が可能です。
なかなか歯が生えてこない場合は早めに歯科医院を受診しましょう。
子供は歯科医院を嫌がるかもしれませんが、検査で早く見つけることで早期に対処でき、結果的に歯科医院への通院回数を少なくできますよ。
また、親知らずがまだ生えていない場合も定期的に歯科医院でレントゲンを撮影し、含歯性嚢胞を早期発見できるようにしておきましょう!